
ミリは猫の瞳のなかに住んでいる
これは「僕」が「君」と別れ、「君」が「僕」と出会うまでの物語だ。
著者:
四季大雅
(著者)
/
一色
(イラスト)
シリーズ:ミリは猫の瞳のなかに住んでいる(電撃文庫)
あらすじ紹介
★第29回電撃小説大賞《金賞》受賞作★
瞳を覗き込むことで過去を読み取り追体験する能力を持つ大学生・紙透窈一(かみすきよういち)。退屈な大学生活の最中、彼は野良猫の瞳を通じて、未来視の能力を持つ少女・柚葉美里(ゆずのはみり)と出会う。
猫の瞳越しに過去の世界と会話が成立することに驚くのもつかの間、『ミリ』が告げたのは衝撃的な『未来の話』。
「これから『よーくん』の周りで連続殺人事件が起きるの。だから『探偵』になって運命を変えて」
調査の過程で絆を深める二人。ミリに直接会いたいと願う窈一だったが……
「そっちの時間だと、わたしは、もう――」
死者からの手紙、大学の演劇部内で起こる連続殺人、ミリの言葉の真相──そして、嘘。
過去と未来と現在、真実と虚構が猫の瞳を通じて交錯する、新感覚ボーイミーツガール!
デビュー作『わたしはあなたの涙になりたい』(小学館ガガガ文庫刊)は『このライトノベルがすごい!2023』(宝島社刊)新作部門1位を獲得。
超大型新人が電撃小説大賞の看板を引っ提げて繰り出す衝撃作!
みんなからのレビュー
-
星野流人
35やっぱり四季大雅さん凄いです。読み手の感情を揺さぶるような演出の強い文章で、ものすごく惹き込まれる作品でした。物語のテーマのひとつとなる演劇世界の凄みの描写も、鳥肌が立つほどに圧倒的でした。ただ、ミステリ的な面でいうと、「そうはならんやろ」という難しさが多く見られてしまったかなと……。“呪い”と表現するほど演劇に深く魅入られた彼らだからこそ、銃殺事件よりも演劇を優先して行動していたのかもしれませんが、しかしなんというかクライマックスは違和感のほうが勝ってしまったかもしれません……。警察が空気すぎるし…… 続きを読む…
ネタバレあり
-
よっち
34瞳を覗き込むことで過去を読み取り追体験する大学生・紙透窈一。退屈な大学生活の最中、野良猫の瞳を通じて未来視の少女・柚葉美里と出会うボーイ・ミーツ・ガール。猫の瞳越しに過去の世界と会話が成立する中でミリが依頼する、これから周囲で起きる連続殺人事件が起きる運命を変えて欲しいという願い。演劇部に入部して探る中で浮かび上がる人間関係、容易には変えられない運命、そして彼女の言葉を巡る真相。詰め込まれた要素がやや多く消化不良だった感もありましたが、提示されたヒントから気づいてたどり着いて見せた結末は悪くなかったです。 続きを読む…
ネタバレあり
-
kid
33瞳を覗き込むことで過去を読み取り追体験する能力を持つ大学生・紙透窈一。彼は野良猫の瞳を通じ未来視の能力を持つ少女・柚葉美里と出会う。猫の瞳越しに過去の世界と会話が成立する事に驚くのもつかの間、ミリからの衝撃的な未来の話。これから連続殺人事件が起きる。だから運命を変えて…調査の過程で絆を深める二人。ミリに直接会いたいと願う窈一だったが…死者からの手紙、大学演劇部内で起こる連続殺人、ミリの言葉の真相…そして、嘘。過去と未来と現在、真実と虚構が猫の瞳を通じて交錯する!怒涛の展開に震える…素敵な作品だと思います… 続きを読む…
ネタバレあり
-
オセロ
29瞳を覗き込むことで過去の出来事を追体験することが出来る紙透窈一。コロナの影響で退屈な大学生活を送っていた窈一が猫の瞳を通して未来視の能力を持つ柚葉美里ことミリと出会ったことで連続銃殺事件に巻き込まれていくボール・ミーツ・ガール。 事件の解決とミリに訪れる最悪の出来事を回避する為に入った演劇部でゴタゴタとした人間関係に巻き込まれたりミリとの思わぬ駆け引きがありながらも、能力を駆使して窈一が辿り着いた事件の真相とミリの真意を読み解いて2人が迎えた結末はグッときましたね。 続きを読む…
ネタバレあり
-
のれん
23個人的にタイトルの音の違和感が最初の印象。3文節に分けられるのに、「猫の瞳のなかに」と7音以上になっており、声に出すと「なかに」が余計な感じに。 だが、その「なかに」が作中最大の伏線であり重要な点である。ミリという少女は過去にしかおらず、未来でしか会えない。現在では観測されてはいけない。男への愛に救われた女は、一度だけの逢瀬で男の人生に消えない傷をつけるため世界を変えた。なんとズルい女なのだろうか。 SFもミステリもセカイ系も文学と言う巨人の足で踏みつぶす魔女の純愛サイコホラーとして面白かった。(1/2) 続きを読む…
ネタバレあり
製品情報
-
レーベル
-
発売日2023/03/10
-
定価748円(本体680円+税)
-
ISBN9784049148763
パートナーのおすすめレビュー
第29回電撃小説大賞《金賞》受賞!! ミステリーの論理とSFの異能力が交錯する物語です
未来を視る力を持っていたミリさんは、なんと窈一さんの周りで連続殺人事件が起きることを予言し、彼に事件を防いでもらうよう頼むんです!
ミリさんと共に、能力を使って犯人を探し出す決意をした窈一さん。しかし、過去を視て手掛かりを得たとしても、簡単に信じてはもらえませんよね? どんな事件も答えがわかっていたとして、周囲に納得してもらうためには、論理的な推理を用意する必要があります。そんな逆説的な推理パートにも釘付けなんです!
窈一さんは不思議な能力がある以外は一般人。「名探偵役」を演じる窈一さんが綱渡りながらも事件と向き合っていくなかで、本当の名探偵のように評価されていく過程も爽快ですよ。
ミステリーの論理とSFの異能力が交錯する物語は、予測不能でノンストップのハラハラ感を味わえます!
甘酸っぱさと切なさと…時間を超えた不思議なボーイミーツガール作品だよ
未来を視たミリちゃんによれば、窈一くんは事件解決のために大学の演劇部に入る必要があるんだって。だけど彼は演劇のことを何も知らない上に、入部オーディションまで一週間しかないの! そこで役者経験があるミリちゃんが、演技の先生になるんだよ。
そのなかで、ミリちゃんは窈一くんにお気に入りのシェイクスピアについて語るんだ。演劇のことを話していたかと思えば、夢中になりすぎてフライパンを焦がしちゃうお茶目さも見せたり…。窈一くんの前でコロコロと表情が変わるミリちゃんがかわいくて、ふたりが稽古を通してどんどん仲良くなっていくのが、微笑ましいんだー。
でもミリちゃんの未来には、過酷な運命が待っているらしくて…。その事実を知ってしまった窈一くんは、もちろん彼女を救おうとするよ! 助ける方法を必死で考えるその姿が、どれだけミリちゃんを大切に思っているか伝わってきて…胸がキュッとなるの。
時間を超えて出会った二人の物語は、甘酸っぱさと切なさに満ちていて、彼らの幸せをきっと願いたくなるはずだよ。