七色の作風をもつ作家・紙城境介先生の作品の魅力

 ラブコメにサスペンス、ミステリーと新作が出るたびにジャンルが全く違うのが紙城境介先生の作品。
 11月1日に発売となる『Tier1姉妹 有名四姉妹は僕なしでは生きられない』は果たして…?
 最新作&これまでの作品の紹介とともに、今回は紙城先生のインタビューも特別掲載!

▼紙城境介先生の作品のご紹介
▼スペシャルインタビュー
紙城境介先生の作品のご紹介
  • 継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない
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    継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない

    著者: 紙城境介   イラスト: たかやKi

作品レビュー

 親の再婚で元カノときょうだいになってしまう、一つ屋根の下ラブコメの金字塔!
 伊理戸水斗には「今となっては若気の至り」と嘆く、綾井結女との交際経験があった。中学卒業を機に別れた二人だったが、たった二週間後、親同士の再婚できょうだいとして再会し、同居することに。
 通常の親同士の再婚なら、多少ぎこちないところはあるかもしれないが、普通の家族としてスタートを切れたかもしれない。しかし、別れたばかりの元恋人との同居となれば話は別。両親の前では良好な関係を装いながら、別れた頃のあれこれでいがみ合い、それでいて気にせずにはいられない。きょうだいか友達か元恋人か、それとも……。複雑に揺れ動く焦れったくも甘い二人の距離にドキドキしてしまう!

紙城境介先生
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コメント
 この作品を書き始めたのは『いろんな要素がごちゃ混ぜになった作品を書いて、その中から評判が良かった要素を抽出して新作にする』ということを繰り返していた時期でした。

 連れカノを書き始める半年ぐらい前から別のラブコメ要素の強い作品を書いていたのですが、それの評判が思った以上に良くて、「だったら完全にラブコメだけに振り切ってもいいんじゃないか?」と考えていました。

 その考えと、とあるアニメのキャラを見て「この二人って前に付き合ってたんじゃないか?」と色めきたっている人を見た記憶が合わさって、元カップルという設定に行き着きました。

 当時は現代ラブコメも短編連作も書いたことがなかったので、とにかくいろんな書き方を試した記憶があります。そのせいで巻が進むごとに章の立て方から漢字の使い方まで、ごちゃごちゃと変わっていっちゃいました。幸い、それに文句を言われたことはないんですが、今書いたらもうちょっと綺麗に整理できたかなあ、と反省したりします。

 しかしそれにしても、1巻の暁月周りの話は『転生ごとき』から受けた傷の後遺症が出過ぎている……。

  • 転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?
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    転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?

    著者: 紙城境介   イラスト: 木鈴カケル

作品レビュー

 異常な愛情で転生先まで兄に付きまとう、妹との戦いを描いた異世界サイコパスサスペンス。五年間もの間、妹に監禁されていた兄はトラックに轢かれることで離別を果たす。異世界に伯爵家の長男ジャックとして転生した兄だったが、妹の執着は世界を違えるくらいでは終わらなかった。
 兄妹にあるまじきモノマニアックな愛を向けてくる妹からの精神を破壊されるような監禁生活を脱出し、異世界で自分の幸せを取り戻す……はずが、妹まで同じ世界に転生しているという悪夢が背筋を凍らせる。神様にもらった能力で成長を遂げ、尊敬できる師匠と可愛い幼馴染に恵まれ、順風満帆な異世界ライフを送りながらも、陰では姿を変えてどこに潜むともわからない妹の存在がチラつく。このスリル、ただ事ではない!?

紙城境介先生
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コメント
 この作品には二つの目的がありました。
 ひとつは、これの前に書いていた作品のサスペンス要素の評判が良かったので、それを抽出すること。

 もうひとつは、自分の才能を確認することです。

 それまで私は、売り上げが伸びずに1巻で終わった作品でも、構想は20巻先まで決まっている、みたいなことが当たり前でした。しかし、それが幼い妄想にすぎないのか、それとも大長編を書く才能なのか、実際に書いてみなければ判断がつきませんでした。

 そこで、比較的コンパクトに収まりそうな構想を1つ形にしてみようと思いました。それがこの作品……なのですが、100万字以上書いても全然収まりませんでした。コンパクトとは……?

