【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は1月10日に刊行される『偽りの仮面と、絵空事の君』です。みなさんの感想も聞かせてください!
実際に巻き込まれたくないゲームアワード(私調べ)第一位は、「人狼ゲーム」です。そりゃ疑い合った末に処刑されたりとか、もうすごく嫌じゃないですか⁉ だからこそ、それに巻き込まれた遠也くんたちが、どうにかして日常を取り戻そうと奮闘する様子にはぐっとのめり込んでしまいました!
本作のゲーム形式はリアルタイムで一日が進行するバージョン。加えてオリジナル仕様で、ヤンキーやナルシストといったキャラを日常で演じたりと、あれ? なんか楽しそう……! 茜先輩もヤンデレキャラを演じて、遠也くんへの連絡で履歴を埋めたりと、愛が重い……。でも、そこがイイ!
けど、和気あいあいな雰囲気はそこまで。急転直下、実際の失格者は現実から存在そのものが消えてしまってて……い、イヤ~! このゲーム自体も人への口外禁止に加え、キャラから逸脱して相談することすらNG。逃げ場なんてないことを実感させられて、ただただ恐怖心を煽られます! そんな中、刻一刻と迫ってくる投票に、次々と消えていく参加者たち。突然「えっ、そんな人知らないよ?」ってなるのが背筋に冷水を流し込まれたかのようにぞっとするんですよ……。
悩みを持つ者が引き起こしたこの人狼ゲーム。その悩みを解決することが、事態の打開につながりそうなんですが、参加者たちは青春を生きる少年少女。それはもう「秘密」も「悩み」も軽々しく人に言えないよね、ってうんうん頷いちゃいました。思春期ミステリの複雑な心情描写がたっぷり堪能できる作品です!
文:波樹 葉音
ざっくり言うとこんな作品
・演劇部内で、リアルタイム「人狼ゲーム」が開幕! そんな中、突如失格した人が忽然と姿を消してしまい、雰囲気ががらっと緊迫さを帯びていく。
・ゲームの口外は禁止。閉塞感のある状況の中、授業や球技大会を経て進んでいく『悪魔』探しは難航を極める。それでも一人一人、知らぬ間に姿を消していくメンバーたちの行方にどきどき!
主要キャラ紹介
藤城遠也(ふじしろとおや)
久峰高校の一年生。過去の出来事で、事実無根ながら周囲からは極悪不良との扱いをされている。部外者ながら、茜先輩に誘われて演劇部の「人狼ゲーム」に参加することに。
夕凪茜(ゆうなぎあかね)
久峰高校の三年生。遠也と恋人関係になったばかりで、まだまだ甘々な関係。部外者ながら、部長の玲奈に誘われてゲームに参加する。ミステリが大好きで鋭い視点を持つ。
白ノ瀬澪(しろのせみお)
久峰高校の一年生、演劇部。遠也と同じクラスで、春の陽気を思わせる柔らかな雰囲気の美少女。天使とすら称される。ゲームのルールで日常から「ツンデレ」を演じることに。
羽柴亮介(はしばりょうすけ)
久峰高校の一年生、演劇部。遠也と同じクラスで、クールな雰囲気を纏うものの、実際には物腰柔らかな美少年。ゲームのルールで日常から「オネェ」を演じることになる。