プロローグ:おっぱいと恋人は同時にやって来る
願いや望みは、声に出したほうが叶いやすい。
抑え込んだ衝動は、声に出したほうが解消しやすい。
そんな気がする。
そんな気がするからこそ、少年は人気のない高台で目一杯肺を膨らます。
そして、喉が張り裂けそうなくらい、柄にもなく叫ぶ。
「おっぱい揉みたーーーーーーー~~~い!!!」
しかし、今はとてつもなく胸を揉みたくて揉みたくて仕方なかった。
願望は天井知らず。
「俺だって
ゆっくりと落ちていく夕陽でさえ、ズッコケそうになる願望の数々。
ひねくれた神ならば、近所のオバハンを召喚したり、牧場でやってるヤギの乳絞り体験コーナーにでも転送しただろう。
ひねくれた神ならば。
「あ、あのっ!」
「おっぱ——! へ?」
景気づけに、もうひと揉み叫ぼうとする
それもそのはず。声のする後方へと振り向けば、少女が立っているのだから。
同じ学校の制服を着ていて、蝶リボンは赤色。入学したての新入生だろう。
とても可愛らしい子だった。小柄な背丈に相応しいあどけない童顔。幼さの中にもパッチリ大きく開いた瞳が、意志の強さと愛くるしさを見事に両立させている。少し緊張しているのか、瞳は若干潤みがかっていて、胸前で握った両拳は小刻みに震えている。
その姿は子猫そのもの。守ってあげたくなるような、段ボール箱の中で鳴いていたら拾って帰りたくなるような。そんな可愛らしい子。
そんな少女に
数年ぶりだろうと、多少外見が変わっていようとも忘れてはいなかった。
しかし、今は当時を懐かしむ余裕など皆無。懐かしさを感じる以上に、羞恥心のメーターが振り切っている。
当たり前だ。今までの発言、おっぱい揉みたい発言を、年頃の女子高生に聞かれているのだから。
『穴があったら入りたい』どころか、『穴があったら土葬してほしい』レベル。
丁度、高台だし、このままフライアウェイするのも悪くないと考えていると、
「おっぱい!」
「ひゃい! ……え?」
少女の口から出るおっぱい発言に、
「おっぱいがどうしたんですか?」と顔に書いたまま硬直していると、少女は距離を1歩、2歩、と詰めてくる。
ついには、小さな少女が目の前に。
そして、
「あの……、お、おっぱい揉ませたら、私と付き合ってくれますか……?」
「…………。え?」
まだ伝わらないのならと、少女は声を大にして思いの丈をぶつける。
「ずっと大好きでした! おっぱい揉んでいいので、私と付き合ってください!」
「……………………。ええっ!?」
おっぱいモミモミする権利及び、彼女ゲット?