あらすじ紹介
涙氷の降るその山脈で雪蟷螂の女が起つ。 この婚礼に永遠の祝福を。 長きにわたって氷血戦争を続けていたフェルビエ族とミルデ族。その戦に終止符を打つため、ひとつの約束がなされた。それは、想い人を喰らう“雪蟷螂”とも言われるフェルビエ族の女族長アルテシアと、永遠生を信仰する敵族ミルデ族長オウガの政略結婚だった。しかし、その約束の儀は、世代を超えた様々な思惑が交錯することによって阻まれる。果たして、極寒の地に舞う恋の行方は……。
みんなからのレビュー
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*すずらん*
108色が失われた真白に生を表す赤のコントラスト。許したいし許されたい。愛したいし愛されたい。その究極の形を…あなたを喰べてもいいですか?雪蟷螂と喩えられるフェルビエの女達の物語り。永きに渡るミルデとの闘いを、流れ続けた血を交える事で終結させる約束した時から、きっとこの運命は決まっていた。白い雪に赤い血が滲めば、汚く黒ずむ。真実の春は、血が滲む事のなかった雪が溶けた時に初めて訪れる事を知っているから…一族の長達の、責任と哀しみと諦めとそして愛憎。この物語りを、冬が明け切る前に読み終える事が出来て本当に良かった 続きを読む…
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うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
7710年という長きにわたって続いたフェルビエ族とミルデ族との停戦。その平和を恒久のものとするためにフェルビエ族の族長・アルテシアは、ミルデ族の族長・オウガの元に嫁ぐ定めとなっていた。しかし彼女を待ち受けていたのは・・。人喰い三部作第3弾。淡々と物語が進む中、時折みせる想いの深さや激しさに思わずクラリとなりそうでした。特に210ページの挿絵のシーンには参りました!ある意味殺人的だと思います。他の著書も読んでみたいです。★★★★ 続きを読む…
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Shinji
74人喰い三部作の最終譚。前二作とは違った趣で、今回は人を喰う魔物は出てこないです。肌を晒せば、そのまま裂けてしまうほどの極寒を舞台に、一族としての熱情、それぞれに抱える秘めた想い、登場人物全てそれを持っていました!オウガの純粋な葛藤、アルテシアの婚礼に対する意識にそれぞれの族長としての立場が痛いほど感じられました。重く苦しく進む話ですが、アルテシア、オウガよりもルイ、トーチカの覚悟が最後に大きく響きましたね!「たとえば狂うほどの恋を、なしとげた人間を、幸福という以外、なんと呼べばいいのか…」共感でした! 続きを読む…
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ひめありす@灯れ松明の火
71蟷螂は雄を喰らう。雪蟷螂は男を喰らう。それが唯一つ己の焔を燃え上がらせると知っているから。雪と氷の世界で育まれる恋情は凍てつく様に熱くて、凍える様に焦がされる。貴方が欲しい。喰らい尽くしてしまいたい程に。血の一滴も残さず余さず、私の物になってしまえ。もし血の一滴が雪を染めるなら、その雪ごと私は啜る。貴方の残滓をこの世界には残さない。与える事などできなかった。奪う事しか考えられなかった。何一つ獲られるには惜しかったから。唯一つ腹に収めては手に入れられなかったのは貴方の掌の熱、次の生では存分に温め合えます様に 続きを読む…
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らじこ
66毒吐姫に続く宝物の一冊。ジブリのもののけ姫にも似た生々しい生への情熱と渇望。激情の愛が厳しい雪原の描写によく似合っていてとても美しく、荒れ狂う吹雪に切り裂かれるような痛みを感じた。著者の言葉の言い回しが馴染みやすく、文章を目で追うだけで壮大な雪景色が広がっていくところが素晴らしい。アルテシアの持つ夜空のような静寂や内に秘める熱、鮮烈な色香も好きだけれど、称賛はその影を、命を張って遂行したルイに送りたい。ロージアの思いの激しさは経験があるぶんだけ痛く、悲しく、胸を抉ってくれたが美しい終わりだったと思う。 続きを読む…
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製品情報
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レーベル
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発売日2009/02/10
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定価605円(本体550円+税)
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ISBN9784048675239