第二章 レベルアップの恩恵(2)
「そう言えば、あの畑には何が育ててあるのかな?」
服を手に入れた俺は、一日
さらに言えば、
せっかくこうして時間があるわけだし、何よりこの春休みが終わってしまったらまた
そう思った俺は、家の外に出て、畑を
「おぉ、なんかよく分からない草と野菜? が植えられてるな」
雑草と見間違えそうになる草と、トマトらしきものや大根らしきものがたくさん植えられている。
草の方は、綺麗に並んで生えているから、雑草じゃないと判断できた。
「ん? あ、あれで水をやってたのか」
畑のすぐ近くに、銀色のジョウロが置いてある。
そのジョウロを持ってみると、中には水が入っていた。
「……もしかしてだけど、このジョウロもなんか特別なの?」
もしやと思い、一応
【無限のジョウロ】……水が無限に
「もう慣れてきた」
うん、分かってた。
そんなことだろうと思ってたさ。
もともとの家主である賢者さんは、俺の想像を
そんな人が死んだってのも
「んで? この作物は?」
まず草に鑑定をかけてみる。
すると……。
【
「やっぱり慣れなかったわ」
まさかここまでぶっ飛んだ効果だとは思わないだろ!?
これ、完全に医者泣かせな植物だよな。
取りあえず、育てるのが簡単ってことだけでも分かってよかったわ。
「じゃあ、他のは?」
どこか
【
【無敵かぼちゃ】……食べれば
【
【神速ジャガイモ】……食べれば
よし、言いたいことが山盛りだな。
まさかステータス上昇アイテムとはね! 賢者さんはどこを目指してたんだよ!
それに、例に違わず勝手に種を残すって意味が分からないよな! そもそもジャガイモって種だっけ? 違うよな?
このファンタジー要素
「……まあ、食えるようだし、何よりステータスが上がるなら……食べようか」
そもそも、食えるのであれば、その分食費も
「なんていうか……朝っぱらから疲れるなぁ」
まだ昼前だというのに、俺はすでに精神的に疲れていた。いや、仕方ないと思うんだけどね。
そんな風に思っていると、昨日ブラッディ・オーガと出会ったときの様な
すぐにその方向に視線を向けると、そこには真っ黒なスライムらしき物体が。
「……何だアレ」
思わず鑑定をかけてみる。
すると、こう表示された。
【ヘルスライム】
レベル:200、魔力:5000、攻撃力:1000、防御力:5000、俊敏力:100、知力:100、運:100
「マジかよ……」
ブラッディ・オーガの次は、ヘルスライムですか……。
あの、どう考えてもこの森、初心者向きの場所じゃないよね? いや、賢者さんがそんな場所にいたとは
ただ、魔力と防御力だけなら昨日出会ったブラッディ・オーガと変わらないはずなのに、俺は不思議と冷静だった。
確かに威圧感みたいなのは感じるのだが、昨日の様にすごく
いや、怖くないわけじゃなくて、
昨日より俺のレベルが上がったからとか、逆にこのヘルスライムがブラッディ・オーガよりレベルが低いからとか、そんな理由じゃない。
なんか、昨日とは精神構造が変わってしまったような、そんな感じなのだ。
……それを実感できるのも怖いことだが、まあ冷静な考えができるというのはありがたい。
そんな風に落ち着いてヘルスライムを観察していると、ブラッディ・オーガのように、この家の敷地の中に入ろうとすごい勢いで体当たりを
「いや、本当にこの世界の生き物怖すぎるだろ……」
いくらなんでも
……そもそも地球が平和すぎるだけなんだろうか?
「まあいいや。あまり敷地から出たくはないけど、この家の周辺くらいは調べてみたいよな。そうなると、今の
そう思いながら、俺は【アイテムボックス】から【
「あれ?
何と、俺は【絶槍】を片手で持つことができたのだ。うん、これが普通なんだろうけど、俺としてはすごいことだった。
まさか片手で
すると、多少槍に振り回されはするものの、何とか
「おいおい、レベルアップの
これ、槍の使い方とか分からないから振り回されてるって感じだし、本で槍の使い方を調べてからその通りに使ってみたらどうなるかな?