 自分の限界を知るために書き始めただけあって、恐ろしく向こう見ずで、異様なエネルギーにあふれた作品になっています。こんな話をちゃんと完結させなければならない今の私は、正直頭を抱えています。書き始める前からラストシーンは決まってるんですけどね……。

  • シャーロック+アカデミー Logic.1 犯罪王の孫、名探偵を論破する
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    シャーロック+アカデミー Logic.1 犯罪王の孫、名探偵を論破する

    著者: 紙城境介   イラスト: しらび

作品レビュー

 ロジックにロジックを重ね、真実を競い合う探偵推理バトル! 凶悪犯罪の増加により探偵が必要となった現代、〈犯罪王〉の孫・不実崎未咲は探偵になることを勧められ、真理峰探偵学園に入学する。そこには〈探偵王〉の養女・詩亜・E・ヘーゼルダインとの出会いが待っていた。
「国家探偵資格」を取得できる学園は当然、探偵の卵が集う学び舎。入学式から早々に事件が提示され、探偵になるべく試練が課されていく。より事件に相応しい探偵を決めるために行われる推理の決闘〈第九則の選別裁判〉では、探偵同士の知能戦が繰り広げられ、二転三転する展開が見どころ。謎解きに必要なすべての情報が集約され、明かされるロジックに驚かされること必至!

紙城境介先生
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 しばらく待ってみたけど、ライトノベル界には『うみねこのなく頃に』や『ダンガンロンパ』や『逆転裁判』みたいな論理バトルを書こうとする人が全然いない!

 というわけで仕方なく自分で書くことにしました。

 実際に書いてみてなんで誰も書こうとしないのかわかりました。手間がかかりすぎる! 時間が足りない! 名探偵キャラ書き分けるのムズすぎ!

 でも一番好き勝手に書いている作品なので楽しいです。

 この作品は上記二作品の『ウケた要素を抽出する』の逆で、自分が書けるものをまとめて統合する書き方をしています。昔よりはちゃんと整理できているかなと思いつつ、毎度のようにページ数がパンパンになるので苦労しています。3巻なんて最初のプロットのまま書いてたら鈍器になってたよ。

  • Tier1姉妹 有名四姉妹は僕なしでは生きられない
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    Tier1姉妹 有名四姉妹は僕なしでは生きられない

    著者: 紙城境介   イラスト: 成海 七海

作品レビュー

 四姉妹との出会いと一通のメッセージから始まる、甘い謎解きのヒロインレース。校則違反の代償として理事長宅の家事代行をすることになった君永織見だったが、訪れたタワマンには学園でTier1姉妹と呼ばれる四人の美少女が住んでいた。次第に彼女たちと打ち解けるが、『今度も、私を選んでくれるよね?』というメールから記憶の抜けた過去と向き合っていく。
 絵師VTuber、人気配信者、プロゲーマー、天才声優。可愛くて才能もある四人姉妹だが、生活能力は欠落。そんな彼女たちを支えるバイト生活は心も体も距離が近くてドキドキ。さらに意味深なメッセージは過去、彼女たちと出会っていたことを示していてハラハラ。刺激的な四姉妹との恋愛の謎解き!

紙城境介先生
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 実のところ、「もう一本新作のラブコメを」という話は別のレーベルさんからも持ちかけられることがあり、私の中にもアイデアがあったのですが、「これ書くんなら別に連れカノ書けばよくね?」と思ってボツにしてきました。

 ですが、連れカノもいよいよ書くべきことを書き尽くした感が出てきて、「そろそろ新しい空気を吸いたいぜ」というわけで、アニメが終わったのを機に書くことにしました。

 上に書いた通り連れカノを書き始めた時は右も左もわからなかったのですが、今回は私のラブコメ経験値もかなりのもので、結構スムーズに書けた気がします。

 ただ、主人公が家事代行でヒロインも出不精が多いので、せっかく東京が舞台なのに話が家の中でほぼ完結してしまうのがずっと気になっています。窓から見える東京タワーだけがご当地要素。

作品レビュー:勝木弘喜

スペシャルインタビュー

普段の執筆活動から、最新作『Tier1姉妹』について、紙城先生に突撃インタビュー!

紙城境介先生
紙城境介(かみしろ・きょうすけ) プロフィール

京都府出身。第3回カクヨムWeb小説コンテスト・ラブコメ部門で大賞を受賞。王道のラブコメからミステリー、サスペンス、異世界転生ものなど、同一作家と思えない幅広いジャンルで読者を魅了する七色の作風を持つ。

紙城先生の活動について

──ラブコメ、異世界転生もの、ミステリーなどこれまで様々なジャンルを執筆されていますが、意図的なものでしょうか。

 飽き性なので自然とこうなっています。
 カードゲームでも一度できたデッキを使い続けずに中身をコロコロ変えてしまうタイプなので、それがストレートに出ています。
 ラブコメばっかり書いてほしい人も日常の謎ミステリばっかり書いてほしい人もいるんでしょうけど、似たようなのばっかり書くのつまんね~~~。

──同時にいくつもの作品を執筆することで楽しいこと、また大変なことはありますか。

 大変なことは……他の作品の原稿を書いている時に著者校正をやらなきゃいけなくなるとか?
 飽き性の割に同時進行で書くのには適性がないので、そういう状態になるときついです。
 楽しいことは新しいキャラデザをいっぱい見られること!

