【新作ラノベ先読み感想文レビュー】今回はビーンズ文庫から8月1日に刊行される『私を殺す義弟を籠絡しようと思います』です。みなさんの感想も聞かせてください!
現実の人生は絶対にやり直せない。だからこそ、2度目の人生をやり直していくタイプのエンタメは人気があるのだろう。例えるなら、ゲームで難クエストに挑み直すリプレイのようなワクワク感、とでもいうのだろうか。
今回読んだ『私を殺す義弟を籠絡しようと思います』にあるのも同じ楽しさだ。愛していたのに裏切られた……と思って憎んでいた義弟が、もしかしたら裏切ってなんかいなかったのかも?という"発見”から物語がリスタートする。だったらどうして自分は義弟を憎むようになってしまったんだろう? そう考えたヒロインのレアが前の人生の破滅フラグをひとつ、またひとつ回避していく展開が、経験値を活かしてクエストを突破する気持ちよさをくれるのです。
ここで嬉しいのが、レアは決して自分が死にたくないから破滅フラグを回避しようとしている訳ではないところ。義弟が大好き。だから守ってあげたい。そんな想いがレアの毅然とした振る舞いからあふれ出ていて、がんばってって声をかけてあげたくなる。
前は起こらなかったピンチがレアを襲うけど、そこを切り抜けていく展開が、ミステリの謎解きのようなスリルを与えてくれるところも最高です。
義弟の方にもただの義姉ラブなだけじゃない何かがあるようで、それも知ってもう1度読み返してみるといろいろと発見できるかもしれない。
文:タニグチリウイチ
ざっくり言うとこんな作品
1)色気ダダ漏れな義弟の、義姉への過保護で献身的な愛
2)外堀を埋めて籠絡しているつもりが、逆に埋められていくヒロイン
3)「異能」と「聖痕」が鍵
主要キャラ紹介
レア・ウェインザー
賢王の証『聖痕』を持って生まれたが、王位を争い処刑され、15歳に回帰。
フィリオ・ウェインザー
騎士の遺児で、王家に引き取られた。13歳の誕生日直前に『聖痕』が発現。
コリンヌ・ミッケリー
回帰前、フィリオと恋仲と仄めかしていた。
アドルフ・ヤルヴェン
回帰前、レアの護衛騎士になることを切望していた。
-
私を殺す義弟を籠絡しようと思います
著者: 関谷れい イラスト: ウラシマ
籠絡するつもりが、逆に外堀を埋められている!? 義弟の重い執着ラブ!
王位を巡り対立したレアと義弟フィリオ。
双方の暗殺未遂劇の末、レアは処刑され、フィリオも命を落とした。
しかし死の直後、レアは15歳に回帰。
今度こそ王位に固執する母に惑わされず義弟を守ると決意したレアは、
母の目を欺くためフィリオを表向きの婚約者とするが――
「王位に興味はありません。私は義姉上とずっと一緒に……」
シスコンっぷりがすごすぎるんですけど!?
籠絡するつもりが、逆に外堀を埋められていく執着ラブ!