あらすじ紹介
「あなたの担当編集をさせてください、柊先輩」
ある日、無気力な男子高校生・柊悠人の前に現れた自称編集者の女子高生・夏目琴葉。
彼女は悠人に小説を書いてほしいと付きまとってくる。いくら断られても、決して諦めずに。
……まさか、知られたのか? 自分がかつて、世間から天才だともてはやされたプロの小説家だったことを。その過去から逃げるため、知り合いもいない地方の高校にやってきたというのに。
筆を折った元天才小説家と、ある”重大な秘密”を抱えた編集者女子高生が紡ぐ、感動必至の青春ストーリー、ここに開幕――。
みんなからのレビュー
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オセロ
47これは良かったですね。 かつては天才小説家と世間で騒がれたものの、とある事情で自ら筆を折った柊悠人。そんな悠人の前に突如として現れ、彼の担当編集者をやらせてほしいという夏目琴葉。琴葉の企みと熱意に押し負けて悠人が請け負った演劇の脚本の執筆をキッカケに互いのことを知っていくというよくある展開ではあるものの、琴葉が抱えるものはあまりにも重いもので。そんな琴葉に悠人が捧げた物語が彼女の心を動かす展開、そして何よりご都合主義ではない結末が個人的にはとても好みでした。 続きを読む…
ネタバレあり -
よっち
44筆を折った元天才小説家で無気力な日々を過ごす高校生の柊悠人。そんな彼が自称編集者の後輩・夏目琴葉と運命の出会いを果たす青春小説。世間から天才だともてはやされたプロの小説家だった過去から逃げるため、知り合いがいない地方の高校にやってきた悠人と、彼の文才を読書感想文の文集から見出してみせた琴葉。彼女のツテで演劇部の脚本を担当したことをきっかけに物語としても大きく動き始めて、彼女の夢と隠していた秘密が明らかになっていく中、彼女のためにひたむきに創作に取り組んで、その心を大きく揺さぶった結末が印象的な物語でした。 続きを読む…
ネタバレあり -
わたー
39★★★★★出会えて良かった。私はブルーライト文芸が苦手だ。有無を言わせない青春のパワーで殴りかかってくるから。私は難病モノが嫌いだ。現実で理不尽に曝されているのに何で物語でまで理不尽を受けなくちゃあいけないのか。だけどこの物語は大好きだ。中学時代に作家デビューするも、とある出来事によって筆を折った主人公。彼の前に自らを編集者であると称する後輩女子が現れることから始まる物語。面白かったし、なにより、私の信じる「創作のチカラ」を感じさせる展開だったのが非常に良かった。教室はおろか、自宅にまで 続きを読む…
ネタバレあり -
和尚
25エモい表紙にタイトルに惹かれ、そして間違いなかったです。めちゃくちゃ面白かった。 最近読んだ恋愛ものの中で一番好きでした。 心地よい文章、入り込みやすい二人の主人公、悠人と琴葉の紡ぐ少しずつ近づいていく関係性。 最高に良かった。おすすめです! 続きを読む…
ネタバレあり -
椎名
20良かった、あとがきで作者も言及している通り所謂ブルーライト文芸にあたる一作だと思われる。が、筆を折った天才小説家の主人公と、それを無理矢理にでも再起させようと奔走するひたむきな未来の編集者であるヒロインという関係が、この作品ならではの味になっていた。何より、小説という媒体の力を信じていると感じられる作品で、これまで様々な小説から軽い言葉になってしまうが希望や気力をもらっていた身としてはやはり刺さるものがある。 続きを読む…
ネタバレあり
製品情報
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レーベル
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発売日2024/05/02
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定価880円(本体800円+税)
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ISBN9784065357323
パートナーのおすすめレビュー(宣伝)
編集者を夢見る琴葉さんの一生懸命さが眩しくて、まさに青春!
だけど悠人くんはある理由があって、小説が書けないんだ…。「作家にここの橋から飛び降りるシーンが書きたいから実際に飛び降りてみてくれって言われたらどうする?」という無茶苦茶な問いかけをする悠人くん。でも、琴葉ちゃんは即座に欄干に足をかけて飛び降りちゃうんだよ! こんなこと、いくら編集者になりたいからって普通の覚悟じゃできないよね? どこまでもひたむきな琴葉ちゃんは見ていて危なっかしいけど、同時にとっても応援したくなっちゃうの!
命を懸けてでもいい作品を作りたい。その夢に向かって行動し続ける琴葉ちゃんの真っ直ぐさが、すごくまぶしいんだよ。それに応えるみたいに、筆を折ったはずの悠人くんも再び物語を紡ぎ始めるの。
こんな風に一つのことに向かって打ち込む人達って素敵だよね。琴葉ちゃんの想いが次第に悠人くんを変えていくのを見ていると「熱い青春だなあ」って、爽やかな気持ちになっちゃった!
作家と編集者という枠組みを超えた関係が胸に迫る作品です
そんな彼を変えたのは、琴葉さんとの出会いです。彼女の熱意に根負けして演劇部の脚本を任された彼は、久しぶりに筆を執ります。物語の構成やキャラクターについて、琴葉さんと徹夜で熱く語り、無我夢中で筆をとる中で、彼はこの上ない充足感を得るんです。自分の才能を信じて、この上なくサポートしてくれる頼もしい相棒がいれば、嬉しいし楽しいに決まっていますよね!
悠人さんの心を無理矢理こじ開けた、パワフルな琴葉さん。実は彼女にも、痛ましい秘密があるようで……。なぜ彼女が悠人さんに固執したのか。なぜ彼女は彼に小説を書かせようとしたのか。その理由を知ったとき、もう一度読み返したいと思ってしまうはずですよ!
「良い物語を創りたい」という固い絆で結ばれた二人は、作家と編集者という関係にはおさまりません。唯一無二の戦友とも呼べる二人の結びつきが、胸に迫る一冊でした!