【レビュー】身分差の初恋、笑って泣けるむずきゅんストーリー!『初恋の少年は冷徹騎士に豹変していました 全力で告白されるなんて想定外です!!』
【新作ラノベ先読み感想文レビュー】をお届けします! 今回は5月31日に刊行される雨咲はな先生✕宮波先生の作品です。みなさんの感想も聞かせてください!
タイトルに初恋の文字が入っていたので甘酸っぱい物語かと想像していたんですが、甘酸っぱいは甘酸っぱいんですけどさらに笑って泣けるむずきゅんでした!
まずその初恋の様子なんですが、強盗に襲われているヒロイン・ラヴィが伯爵子息のシリルに助けられというもの。運命を感じたラヴィが、父親にひっついて伯爵家にお礼に向かい、首尾よく文通の約束を取り付けてしまいます。ここらでラヴィが甘酸っぱい感じじゃなく、ちょっと思い込みの激しい猪突猛進なタイプかなーと思うんですけど、文通の内容が決定的でした。子どもらしいお手紙でツッコミどころ満載というか、シリルが心配するのに頷けるというか。シリルはシリルで判別不能な絵を描いたり、八歳と十三歳のやりとりが可笑しくてたまりません! シリルも子どもかわいい紳士でニヤニヤします。
『初恋の少年は冷徹騎士に豹変していました 全力で告白されるなんて想定外です!!』雨咲はな・宮波/KADOKAWA
奔放なラヴィと優しい笑顔で接するシリルの交流が発展するのを応援していたんですが、シリルの父・オルコット伯爵が破綻により自死。遠い母の実家へと旅立つシリルをボロボロ泣いて見送るラヴィにもらい泣きです。
七年後、王立騎士団の騎士になったシリルと再会するラヴィですが、彼からは「……誰だ?」という冷たい反応。どうなるのかハラハラさせられますが、変わらずに猪突猛進するラヴィにあっという間に心配性な元のシリルに戻ってほっとしました。
その後も様々な事件に巻き込まれ盛りだくさんな内容ですが、注目はやっぱり二人の恋路です。貴族と平民という身分の違いもあり、もどかしさにじらされつつ、それも二人らしいなとしっくり。心配性なシリルはラヴィには控えめにしてほしいと思っているかもしれませんが、振り回し振り回される関係に素直に素敵だなぁと感じました。
文:勝木弘喜
ざっくり言うとこんな作品
1)幼い頃のシリルは穏やかでよく笑う少年だったのに、7年後再会した彼は冷徹で、ラヴィを「知らない」と言い放ちます。いったい彼に何が――。
2)普段はラヴィの突飛なアイディアに振り回される不憫なシリル。しかし、限界がくるとシリルが逆にラヴィを振り回し――?
3)シリルの笑顔を取り戻し、身分違いの初恋を悔いなく終わらせるために奮闘するラヴィ。笑って泣けるむずきゅんストーリー!
キャラクター紹介
「孤高の冬狼」と呼ばれる冷徹騎士。でもそれには理由があって――
王立騎士団の団長にして第二王子。気まぐれかラヴィをシリルに近づける
ニコルソン商会の娘。思い込みが激しく周りからよく諫められる