【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は12月10日に刊行される『銀河放浪ふたり旅 ep.1 宇宙監獄の元囚人と看守、滅亡した地球を離れ星の彼方を目指します』です。みなさんの感想も聞かせてください!
進むか退くかを迷った時、安全だからと退くことを選んでしまいたくなるけれど、この物語でカイトが選んだ結果を見ると、やっぱり進むべきなのかもと思えてくる。
宇宙に浮かぶ刑務所に閉じ込められていたカイトが、地球に異変が起こって実質解放された時、途中で燃料が尽きても遠くへ行きたいと思わず地球に戻っていたらいったいどうなったのか。地球を救ってくれる良い宇宙人を味方に付けられないまま、侵略してきた悪い宇宙人に他の地球人ともども滅ぼされていたかもしれない。何があるか分からなくても前に進む勇気の大切さを教えられる物語だ。
そして同時に、多彩な宇宙人たちを登場させて、こんなのもいるんだと想像力を刺激してくれる物語でもある。全身が機械だったり毛深かったり。巨大なクラゲのような姿の宇宙人がいたのも驚きだけど、それが相当に進んだ種族で、カイトに地球にはクラゲがいると聞かされ異様な執着を見せるのも面白い。現実の世界で宇宙人たちと出会えていない人類が、地球以外にも同じ姿をした種族がいて欲しいと思っているのと同じなのかもしれない。
カイトが身体改造を勧められて、超能力を身に付けるコースを選ぼうとしたのは最高だ。宇宙クラゲ以外の宇宙人たちは反対みたいだったけど、身に異能を秘めていざというときに繰り出す興奮を分からないとは! その点、宇宙クラゲはしっかり分かっていた。もしかして人類は感性が近い宇宙クラゲのように超進化する可能性があるのかも。
ともあれ宇宙に居場所を見つけたカイトが、相棒のエモーションと宇宙を飛び回りながら異能を振るい大活躍する冒険劇が、これからも続いて欲しいと願ってやまない。こうした物語が、人類の目を宇宙に向けさせ、進ませようと思わせる力になるのだから。
文:タニグチリウイチ
ざっくり言うとこんな作品
・未知なる宇宙への旅があり、外宇宙文明との出会いもある展開にドキドキワクワク!
・最初は球体だったのに少女の体を手に入れた相棒のエモーションが健気でカワイイ!
・身体改造で超能力を身に付け宇宙船も手に入れて地球人類を救いに向かう冒険活劇!
主要キャラ紹介
カイト・クラウチ
ある組織に人類の指導者候補として育てられるも、思想犯として裁かれ宇宙監獄に追放されてしまう。地球滅亡に際し外宇宙へと出発、『連邦』という宇宙文明と遭遇し地球代表として認められる。
エモーション
刑務官兼生活支援ロボット。カイト命名のエモーションという名がやや不服。『連邦』で改造を受け球体型から人間型にも変形することができるようになる。
リティミエレ
カイトが最初に出会った地球外知性体。『連邦』所属人工天体ゾドギアの副代表。二足歩行や手指の発達など地球人類に似ている点も多い。感情の変化が体毛の色に出るところが特徴。
テラポラパネシオ
『連邦』では高い地位を担う種族で、すべての個体が一つの意思を共有する知性体。姿は大きなクラゲのようで、カイトから地球のクラゲの存在を聞き保護のために情熱を燃やす。
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銀河放浪ふたり旅 宇宙監獄の元囚人と看守、滅亡した地球を離れ星の彼方を目指します ep.1
著者: 榮織 タスク イラスト: 黒井ススム
銀河は孤独じゃない――隣に最高の相棒さえいれば!
★第9回カクヨムWeb小説コンテストエンタメ総合部門・大賞受賞★
人類の指導者としての教育を受けるも、無実の罪で地球上から追放され、宇宙空間の個人牢獄に収監されていたカイト・クラウチ。気ままな囚人ライフを送っていたが、刑務官であり生活支援ロボットのエモーションから衝撃の報告を受ける。
『地上滅亡を確認。人類社会終焉に伴い、受刑者279502号の刑期は終了しました』
しかしカイトは当たり前の疑問の一つも口にせず、なぜかワクワクした様子。
「なら、行けるところまで行ってみようか。地球人類最後の宇宙旅行に!」
『きゅるきゅるきゅる…………正気ですか!?』
でもその最後の旅が、まさかすべての始まりになるなんて。
外宇宙文明との出会い、超能力の発現、そして自分だけの宇宙船の獲得。銀河は孤独じゃない、隣に最高の相棒がいれば。地球人と機械知性のコンビが外宇宙文明で自由に暮らすスペースジャーニー!