【レビュー】キミはどの「ナツキ」推し? 僕は「砂金奈津希」単勝でベットします
【新作ラノベ先読み感想文レビュー】今回はMF文庫Jから7月25日に刊行される『君を「ナツキ」と呼ぶまでの物語』です。みなさんの感想も聞かせてください!
身の丈話を一つ。私の名前は「おおた・さき」と読むのですが、こういう名前ですから当然小学校から大学まで、同名の女の子が学年や学科には必ず一人以上在籍していました。
特に中学時代には同じクラスに三人も「サキ」がいることがあり、被った私はクラスメートに名前で呼ばれることがなかったのです。それでも名前で呼んでくれるのは、本当に仲の良い友人だけ。
──ということが大学まで続き、現在に至ります(今も今で担当さんが「サキ」だった、なんてこともありますが)。
そんな境遇だった人間からすると、下の名前で呼ばれる/呼ばせることがいかに難しいか……。恋人だったとしても、友人に同名がいたならば抵抗があるというものでしょう。
少なくとも自分はそう。アオイくんが友達だったとして、アオイちゃんと付き合ったときにアオイ呼びができますか……みたいな。
そこに想くんはトラウマもあると来たものです。こんな無理ゲー、どうしたらクリアできるのでしょうか!?
『ワキヤくんの主役理論』や『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。』の涼暮皐さん新作ということで(絶対に一筋縄ではいかないラブコメだ……)と身構えながら読んだ本作でしたが、その予想に違わないものの予想と別の方向へ放たれていく青春ラブコメ模様がとても心地よかったです。
さて、この「ナツキ」と呼ばせるヒロインレースは誰が勝つのか……。僕は"砂金奈津希"単勝でベットしますが、果たして(ただ推しているだけ)。
文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
1)全員「ナツキ」! 同じ名前だけどまったく異なる女の子4人が織りなす、ちょっぴりビターな学園青春グラフィティ。
2)幼少期、「ナツキ」にまつわるトラウマが……? 主人公・景行想の抱える事情が、ビターな物語をさらに色濃いものにしていく。
3)一筋縄ではいかないヒロインたちとのやり取り! 二面性のあるヒロインたちに翻弄される想の様子が楽しい。
主要キャラ紹介
元子役で、とある事情から友達がいない女の子。普段は強がっているが、素はネガティブ&陰キャ思考である。学校の外れにある古い寄宿小屋を秘密基地として使っている。
恐ろしいほど頭が切れ、恐ろしいほど運動ができる上、お金持ちの家に生まれた完全無欠な女の子。特定の部活には入っておらず、様々な運動部で助っ人をしている。
第二文芸部唯一の部員。あまり動くことが好きでなく、校内であっても力尽きてしまう。対人の距離感がバグっていて、その言動から何人もの男子を勘違いさせてきた。
第二文芸部には所属していないものの、砂金の友人としてよく部室を根城にしている女の子。想と砂金のえっちな展開を描いた小説を書くほど、想像力が豊か。
征心館学園高等部に入学した男子生徒。幼少期の「ナツキ」とのエピソードにトラウマを負い、高校生活三年間は打算的に生きようと計画。仕事として、様々な部活などの手伝いを引き受けている。