【レビュー】いけ好かない王太子と大国の姫君の後宮での生活は、すれ違いと予想外の連続!?
【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はビーズログ文庫から7月12日に刊行される『翠天後宮の降嫁妃 ~その妃、寵愛を競わず平凡を望む~』です。みなさんの感想も聞かせてください!
だいたいの物語の展開って予想がつくと思うんですよ。恋愛ものなんてハッピーエンドがほとんどで、まあそれを期待して読むんではあるんですけど、それでも「やられたなぁ」と感じる作品はあるわけで、まさに本作がそう。
大黄帝国皇帝の双子の妹である桃瑛が小国の王太子・星狼に降嫁するのだけど、最初はこの王太子がいけ好かないやつで。作り物じみた美貌にわざとらしい笑顔で、言ってないけど後宮作りましたって、そりゃ桃瑛も嫌な奴と思いますよね。でも私みたいな捻くれた読者だと、これってほだされて好きになるパターンだなって展開を先読みしちゃうんですよね。後宮の妃たちも桃瑛に対して距離をとっていて感じ悪くて、いわゆる「セーブ・ザ・キャット」っていうか、最初の印象が悪い分、反動で好きになっちゃうんだろうなと。
ところが視点が変われば桃瑛にも大国の姫君っていう壁を作られる理由があって、お互いの誤解が事態を悪くしているとわかってきます。それくらいからだんだん、いつ誤解が解けるのか気になって、その誤解も一つじゃなくて星狼に対する誤解、桃瑛に対する誤解、三人の妃との誤解となかなかやっかい。桃瑛が誤解を無自覚なまま、状況の打破に向けて動き出すんですが、なぜか甜味(お菓子)作りを始めてる!?
ふっと気づくとどんどん引き込まれて、やられたなぁってなっていました。当然、誤解は徐々に解けていって「待ってました!」のあまーい恋愛が。っていいところで桃瑛の双子のお兄ちゃんが出てきてええええええ!? その後の展開にまたええええええええ!! ってもう驚かされるやらハラハラさせられるやら。すみません、予想がつくとか調子のってました!
文:勝木弘喜
ざっくり言うとこんな作品
主要キャラ紹介
近い将来の開国を宣言した翠山国の王太子。後宮の存在を隠す不誠実とは裏腹に、桃英を唯一の妻と宣誓。貧しい翠山国の民の暮らしと命を守るため、大黄帝国との交易実現を目指す。
桃英の双子の兄にして大黄帝国皇帝。即位するまで決して順風ではなく、母が毒殺されてからは暗殺を避けて桃英と市井に潜んだこともある。桃英の幸せを願って翠山国へ降嫁させる。
現皇帝の双子の妹ながら、政略により翠山国に降嫁した大黄帝国の公主。亡き母との約束を守り、とある秘密を隠して「普通」であることを望んでいる。料理、特に甜味作りが得意。