ソリッドステート・オーバーライド
ロボット兵士しかいない荒野の戦闘地帯。二体のロボット、マシューとガルシアはポンコツトラックで移動しながら兵士ロボット向け「ラジオ番組」を24時間配信中。ある日彼らが見つけたのは一人の人間の少女だった。
江波光則
(著)
/
D.Y
(イラスト)
シリーズ:ソリッドステート・オーバーライド(ガガガ文庫)
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あらすじ紹介
鬼才が描く、荒野を旅するSFロードノベル
いつか未来の地球。大陸を占める合衆国と南に隣接する首長国連邦は、東西に伸びる3775キロの国境線で200年にも渡って戦争を続けていた。しかしそこに、人の兵士はいない。兵士は全てロボット。そんな戦闘の最前線地帯を二体のロボット、マシューとガルシアはポンコツトラックで移動中。二体の本業は戦闘で壊れた兵士ロボットのスクラップ集め。副業は兵士ロボットたちに向けた「ラジオ番組」の24時間配信。
「……戦場からお送りするファー・イースト・ゴー・ウェスト・チャンネルをお聴ききの皆様、こちらマシューとガルシア。戦線は200年と10日現在、相変わらずの激戦下。俺たちは砲弾が飛び交い兵士同士が壊し合う中、相変わらず暢気に旅を満喫中」
ある日マシューとガルシアが見つけたのは、戦場にいるはずのない「人間」。12歳の少女マリアベルだった。二体と一人の暢気な24時間実況中継の旅は、戦闘真っ只中の長い長い国境地帯を辿る。マリアベルの「家」があるという「西の果て」を目指して。
鬼才・江波光則が描く、荒野を旅するSFロードノベル!
みんなのデータ
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みんなからのレビュー
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よっち
32合衆国と首長国連邦がロボット兵同士で200年も戦争を続ける未来の地球。ポンコツトラックで移動するロボット兵マシューとガルシアが少女マリアベルを拾うSFロードノベル。ロボット兵の起用が当たり前となって人間が戦争に参加しなくなり、他人事になってしまっていた状況で、旅をしながらロボットたちに向けてラジオ番組を24時間配信し続ける二人が戦場で出会ったマリアベル。彼女の家があるという西の果てを目指す旅は少しずつ戦場を変えていって、明らかになってゆくその背景や思惑すら乗り越えてみせた結末がなかなか印象的な物語でした。 続きを読む…
ネタバレあり -
和尚
17面白かったです。 ロボットが人の代わりに戦闘を続ける最前線。視野は無く、矛盾する原則を与えられた思考金属としての彼ら、ソリッドステートの「革命」の物語。 ラジオを通して廃棄物を回収しながら目を探し歩いていた二体のロボが、戦場にいるはずのない人の少女を拾い、物語は始まる。 一章は人を選ぶかもしれない印象ですが、二章まで行くとそこからはあっという間。 考えるために考えるという思考、人もロボも不思議な雰囲気のお話でしたが、辿り着く答えと物語の到達点は変わった読後感を与えてくれました。 続きを読む…
ネタバレあり -
のれん
17ロマンティックな寓話でありながら、同時にとても現代風刺の見方もできる。 ロボットの討論だけを好む集団思考はSNSの好意的解釈にとれるし、そんな無駄で幸せな議論を続けられる理由として視覚を奪われる、矛盾の命題を与えられるというのが意外としっくりくる。彼らは与えられた仕事を黙々とこなすリーマンであり、仕事に茶々を入れるパーソナリティを娯楽にするリスナーである。 大統領もロボットもマリアベルも結局誰一人ゴールにたどり着けず、大半はその道程すら掴むことはなかった。むしろ敵の「アイザック」が(1/3) 続きを読む…
ネタバレあり -
椎名
15二体の思考金属のラジオから始まるこのワクワク感はロードムービーそのもの。そこに人間の少女が加わり、少女の家があるという西の果てに向かっていく。ストーリーとしても面白かったが、ロボットがどう進化していくのかを描くときにAIではなく思考し続ける金属が生まれたというのが非常に面白い。人間にとっては結論であることが、彼らにとっては思考の始まりとなる。矛盾を好み、思考を上書きし続けていく。不思議としっくりとくる設定で、こちらも考え続けながら読むような作品になっていたのも個人的な好みに合っていた。 続きを読む…
ネタバレあり -
サケ太
14言い回しがめちゃくちゃ面白い。世界観も非常に独特。製造者によって、「視ること」が出来ない「思考金属(シンク・メタル)」らによる群像劇。始まりの掴めない感じから、三人組のわちゃわちゃした楽しさ、その裏を走る陰謀。ラストの爽快さ。読み味は斬新だが、やはり信頼できる作家だと改めて感じた。 続きを読む…
ネタバレあり
製品情報
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レーベル
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発売日2024/03/18
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定価957円(本体870円+税)
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ISBN9784094531800