【レビュー】上下巻同時発売!『魔法科高校の劣等生』佐島 勤先生の最新作は、神々に支配された世界で暮らす少年たちの物語
【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は電撃文庫から7月10日に刊行される『神々が支配する世界で』です。みなさんの感想も聞かせてください!
どっちが正義でどっちが悪だなんて考えにとらわれて、立っている場所をグラグラと揺さぶられる感じがした。
もしも神さまがどこからか現れて、災害から守ってあげるから代わりに敵と戦う人材を貸してよ、それも適性を持っている人だけねと言われたら、自分も含めて誰だって嫌だなんて言えない気がする。戦士として選ばれれば、バトルの最前線に立って敵を相手に大暴れできるのだから、自分は他人とは違うと思いたがっている気持ちを、これほどそそられるシチュエーションはない。
普通は男女で使える武具が分かれているのに、主人公だけは女性型のものが使えるというのも「自分は特別なんだ」という気持ちを大いにくすぐってくる。でも、そんな神さまがもしかしたら正義じゃないかもしれない…なんて話が冒頭で繰り出されているから、読んでいてもちょっぴりの苦みが消えてくれないのだ。
神さまから与えられた武具をまとって戦場に出て行って、圧倒的なパワーを振るって敵を倒す主人公たちの活躍に喜びを感じながらも、これって本当に正しいことなんだろうかといった不安が、そうした活躍のどこかに引っ掛かりを感じさせる。勧善懲悪だとかヒーローvsヴィランといった単純な構図に馴れた頭には、奥深さを感じられる。
悪者にも理があるとかいった話じゃない。正義であるはずの自分たちこそが悪者かもしれないという可能性。つまりは全否定されるかもしれないという可能性にビクビクしながら展開を追っていくスリルを味わえる。その結果、浴びせられる衝撃の事実!…とやらがあるかどうかは読んでのお楽しみだけど、それもまたフェイクかもしれないと思うとやっぱり先が読みたくなる。そんな物語だ。
文:タニグチリウイチ
ざっくり言うとこんな作品
1)神々に支配された世界で暮らす少年たちの因縁と宿命! 己の正義を貫く二人の激闘を見逃すな!
2)圧倒的世界観! 突然与えられた人智を越える神の力。その力が世界にどんな影響を与えるのか、是非ご覧あれ!
主要キャラ紹介
神々と敵対する邪神『アッシュ』に仕えている青年。
富士アカデミーに所属していた過去があり、平野陽湖の姉、平野名月とは友人以上、恋人未満の関係だった。
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神々が支配する世界で〈上〉
著者: 佐島勤 イラスト: 浪人 本文イラスト: 谷裕司
『魔法科』の佐島 勤が贈る、戦と進化の物語。
――我々は、「神々」である。
ある日、世界は神々に支配された。彼らは人問に加護を与える代わりに、神々の力を宿した鎧『神鎧』を纏い、邪神と戦うことを求める。
神々の僕として選ばれた青年・新島荒士は、邪神と戦うために神鎧の使い方を学ぶべく富士アカデミーヘ入学する。この富士アカデミーで学ぶ候補生は彼以外女性ばかりで、荒士は肩身が狭い生活を強いられることに不安な気持ちを抱く。
だが、そんな些細な不安を抱く日常は、邪神側の戦士である背神兵の襲撃によって突如として打ち砕かれ――。
これは、神々と共存を強いられた青年たちの戦と進化の物語である。
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神々が支配する世界で〈下〉
著者: 佐島勤 イラスト: 浪人 本文イラスト: 谷裕司
『魔法科』の佐島 勤が贈る、命と正義の物語。
――でも勝利が常に、幸せな結果になるとは限らない。
神々の加護を受けた世界を守る者、新島荒士。邪神の力を借りて神々の支配に抗う者、古都鷲丞。神々と邪神、そして荒士と鷲丞――双方の対立は解けることなく、戦いは激化していく。戦いの因縁は周囲をも巻き込み、彼らの大切な人へ魔の手が伸びる。
心を力とする鎧を身に纏い、心を刃とする武器を手にし、己の全てを賭け次元狭界――最終決戦の地へと向かうふたり。その戦いの先に待つのは、人類の救済なのか。それともただの虚空なのか。
これは、神々と共存を強いられた青年たちの命と正義の物語である。
女性しか適合しなかったF型の神鎧に適合したジアース世界で初めての男性。
幼馴染の平野陽湖と共に、神々の戦士を育成する富士アカデミーへ入学する。