【レビュー】真逆の行動をとれば「いい皇女」になれる? 愛に飢え、暴虐の限りを尽くしてきた元・悪の皇女が二周目の人生で得るものとは…

悪の皇女はもう誰も殺さない

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は9月17日に刊行される『悪の皇女はもう誰も殺さない』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 どんな事をしてでも手に入れたいもの、ありますか?

 誰からも愛されずに育った皇女・キャンディスにとってのそれは、皇帝である父・ヴァロンタンの愛でした。とはいえ、侍女や兄弟たちを皆殺しにしたのは、あまりにも残酷。これでは「悪の皇女」と呼ばれ、処刑されるのも仕方ないでしょう。しかし、彼女にはチャンスが与えられました。

 なぜか五歳の頃に戻り、一度目の人生の結末を思い出したキャンディスは、これまでと真逆の言動を心がける事で、処刑される未来を回避しようとします。贅沢の限り、暴虐の限りを尽くしてきた彼女が、内心のイライラを押し殺し、必死に「いい皇女」を演じる様子に、妙な人間くささを感じます。

『悪の皇女はもう誰も殺さない』より

 しかし、「演技」は、しだいに彼女の「自然」な行動になっていきます。自身が変化した事で、彼女を怖れていた侍女たちの反応も変わっていきます。そして、一度目の人生では邪魔者でしかなかった、ほかの兄弟たちの人となりにも理解を示すようにも。類を見ないほど悪に染まっていたキャンディスの成長ぶりには、感心すると同時に、たまらない愛おしさを感じるのです。

 二度目の人生で手放したものと、新たに得たもの。その重要さを彼女自身はまだ、自覚していないかもしれません。処刑される未来を回避できたかの答えが出るのは、十二年後。それまでにはまだ、様々な出来事が起こるのでしょう。キャンディスは、このまま「いい皇女」になれるのか。この先も彼女の成長を見守りたいですね。

文:瀧田伸也

ざっくり言うとこんな作品

・前世では残虐な「悪の皇女」が5歳児に!?

・処刑の未来を逃れるために、「真逆の行動」で「いい皇女さま」を目指す!

・急に変わり始めたキャンディスの行動を見て、周囲の態度も変わりはじめて……!?

主要キャラ紹介

キャンディス
父からの愛情を求め、多くの人々の命を奪った「悪の皇女」。
処刑されたはずが、気づけば五歳の頃に戻っており、二度目の人生では真逆の言動を心がけて、「いい皇女」を目指す。

キャンディス


ヴァロンタン
ディアガルド帝国の皇帝にして、キャンディスやほかの兄弟たちの父親。冷徹な人物として周囲から怖れられており、口数も少ないため、キャンディスも、その本心はわからない。

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    悪の皇女はもう誰も殺さない

    著者: やきいもほくほく   イラスト: 香村羽梛

    いい皇女様になるために、生前と真逆の行動をとれ!?

    「お父様に認められたい一心でわたくしは邪魔者を皆殺しにしたのに……」

    『悪の皇女』──ディアガルド帝国、唯一の皇女だったキャンディス・ドル・ディアガルド。
    皇帝である父親・ヴァロンタンに愛されるために、気に入らないものをすべて排除していた残虐非道な彼女は、十六歳のころ、突如現れた異母妹のルイーズに全てを奪われ、悲しみと絶望を抱きながら父に首を斬られてしまう──。

    しかし、なぜか次に目覚めると、五歳の頃の自分に戻っていて!?
    この頃にはワガママの限りを尽くし、既に周囲から怯えられ嫌われ始めていたキャンディスは、このままではまた処刑されてしまう。
    だが、まだどのような行動をすれば運命を変えられるかわからないキャンディスは……。

    (そうだ、わたくしは今までと反対のことをすればいいのね! そうすれば絶対に死ぬことはないはずよ!)

    前世とはすべての行動を真逆にする“真逆作戦”を実行!?
    そんなキャンディスの変化に次第に皇帝たちも気付き始めて……!?

    目指すは誰も殺さない、『いい皇女さま』!?
    真逆の行動で未来を変える、王宮溺愛ファンタジー!

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