【レビュー】『豚のレバーは過熱しろ』逆井卓馬×遠坂あさぎのコンビがおくる新作は、日常の些細なことを理系知識で解決! 珠玉の青春ミステリ

よって、初恋は証明された。 -デルタとガンマの理学部ノート1-

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は11月8日に刊行される『よって、初恋は証明された。 -デルタとガンマの理学部ノート1-』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 中高生時代の自分が読書をしていた理由を思い出すと、「純粋に面白いから」「イラストが可愛いから」「実写映画の原作になったから」など色々な理由が思いつく。そのうちの一つに「一冊読んだら、どこか頭が良くなったような気がするから」というのもあったようにも感じるのだ。例えばSF小説。中高生の範囲ではおよそ習わないような技術をベースに物語が展開されていったり、もしかしたら未来ではこんな技術が生まれるのかもしれないと期待を膨らませたり。その知識をどんどん吸収したい、という欲から次の本、また次の本と手に取っていたようにも思う。

 何故そんなことを不意に思い出したのかといえば、本書『よって、初恋は証明された。 -デルタとガンマの理学部ノート1-』は圧倒的な理系知識が作中に次々と登場するから。デルタたちは、科学に化学、生物まで幅広い分野の理系知識をもとに、日常の謎を解き明かしていくのだ。もちろん、それらを知っていれば確かに……と頷けたり共感したりするのかもしれないが、高校一年生で理系を捨て去った身としてはなるほど、そういう世界もあるのかと驚くばかり。でも、どこかで聞いたことのある単語によって謎が解決に導かれていくのは、純粋に楽しくて勉強になる!

『よって、初恋は証明された。 -デルタとガンマの理学部ノート1-』より

 しかも、そんな理系知識+日常の謎を解く楽しさに、青春ならではの瑞々しい恋愛模様が加わって……。とにかくページを捲るのが楽しい、理系日常の謎もの。普段ライトノベルを読まないという方にもぜひお勧めしたい、珠玉の青春ミステリである。

文:太田祥暉

ざっくり言うとこんな作品

・日常の些細なことを理系知識で解決! 日常の謎解きの面白さ

・読んだら少し賢くなった気になれる? 科学知識に基づいた描写やセリフの数々

・青春ならではの瑞々しい少年少女の関係性の行方が気になる!

主要キャラ紹介

岩間理桜(いわま りお)
名前負けしないほど、桜のように華やかな印象を感じさせる、すっきりとしたポニーテールが印象的な女子生徒。中学時代は科学部に所属しており、科学知識も多め。

岩間理桜(いわま りお)


出田樟(いずた しょう)
中学時代に起きたある事件によって、出田=デルタと呼ばれるようになった男子生徒。父が植物生態学の研究者であることもあって、科学知識が豊富。

出田樟(いずた しょう)


水崎隆一(みずさき りゅういち)
どこかチャラチャラとした雰囲気を醸す、デルタの友人。高校デビューをすべく、入学式翌日に髪色をダークブラウンに染めた。岩間と近づくべく、デルタにある話を教える。

水崎隆一(みずさき りゅういち)


甘南備麗(かんなび れい)
人を寄せ付けぬ暗いオーラを纏った小柄な女子。登下校時は耳に、校内では首にヘッドホンを着けていることが特徴。岩間以外の女子とはほとんど話すことがない。

甘南備麗(かんなび れい)

作品情報
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    よって、初恋は証明された。-デルタとガンマの理学部ノート- 1

    著者: 逆井 卓馬   イラスト: 遠坂あさぎ

    ほろ苦くも瑞々しい、科学と、恋と、ミステリー。

     思うに〈青春〉というのは、よくできた推理小説のようなものだ。
     失われてしまった恋愛成就の桜の謎。部活勧誘の小さな違和感。巨木の樹齢に秘められた物語。密室で消えたハムスター。壊れかけの生物部に捧げられた、高校生たちの切実な決断。
     無関係だと思われたひとつひとつの因果はどこかでつながっていて、あとから振り返って初めて俺たちはそれを〈青春〉と認識する。そこでようやく気付くのだ。見落としていた大切なことに。
     「検証してみようよ……科学的に!」
     これは、科学をこよなく愛する高校生たちが日常で直面する数々の謎に挑む、綱長井高校「理学部」のささやかな活動記録。
    ――そして、一つの初恋が解き明かされるまでの物語である。

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