あらすじ紹介
トウリ・ノエル二等衛生兵。彼女は回復魔法への適性を見出され、生まれ育った孤児院への資金援助のため軍に志願した。しかし魔法の訓練も受けないまま、トウリは最も過酷な戦闘が繰り広げられている「西部戦線」の突撃部隊へと配属されてしまう。彼女に与えられた任務は戦線のエースであるガーバックの専属衛生兵となり、絶対に彼を死なせないようにすること。けれど最強の兵士と名高いガーバックは部下を見殺しにしてでも戦果を上げる最低の指揮官でもあった! 理不尽な命令と暴力の前にトウリは日々疲弊していく。それでも彼女はただ生き残るために奮闘するのだが――。
みんなからのレビュー
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なっぱaaua
40TSとは転生のことだったか。転生先は魔法が使える戦争をしている国。主人公トウリは孤児で戦場に行かざるを得なかった衛生兵。ガーバック小隊という最前線に送られる。物語はトウリの日記形式で淡々と進む。一方、戦後トウリの日記を発見するセドル・ウェーバーの視点も入る。小隊は歩兵であり損耗は激しい。トウリの周りでもどんどん兵士が死んでいく。ガーバック小隊長はパワハラだけど、生き抜く術を身に付けている。トウリは少しずつ成長していくがこの物語の着地点はどこにあるのか見えない。この後トウリがどうなるのか楽しみだし怖い。 続きを読む…
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よっち
36彼女は回復魔法への適性を見出され、生まれ育った孤児院への資金援助のため軍に志願したトウリ・ノエル二等衛生兵。彼女の戦場日記を通じて描かれる過酷な戦場の物語。FPSが得意だった前世から転生して、性別も変わった彼女が、最も過酷な戦闘が繰り広げられている「西部戦線」の突撃部隊へと配属され、戦線のエースであるガーバックの専属衛生兵となり、絶対に彼を死なせないようにする任務を与えられる展開で、ゲームとは何もかも違う過酷な戦場で戦う登場人物たちが魅力的に描かれていて、懸命に足掻く泥沼の展開はどこまでも壮絶でしたね…。 続きを読む…
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わたー
33★★★★★カルロ・ゼン先生がおススメする時点で内容は薄々察していたが、予想よりもはるかにエグみが強い作品だった。前世はFPSのトッププレイヤーだった主人公がTS転生。生まれ育った孤児院の助けになるべく志願兵として最前線に送られることから始まる戦争モノ。地球で言うところの第一次大戦ぐらいの歩兵による塹壕戦によって、日々、前線が書き換わる戦いが10年続いたという泥沼の戦場に何故か突撃部隊の衛生兵として配属されることに。さらに、直属の上司は暴力で以って部下を精神的に支配し、無謀な突撃を繰り返して 続きを読む…
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こも 零細企業営業
32戦場の塹壕の中。同じ孤児院の男の子は初日で死に、小隊の仲間も次々と死に。仲間殺しと噂される隊長に怒鳴られ、詰られ、殴られる。そして戦況は一進一退。だが相手国の情勢が不安定となり数ヶ月攻勢がなかったが、、突如、シルフ攻勢と呼ばれる無謀な多点同時突破作戦による攻勢が敢行される。大きな戦況を知らない主人公達は動揺しながらも、パワハラな上官の指揮の下、何とか要塞都市まで逃げ延びる。 続きを読む…
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tomo58
24予想以上に読ませる本。塹壕戦を戦う兵隊達が、きわめて過酷で、明日をも知れぬ日常を、淡々と生きているのが印象に残りました。TSは転生の略の様。でも、転生のチート要素はほぼなく、わずかに回復や盾という(あまり強力でない)魔法を数回使えるくらいの世界観。孤児院で回復魔法の才能を持つことが分かったトウリは、衛生兵として、エースのガーバックの小隊に配属される。彼女は、仲間が次々と死んでゆくなかで、手助けできない自分の無力さに悩みます。そんな悲惨な日常を、ある種の諦観を持ちつつも、懸命に生きていくトウリの姿がけなげ。 続きを読む…
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製品情報
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レーベル
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発売日2023/07/28
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定価1430円(本体1300円+税)
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ISBN9784047375420
パートナーのおすすめレビュー(宣伝)
ファンタジー世界でのリアルで残酷な日々。主人公は何を想う?
転生してチート無双ではなく、トウリのスキルは平凡な治癒魔法だけ。せっかく仲良くなった仲間たちも次々と命を落としていく。どこまでも不利な戦況だって当たり前さ、だってこれは“本物の戦争”だからね。
軍人が自分の出世のために部下を利用することは日常茶飯事。吐くほどの過酷な訓練に、理不尽な体罰。ゲームプレイヤーがイメージするような勇ましさや爽快さとは無縁の、生々しくどす黒い日々がそこには広がっているんだ。
兵士たちの手当ても、実際の医療行為にのっとったものだよ。塹壕での悲惨な血下痢や、傷から忍び込む敗血症といった、限りなく現実世界に沿った物理現象が戦場を支配している。まるで現実の戦争ルポタージュを読んでいるみたいな気分で、これがフィクションだってことをつい忘れちゃったよ。それくらい、この作品は徹底的にリアルで無慈悲なんだ。
戦いの中でトウリは何を想うのか、ぜひ見届けてほしいな。
深い絶望を背負ってでも懸命に生きようとする主人公を心から応援したくなります
しかしそんな彼女に、過酷すぎる転機が訪れます。兵士の一人が、彼女を守って目の前で死んでしまうのです。心を閉ざしていたはずの自分が、深く傷ついている。それに気付いて、「一人ではこの戦場を生き抜けない」と彼女は悟ります。そこから少しずつ、仲間たちと交流するようになっていくのですよ。
戦争において、人間の価値は呆れるほど軽いものです。彼らが持つ事情や願いといったもの一切を無視して、命はあっけなく奪われていきます。そんな彼らを、トウリさんは淡々とした目線で見つめます。理不尽に奪われた未来に心を痛め、戦争の残虐さに絶望しながら。
トウリさんと彼らとの人生の一瞬の交錯は、背負いがたいほど重く、読んだ後に苦みを残すものです。しかしだからこそ、私たちの心を深く震わせるのです。
哀しみの中もなお、懸命に生き延びようとするトウリさんは痛々しくけなげで、心の底から「死なないで」と祈ってしまいます。命とは何か、なぜ人は死ぬのか。根源的な問いを考えさせられる作品ですよ。