魔王学園の反逆者 ~人類初の魔王候補、眷属少女と王座を目指して成り上がる~

プロローグ


 意識を取り戻すと、ひめかみリゼル先輩が俺にまたがっていた。

「気が付いた? ユート」

 リゼル先輩は俺に優しく微笑ほほえみかけ、顔を軽く傾ける。艶やかな長い黒髪が、さらりと肩から胸に流れた。

 二つの豊かな山をけるように流れる黒が、白い肌に映えて美しい。

 大きく盛り上がった二つの胸には、透けてしまいそうな黒の下着。しかしかたひもは外れ、辛うじて胸に引っかかっている状態だ。

 首を起こして自分の下半身を見ようとすると、代わりに先輩のガーターベルトと黒のストッキングに包まれた太もも、そしてブラとセットアップのパンツが目に入る。

 ヤバ過ぎる光景だった。

 再び枕に頭を預けると、また先輩のおっぱいが目に飛びこんでくる。ただでさえ大きなおっぱいなのに、下から見上げると迫力が倍増だ。

 胸ではなく、優しく微笑む先輩の顔を見ようとするが、その顔がおっぱい越しにあるので、どうしても気になってしまう。

「え、えっと……ここは」

 どこかとこうとして、見慣れた部室であることに気が付いた。

 そして背中には寝心地の良いベッドの感触。

 世界広しと言えど、控え室の備品にキングサイズのベッドが認められるのは、この私立ぎんせい学園──通称『魔王学園』くらいのものだろう。

「俺、また魔力を使いすぎて気を失ったのか……すみません。手間をかけさせて」

 しかしリゼル先輩は首を横に振る。その度に髪が揺れ、胸も揺れる。ブラが今にも落ちそうになった。

「そんなことないわ。ユートは今日もよく頑張ったわよ。だから……」

 リゼル先輩はうるんだ瞳で、魅惑的に微笑む。

「私たちがたっぷりご奉仕して、癒やして、回復させてあげるわね♥」

 その時、俺の右腕がものすごい弾力に挟まれた。

 右を向くと、俺の右腕を抱えて添い寝をしているのは、金髪ギャル。

「今日のユートは、キラーンってカッコ良かったしね! えへへ、アタシも頑張ってぎゃるんと癒やしてあげるからね! たーっぷり気持ち良くなってね♡」

 発言内容に擬音が多すぎて、若干意味不明なのは──ゆうがおみやび

 俺と同学年の一年生ながら、規格外の爆乳に大きなお尻、むっちりした太ももと、恐ろしくせんじよう的な体をしている。

 そんな、もはや凶器のような肉体を、ぐりぐりと俺に押し付けてくる。

 左腕には、対照的な感触。

「れいなも、れいなも、精一杯ご主人さまを癒やして差し上げます」

 左を向くと、銀色の髪。

 幼さの残る可愛かわいらしい顔に、精一杯の頑張りをにじませている少女がいる。

 いわれいな。まだ十三歳の中等部二年生。

 小柄でつるぺたな体だが、背伸びをしたセクシーなランジェリーに身を包み、けなにも俺の左半身に密着させている。

「ユートさん、ユートさん? 痛いところはないですか? 気分が悪いとかないですか? あ、おなか減ってたりとか……はっ! 喉渇いてませんか!?」

 れいなは、やけに俺を甘やかすというか、過保護なのだ……俺の方が年上なのに。

 そのとき腹筋に、やけに繊細な布の肌触りを感じた。

 黒のブラジャーが俺の腹の上に載っている。

 見上げると、左右の手の平で胸の先を隠しているリゼル先輩が、艶然と微笑んでいた。

「ユート……私たちの体で何度でも回復させてあげるわ。そして、きっとあなたを『次期魔王』にしてみせる」

 俺の名はもりおかゆう

 一ヶ月前までは、ただの高校生。

 それが今では、悪魔たちが通う魔王学園の生徒で、次期魔王候補だ。

 まさか、こんなとびきりの美少女三人に癒やされる日々が待っていようとは、想像もしていなかった。

 こんなに尽くしてくれる彼女たちのためにも、俺は必ず魔王になる。

 しかし敵もまた、俺と同じ『魔王のアルカナ』を持つ次期魔王候補。

 一筋縄ではいかない、究極の化物ども。

 そんな選び抜かれた魔族の精鋭に対し、俺は何の変哲もない、ただの人間に過ぎない。

 だが、それでも俺は勝たねばならない。

 それが『魔王のアルカナ』を手にしたあの日、


 ──あの日の朝から始まった、俺の運命なのだから。

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