簡単にはできないだろうけど、それでもこうして槍が使えるようになったわけだし、何より男としてそれは非常に
「そのためにも、まずはアイツをどうにかしないとな」
俺は槍を
なんか
「ウソだろ!?」
すると、槍は俺の予想以上のスピードで飛んでいく……どころか、気づいたらヘルスライムの
俺の力は、俺が思ってる以上に強化されていたようで、まさか投げた本人の認識以上の速度で飛んでいくとは思わなかった。
ヘルスライムは、少し体を
そして、その場にはまたも同じようにいろいろなものが散乱していた。
「…………回収しよう」
まだ現実味がなく、微妙な気持ちだったが、何が落ちているのかは気になったため、すぐに入り口まで向かった。
そして、辺りを
【ヘルスライムの
【ヘルスライムゼリー】……コーヒー味のゼリー。食べれば、魔力と防御力が増える。
【
「コーヒーゼリーかよ!?」
まさか、手に入ったものの中に、コーヒーゼリーに近いものがあるとは思わなかった。それどころか、畑の作物と同じようにステータス上昇系だともな!
そしてまた、魔石も手に入った。……これ、またもや高値で
期待していないと言えばウソになる。俺の生活は厳しいから、お金が手に入るなら欲しいのだ。
ヘルスライムの核も、使い方が分からないので、できるなら換金したい。ヘルスライムゼリーは持って帰るけど。
落ちていた品々を鑑定していると、一つ鑑定し
「あ、もう一つ落ちてた」
落ちてた物は、オシャレな三日月に黒色の宝石みたいなものが
「まさかのアクセサリー!?」
俺はゲームなど
ってよく考えれば、ブラッディ・オーガも
取りあえず、ヘルスライムから手に入れたことに変わりはないので、
【
まさかのレアドロップアイテムだった。
まあ、スライムがオシャレってのも意味が分からないしな。ちょっと残念だけど。
でも、効果は非常に良さそうだ。夜の間だけとはいえ、ステータスが上昇するらしいし、それ以外にも魔力を回復させてくれるのだ。魔力の使い方が分からないけどな。
せっかく手に入れた初のレアドロップアイテムなので、俺は装備してみることに。ネックレスなんて着けたことねぇや。
「似合ってるかねぇ?」
以前の俺なら完全に似合ってなかっただろうが、今は
そんな希望を
『レベルが上がりました。スキル【気配察知】を習得しました』
「え」
いや、ちょっと待て。
あの激痛をもう一度味わわないといけないのか!? 確かにレベルは相手のほうが上だったし、レベルアップも理解できる。だが理解できても
取りあえず、一時的でも現実
【気配察知】……気配を察知することができる。
すごく簡単な説明だったが、つまり
さっきみたいに、アイテムを回収するときは敷地の外に出なきゃダメなわけで、その間の危険度を減らせる。
新たなスキルに満足したところで、とうとうステータスの確認に移った。
【天上優夜】
職業:なし、レベル:150、魔力:2000、
スキル:《鑑定》《
結構上がってた。
てか、どれもキリよすぎじゃね? こういうもんなの? 見やすいからいいけどさ。
「まあいいや。BPを割り振ってしまおう」
ちょっと考えた後、俺はBPを割り振った。
その結果がこれだ。
【天上優夜】
職業:なし、レベル:150、魔力:2000、攻撃力:4500、防御力:4500、俊敏力:4500、知力:2000、運:6500、BP:0
スキル:《鑑定》《忍耐》《アイテムボックス》《言語理解》《真武術:1》《気配察知》
称号:《扉の主》《家の主》《異世界人》《初めて異世界を訪れた者》
前とは
その代わり、運に2000ほど割り振ったのは、さっきのレアドロップアイテムがあったからだ。
完全な予想だが、この運というステータスが高ければ、さっきみたいに手に入りにくいだろうレアドロップアイテムがまた手に入るかもしれない。
それに、運がいいってだけでなんだか嬉しいしな。
朝っぱらからイベントの連続だったが、もう昼になったので、俺は一度家に戻るのだった。