株式会社KADOKAWA
エンタテインメントノベル局 部長
万木 壮
著者: らきるち
イラスト: あさぎり
110ページで恋をして、容赦なき暴虐に170ページ晒される。それが『絶深海のソラリス』。
読んだ後に必ず語りたくなる本作の魅力は、その帯が端的に示す通り。曰く「絶望率100%」。ヒロインの魅力にひきこまれる前半の多幸感を後悔したくなる後半のノンストップ悲劇の数々。発売当時を思い起こせば、「これ本当にラノベ?」「ハーレム学園ものだと思ったのに…」といったため息交じりの感想と「確かに絶望したが面白かった」と称賛の声も多く見られたのも印象的でした。
ミナトは水使いという特殊能力を持つ美少女達を率いる新米教官。
わがままだったりマイペースだったりの生徒たちに振り回されながら教官としてやりがいを得るミナトだったが遠征演習で向かった深海都市で、世界の誰も知らぬ「絶望」と出会う。衝撃に次ぐ衝撃、立て続けに迫られる決断に、塗り重ねられる悪夢。悲鳴すら響かぬ海底で繰り広げられるクリーチャーパニックアクションストーリー。ただ残酷なだけでなく物語の終わりに主人公の掌に残ったもの。それこそが語りたくなるこの作品の魅力なのかもしれません。読み終えた皆さんの心に何が残ったか。ぜひ聞かせていただきたいですね。
万木 壮 (ゆるぎ そう)
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