【レビュー】一撃必殺の力と、過酷な運命を背負った男の物語『死ぬに死ねない中年狙撃魔術師』

レビュー
【レビュー】一撃必殺の力と、過酷な運命を背負った男の物語『死ぬに死ねない中年狙撃魔術師』

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】をお届けします! 今回はドラゴンノベルスから6月5日に刊行される星野純三先生×布施龍太先生の新作です。みんなの感想も聞かせてください!

 狙撃手ってこんなにカッコ良くってモテモテな職業だったんだ!

 勇者みたいに褒め称えられる訳ではないし、魔法使いのように便利がられる訳でもない。遠く離れた安全圏から射撃するだけの卑怯者で臆病者といったイメージで見られがちなところもある。でも、「狙撃」と呼ばれる主人公の狙撃魔術師は、ここぞと言うときにズドンと一発! 強烈な魔術を撃ち出し凶暴な魔物を沈めてみせる。

死ぬに死ねない中年狙撃魔術師

 まさに切り札といった存在感。準備を整え計画も立ててターゲットを狙い、一撃で倒す「狙撃」の仕事から漂う爽快感と達成感は極上の味わいだ。領主の妹のメイテルや若き天才魔術師のリラといった、「狙撃」の凄さが分かる女性たちから尊敬もされる。なんというモテモテぶり! 自分がなるなら勇者よりも狙撃手だって思えてくる。

 ただ、「狙撃」の立場になると本人は結構大変そう。四十歳にもなって「狙撃」がまだ仕事を続けている理由がいろいろと厄介だからだ。ヤァータという名のカラスのような使い魔が、「狙撃」を使っていろいろと画策しているらしい。ナノマシンとかデータといった技術用語を口にするヤァータはどうやら別の世界から来たらしく、「狙撃」や彼がいる世界をどうしたいのか大いに気になる。

死ぬに死ねない中年狙撃魔術師

  今後話が宇宙規模に広がっていくなんてこともあるかもしれない。それも楽しみにしつつ「狙撃」が竜とか雪魔人とかをどうやって仕留めていくのか、そして強敵の黒竜を相手に繰り広げる死闘の行方がどうなるのか、そこのドキドキが堪らない一作。

 

文:タニグチリウイチ

ざっくり言うとこんな作品

・カラスのような姿をした使い魔のヤァータと「狙撃」の“一見すると良い相棒に思える”訳ありな関係性にハラハラ。

・共に戦った恋人が眠る世界を守るために、“死ぬに死ねない”まま戦い続けるしかない「狙撃」の生き様がアツい!

・「狙撃」の下で学びたいと帝都の魔術学院を出てすぐにやって来たリラとのくすぐったい師弟関係が癖になる。

主要キャラ紹介

狙撃
狙撃

優秀な狙撃魔術師でヤァータからデータをもらい正確な狙撃を行う
ヤァータ
ヤァータ

カラスのような姿をした使い魔だが正体は宇宙から来た「献身体」
リラ
リラ

帝都の魔術院を首席で卒業した少女で狙撃魔術師を目指している
  • 死ぬに死ねない中年狙撃魔術師
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    死ぬに死ねない中年狙撃魔術師

    著者: 星野 純三   イラスト: 布施龍太

    俺が強い? 死ねないだけだ――死んだ恋人のため、魔物を狙う男の物語

    山から魔物を狙う男がいた。“狙撃”と呼ばれる凄腕の狙撃魔術師だ。かつて恋人を失い死にたいと絶望していた彼は、突如現れた世界征服を企む異形の生命体と取引し、支配下に降る代わりに、一撃必殺の射撃スキルを手に入れた。しかし同時に「お前が死んだ時はこの世界をもらう」と告げられる。不本意ながらも生きる理由ができた男は、それ以来――死ねなくなった。己をかばって死んだ恋人の故郷を守るため、強大な魔物を仕留め続ける狙撃魔術師の物語。

















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