【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は11月29日に刊行される『死に戻り騎士団長は伯爵令嬢になりたい』です。みなさんの感想も聞かせてください!
騎士団長になれるくらいの実力があるのに、死に戻った世界で騎士になろうとしないエリネを強いと思った。力ではなく心が。
前の人生でエリネが騎士団長に上り詰めてしまうくらいがんばったのは、妹や両親を失う悲しい出来事があったから。それを防げるのならもう騎士になんてならなくて良いと決断できる、エリネの家族を思う優しさに感動した。
死に戻った世界で、心の痛みとなっていた家族の不幸を繰り返さないようにしようと行動するエリネ。そこで、前の人生で得た経験を生かしながら大活躍する様が、とても伯爵令嬢には見えない猛々しさだというギャップが面白い。パーティー会場に乱入してきた野犬の口に、スパッと引き抜いたテーブルクロスを巻き付けた腕を突っ込み撃退したり、自分を攫った暴漢を全員叩きのめしたり。
そんなエリネに妹のライカや、エリネの強さを知って伯爵令嬢なのに剣の指導を求めて寄ってくる騎士たちと同様に、グッと気持ちを引きつけられる。前の人生にあった悲劇の原因をすべて退けて、今度こそ幸せな人生を送ってと心から応援したくなる。
もっとも、エリネが新しい人生をしっかりとやり直せるようになった裏にある、フラインの文字通りに命がけの活躍も忘れてはいけない。死に戻って妹や家族は救えたとしても、そして国まで救って幸せな暮らしを送れるようになったとしても、別の大切なものを失ってしまっては意味がないから。
だからエリネは動く。どうするの? どうなるの? ハラハラしながらその行く先を見守ろう!
文:タニグチリウイチ
ざっくり言うとこんな作品
・やり直して伯爵令嬢として振る舞おうとしても、強くてカッコ良いエリネを妹のライカは賞賛するし騎士たちは剣の指導を頼み込む!
・前世では筆頭魔術師として騎士団長のエリネと国を支えた天才魔術師のフラインがエリネのやり直し人生につきまとう。実は彼も……。
・やり直して妹も両親も救うことができたエリネだけど、やり直せたのはなぜ? 犠牲を伴うその理由が分かってエリネはどうする?
主要キャラ紹介
エリネ・マクレディア
ミリタニア国初の女性騎士団長となった最強騎士だったが、30歳の時に謎の病に襲われて死に、騎士団に入団する前の18歳に戻る。
フライン・レイドルスター
騎士団長のエリネと共闘していた魔術士団筆頭魔術士。死に戻ったエリネとはまだ知り合っていなかったはずが行く先々に顔を出す。
ライカ・マクレディア
エリネの妹。姉とは違って刺繍やお菓子作りを好む小柄で可愛らしい令嬢で、騎士になりたい姉を応援したり、活躍を喜んだりする。
ジェフリー
正義感強い男でエリネの前世では同期で騎士団に入り副団長を勤めていた。死に戻ったエリネと改めて知り合い、ライカに好意を抱く。
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死に戻り騎士団長は伯爵令嬢になりたい
著者: 松藤 かるり イラスト: 駒木 日々
最強騎士団長、伯爵令嬢に転身!? 時間を超えて自由と幸せを掴みとれ!
家族を失い剣に生きた騎士団長エリネ・マクレディアは、謎の病で30歳で生涯を終えた。
しかし入団前の18歳に戻り、人生をやり直すことに!
今度は普通の伯爵令嬢として家族と生きようとするが、颯爽と人助けしたりと思わず騎士っぷりを発揮してしまう。
それを見た天才魔術士フラインが『エリネ観察』と称し付きまとってきて――。
「知っているよ。君が、とびきり強い騎士団長だったこと」
最強騎士は令嬢として幸せを掴めるか!?