【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は12月10日に刊行される『エルフの渡辺』です。みなさんの感想も聞かせてください!
正直に告白します。気を衒わないまでの純情なラブコメっぷりに、今年で一番胸がキュンキュンしました。そこまで素晴らしいラブコメなので、「『エルフの渡辺』? ってことは異世界から来たとか、異世界転生とか、転移とか、他種族とかそういうの?」と偏見を持っている人はすぐに読み始めてほしい(数時間前の自分への私信)。そういった要素もあるけれど、この作品の軸は純情乙女と純情少年の恋模様です。
大木行人くんが渡辺風花ちゃんに惹かれて、告白する。けれど、風花ちゃんにはとある秘密があって、すぐに彼氏彼女の関係になるわけではない――というのが本作の面白いところ。ストレートに惹かれて告白して付き合い、甘酸っぱい恋模様が描かれる物語も面白いですが、こういうアクセントがあることによって、「この先どうなっちゃうの!?」とページを捲る手が止まらなくなるものです。しかも、すぐ付き合えなくなった事情を知る後輩まで登場して(でも三角関係にならないところ含めてベスト!)、行人くんと風花ちゃんの関係は見たことのない場所へ!

風花ちゃんは「エルフの渡辺」ですから、エルフにまつわる場所が登場するのも本作ならではのアクセント。第四章以降の展開を読んで、「そうだ、この作品は『はたらく魔王さま!』の和ヶ原先生の作品だった……!」と合点がいきました(詳しく書くとネタバレになるものの、他の世界に縁があったり、ただのラブで終わらないところだったり……)。にしても、そのアクセントが恋模様をさらに盛り上げていくんだから……。近年稀に見るほど、純情な高校生の恋模様 with エルフ。最高でしかありません!
文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
・ファンタジーに日常が浸食されていく面白おかしさ
異世界から来た“エルフの渡辺”が発する言葉がカタカナ語なのか、異世界語なのか段々わからなくなってくる
・恋は見た目か?中身か? 究極の問に対して、戸惑いながらも向き合おうとする主人公像
・「はたらく魔王さま!」ファンなら200%楽しめる、新しくも和ヶ原スタイルの新作
主要キャラ紹介
渡辺風花
隠れファンも多いほど可憐な園芸部部長。エルフであることとその素顔を魔法によって隠している。行人とは高校一年生のとき、切り花が賞を獲ったことをきっかけに仲が深まった。
大木行人
部員が一人の写真部で部長を務めている高校二年生。高校一年生のときに風花へ惹かれ、告白したところ、彼女の正体が見えるようになった。父のカメラを使い、風花を撮影している。
小滝泉美
風花の幼なじみで、エルフであることを知っている高校一年生にして園芸部の新入部員。風花に告白したと聞いて、行人のことを敵対視している(そのため、行人には毒舌を吐く)。

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エルフの渡辺
著者: 和ヶ原聡司 イラスト: はねこと
これは“恋”それとも“変”? ありふれた日常に潜む小さなファンタジー。
渡辺風花は園芸部の部長である。クラスでは目立たないものの、笑顔が魅力的な心優しき少女。
「俺、好きだ。渡辺さんのことが!」
「じ、実は私も……」
こうして悩める高校生・大木行人の青春の1ページは無事に彩られる――はずだった。
初恋が成就する寸前、彼女の姿が一変。目の前に現れたのは《エルフ》!?
「もしかして私の……見えちゃった?」
渡辺風花はエルフである……らしい。とある事情で異世界《ナチェ・リヴィラ》から現代日本の東京へ逃げてきた呪われしサン・アルフ族の少女。
「じ、実は私も……ずっと大木くんが、気になってたの。大きな木で行人、ユクト。……なんだかユグドラシルっぽいな、って!」
「告白、仕切り直していいかな!?」
かくして大木は“エルフの渡辺”とのちょっと不思議な現代日本ライフ、そして異世界の命運を巡る大スペクタクルに巻き込まれることになり――。