──執筆する作品を切り替えるスイッチは何かありますか。

 特にないです。終わったら次、をただ繰り返しています。
 強いて言うなら似たようなジャンルの作品を読むとか?

──ジャンルの幅広さに驚かされますが、「異世界転生もの+サイコパスサスペンス」だったり「ラブコメ+ミステリー」だったり、アレンジもすごいと思います。

 すでに広く知れ渡ったものを自分流にやるならどうするか、というのが私の基本的な考え方になっています。
 任天堂信者なので、『枯れた技術の水平思考』を小説に転用している、と言ってカッコつけています。
 デビューする前から、『基本設定に一見して意味がわからない独自の造語は使わない。既存の言葉に意味を付加して使う』というルールを決めていたくらいなので、私なりの攻略法なんだと思います。

──新シリーズが始まったばかりですが、他にも書いてみたいジャンルはあるでしょうか。

 明日も同じかどうかはわかりませんが、今この瞬間、私の中で熱いのはかっこいい女主人公です。
 コードギアスのルルーシュみたいに頭のいい女主人公が書きたい!

最新作「Tier1姉妹」について

──執筆はいつ頃からされていましたか。

 連れカノアニメのアフレコを見に行った時に、担当さんに『そろそろ新作を考えている』とお伝えした記憶があります。
 実際に打ち合わせが始まったのはアニメが終わった後、2022年の9月くらいです。私も担当さんもちょうどSplatoon3をやってました。

──新作としては久々の恋愛(ラブコメ)ジャンルですが、新シリーズが恋愛ものになったきっかけがあればお願いします。

 先ほども触れましたが、連れカノで書くべきことがもう数えられるくらいになってきて、連れカノで蓄えてきた知見をそろそろ形にするべきだろう、と思ったからです。
 私の中にはいろんな案があって、中にはSF要素を絡めたものもありました。

──恋愛(ラブコメ)は今までにも書かれていらっしゃいますが、「メインヒロインが複数登場」する「ヒロインレースもの」は新たな挑戦かと思います。

 オンリーヒロインでできることはほぼ連れカノでやりきってしまったので、次はマルチヒロインでやろう、というのは最初から決めてました。
 それに、やっぱりラブコメといえばヒロインレースだし、1回くらいは真面目に向き合うべきじゃないかという考えもありました。
 それと、これも連れカノを書いていて思ったんですが、たぶん私、失恋シーン書くの結構うまい。

──一枚の写真と一通のメッセージがあることで、ぐっとミステリーのような要素も入ってこちらも気になります。

 すでにすべての手掛かりは示されています――と言いたいところなんですが、さすがに小出しにしていく予定です。
 ただ、1巻の中にも伏線として書いたシーンやセリフが存在します。いろいろと想像を膨らませて、小出しに明かされていく新情報に備えておくと楽しいと思います。

──「Tier1姉妹」というタイトルに込められた意味・想いがあればお聞かせください。

 大した意味はないんですが、担当さんとの打ち合わせの中で『全てのヒロインと平等に関係を築けるソーシャルゲームの主人公的な立場には何があるか』と、片っ端からリストアップしたことがありました。
 その中で、既存作品にも使われている『家庭教師』はいろんな面でメリットがあってTierが高いよね、Tier1だよね、という話をしたところから着想したタイトルです。
 ゲームのキャラや武器のTierが変動するように、現実の『憧れの人』のTierも時代に応じて変動するよなー、今だったら誰だろう? そんなことを考えて作りました。

──四姉妹の職業が「VTuber」「配信者」「プロゲーマー」「声優」となっていますが、紙城先生が興味がある、またなってみたいのはどの職業ですか。

 強いて言うならVTuberですが、口下手なので絶対無理だと思いますね。

──四姉妹の中で紙城先生のお気に入り、もしくは仲良くできそうなのは誰ですか。

 全員お気に入りです、と優等生な回答をしておきます。
 無事エンディングまでたどり着けたら、多分未来の私は血の涙を流しながらそのシーンを書くことになります。

──主人公はバイトで家事代行を行うことになりましたが、先生ご自身は家事にこだわりがあったりしますか。

 まったくないです!
 強いて言うならできるだけ自動化して効率よくすること。

──最後に作品の見どころをお願いいたします。

 主人公とヒロインひとりひとりの関係性を楽しむだけでも十分です。
 その上で今作では、メールを送ってきたのは誰なのか? 彼女たちはどんな想いを持ってそれぞれの活動をしているのか? そういったドラマの奥行きを作っています。
 誰かに認められなければ生きていけないヒロインたちと、誰かに認められて生きていくことを拒絶する主人公、その関わりを見守っていただければと思います。
 この世で一番承認欲求を満たすのって、好きな人に選ばれることだよね。

──ありがとうございました!!

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