あらすじ紹介
第15回GA文庫大賞《大賞》受賞作
『このライトノベルがすごい!2024』(宝島社刊)総合新作部門第3位
「打上花火、してみたいんですよね」
花火にはまだ早い四月、東京の夜。
内気な大学生・空野かけるはひとりの女性に出会う。名前は冬月小春。周りから浮くほど美人で、よく笑い、自分と真逆で明るい人。話すと、そんな印象を持った。最初は。
ただ、彼女は目が見えなかった。
それでも毎日、大学へ通い、サークルにも興味を持ち、友達も作った。自分とは違い何も諦めていなかった。
ーー打上花火をする夢も。
目が見えないのに? そんな思い込みはもういらない。気付けば、いつも隣にいた君のため、走り出すーー
ーーこれは、GA文庫大賞史上、最も不自由で、最も自由な恋の物語。
みんなからのレビュー
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オセロ
40幼い頃の経験で内気になった空野かけるが大学で出会ったのは盲目の身でありながら、自分とは真逆の明るくてよく笑う冬月小春。かけるは目が見えなくても前向きな小春の生き方に、小春はかけるのさりげない優しさに惹かれていくが…。ただでさえ好きということを伝えるのは難しい。そこに小春が盲目になった原因の病が絡めば尚の事。それでも友人と協力して小春の夢を叶え、諦めずに支えようとするかけるの想いはまさに純愛。その後、彼らがどんな人生を歩んだのかは是非とも自身の目で見届けてほしい。そこにはきっと優しさと幸せが溢れているから。 続きを読む…
ネタバレあり -
よっち
37内気な空野かけるが大学で出会った周りから浮くほど美人でよく笑い、自分と真逆で明るい女性・冬月小春。目が見えくても真っ直ぐな彼女のありようにいつの間にか惹かれてゆく青春小説。最初はどうすればいいのか戸惑い、それでも気がつくと目で追っていて、相手のことを考えてしまうがゆえになかなかあと一歩が踏み出せない恋。急展開から諦めたくない想いと厳しい現実の葛藤があって、念願だった花火を絡めた儚くてかけがえのない思い出を心に刻み、それぞれの近況が綴られてゆく思いもしなかったその結末に、この物語の本質があったと思いました。 続きを読む…
ネタバレあり -
芳樹
36主人公の大学生・かけると、盲目のヒロイン・小春による大人のボーイ・ミーツ・ガール。ずっと積読本だったのを読み始めたら頁をめくる手が止まらずに一気に読みでした。目が見えないという障害がある小春は、さらに過酷な運命に曝されることになるのですが、彼女の一貫した前向きな姿勢に「生きて楽しむ」ということの尊さを改めて感じる次第です。急転直下の『転』から、優しく迎えたエンディングである『結』に至る展開に、かけるも小春も幸せに生きられたのだなと感激し、年甲斐もなく泣いてしまいました。GA文庫大賞も納得の名作と思います。 続きを読む…
ネタバレあり -
日坂愛衣
28これはあんまり予想通りの王道物語、故に予想を超える感動をくれると思う。これは単純に生きつらいの人々に勇気をくれる物語、故に多くの人に心に残ることが出来ると思う。これは思うた以上に重い物語、故にみんなの背中を押す力があると思う。ただ”健やかなる時も 病める時も 喜びの時も 悲しみの時も 富める時も 貧しい時も これを愛し 敬い 慰め合い 共に助け合い その命ある限り真心を尽くすことを誓う”の一言を表す素敵な物語と思う。こんな真心込めてこの話をこの世に贈る作者やGA文庫に感謝です 続きを読む…
ネタバレあり -
わたー
25★★★☆☆前半は良かったが、後半が正直私の好みではなかった。平凡な大学生の主人公が新歓コンパで、誰よりも素敵な笑顔をする全盲の少女と出会うことから始まるラブコメ。前半は、障がいという不自由さを抱えながらも飛ぶ鳥のように自由な彼女と、そんな彼女との交流で次第に惹かれあっていく二人の姿が丁寧に描写されており、非常に良かった。だが、癌の転移が見つかって…という難病モノへシフトする後半はいただけない。要素を盛りすぎていて何を本当に書きたかったのかテーマがよくわからなくなってしまっていたし、 続きを読む…
ネタバレあり
製品情報
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レーベル
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発売日2023/08/10
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定価726円(本体660円+税)
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ISBN9784815621452
パートナーのおすすめレビュー(宣伝)
GA文庫大賞《大賞》受賞作! 目の見えない少女と内気な青年が織りなす切なすぎる青春ストーリーです
彼女は目が見えなかったのです。コンパをきっかけにかけるさんは小春さんの手助けをするようになり、彼の日常は変わり始めました。
大きなハンデを抱えながらも、小春さんはいつでも自分らしさを失わず、たくさんのことにチャレンジします。そのはつらつとした彼女の明るさは、奥に抱える痛みがあるからこそ鮮やかに輝いてみえるんですよ。自分をかわいそうだと思ってほしくはない。生きて恋をしたい。誰よりも勇敢な小春さんの姿に、私も深く勇気づけられました。
かけるさんが恋に落ちたのは、彼女の容姿が優れているからでも、ましてや彼女がかわいそうだからでもありません。小春さん自身の真っ直ぐな芯の強さゆえなのです。脆さと強さを併せ持つ彼女の魂の美しさが、とても眩しい作品ですね。
小春ちゃんとの出会いが、かける君にもたらす変化と成長にも注目だよ
小春ちゃんと関わるようになったときも最初は素気ない態度をとるんだけど、目の前で困ってる様子を見せられると、つい手を差し伸べちゃうんだ。本当は根が優しい人なんだね!
目の見えない小春ちゃんを、自分の配慮の無さで傷つけてはいないか……自問自答しながらも、かける君は手探りで関わり方を見つけていくよ。あんなに人を避けていたのが嘘みたい。誰かのために悩む姿がとっても誠実で、素敵だなぁ。
花火が好きで、花火をいつか自分であげたい。そう語る小春ちゃんの夢を叶えるために、かける君は懸命に奔走するの。好きな人のためにがむしゃらになるって、王道の青春だよね!
他人と出会って変化していく。そして自分が与えられた勇気と優しさを愛した人に返す。こんな恋に憧れる人も多いんじゃないかな。「人と人との繋がり」っていう深いテーマにも触れているから、身近に感じられるし登場人物たちを応援したくなるんだよ!