あらすじ紹介
「先輩、私と一緒にこの学校に復讐しませんか?」
暴言。人格否定。学力差別。価値観が歪んだこの進学校で、その後輩は突然僕に手を差し伸べた。
黒髪に隠したインナーカラーをなびかせ、悪戯っぽく微笑む彼女の名前は星宮胡桃。
「私、退学するんです。でも、逃げただけになるのは絶対に嫌――だから先輩、一緒に学校を壊しましょう」
有無を言わさず手を握らされ、巻き込まれる。二人ぼっちの反逆の日々。
放課後、二人きりの部室で、僕らはテロを企てる。そして、不純異性交遊に勤しむ。罪を重ね、唇を重ね、背徳的に堕ちていく。
「ねえ、先輩。キスも立派な反抗になると思いませんか?」
これは常識を捨て、優等生をやめ、大人への反逆を誓う――そんな僕らの、悪いコのススメ。
みんなからのレビュー
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オセロ
29成績の悪い人間は成績上位者の言いなりになり、教師から罵声を浴びせられる理不尽極まりない学力主義の学校。そんな学校で先生から“何も言われなくなった”夏目蓮と、学校に傷跡を残してから退学したい星宮胡桃の復讐の物語…。 教師達への意趣返しや、教師達への不信感を抱かせ、成績上位クラスに学校への不満を募らせ、歪な文化祭の在り方をあるべき姿に戻して。順調に復讐が進んでいるように見えて本質が何も変わっていないことに絶望した蓮が、胡桃が復讐したい本当の理由を知って、最後に2人がお越した復讐劇は痛快でした。 続きを読む…
ネタバレあり -
のれん
20受験戦争は誰の期待も生まずに膨張していく。加熱した学歴の羨望は高慢と偏見を生む。秀才あるいは負け組と呼ばれた勉強しかしてこなかった子供たちの視野狭窄は、人種差別に匹敵する洗脳であった。 人生を楽しめないのは己が足りないからだ。その妄言を前提にした絶望に慣れた時、人は弱者を挫いて強者に媚びる。 世界が狭いと知りながら、世界の広さを知らぬ少年と少女の逃避行。行先を知らぬ旅に出たら泣いてしまう、と大人になれず逃げもしなかった私は戦々恐々だったが、そこまではいかなかった。 この暗い無駄こそ青春である。 続きを読む…
ネタバレあり -
真白優樹
13暴言から学力差別まで蔓延る、歪んだ進学校で、はみ出し者の少年が退学を前に復讐を目論む少女に出会い始まる物語。―――深淵に堕ちて引きずり込む、気付かぬ歪みも何もかも。 独特のダーティさと背徳感に満ちた、破壊に向けて突き進む物語であり、一人の少年が闇へと堕ちていく、背筋をぞくりとさせる面白さのある、独自の味が満載の物語である。誰も知らない物語を読んでみたい読者様は是非。果たして一つ、大嵐を巻き起こした二人は何処までいくのか。いつかこの歪み切った世界をぶち壊すことは出来るのか。 次巻も勿論楽しみである。 続きを読む…
ネタバレあり -
桜葵
10読了。 教師や成績上位クラスからの暴言や人格否定、学力差別等、価値観が歪んだ進学校で可愛い後輩、星宮胡桃と手を組み学校を変えていく主人公の物語。 めっちゃ面白い。 後輩と共に学校に復習をしていく姿や徐々に変わっていく主人公の心情等...とても面白かったです。 また二人のキスシーンも良き...。 1巻で完結だと思ったら続きがありそうな終わり方。次巻楽しみにしています。 続きを読む…
ネタバレあり -
TERU
10教師による過度な暴言や人格否定が横行し、生徒達の価値観が歪んでしまった進学校で、その後輩は突然僕に手を差し伸べた。 「先輩、私とこの学校に復讐しませんか?」 歪んだ学校を破壊するため様々な方法を計画実行していく少年少女の物語。 復讐の過程で他者と触れ合い移りゆく主人公の心情描写がとても良く、感情を揺さぶり善悪の判断が鈍くなった所にとどめの一撃を叩き込んでくる爽快感ある物語でした。 続きを読む…
ネタバレあり
製品情報
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レーベル
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発売日2022/12/23
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定価726円(本体660円+税)
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ISBN9784046819383
パートナーのおすすめレビュー(宣伝)
『悪いこと』をする後輩とのイケナイ関係にドキドキ…!!
でも、計画を実行してるふたりはとっても楽しそうなの。『全校生徒暴言配布キャンペーン』では、成績の悪い小テストに書かれている暴言を、上位クラスのテストにも書こうとするんだよ。先生の筆跡の暴言を写したハンコの作成作業では、胡桃ちゃんが彼の不器用さを呆れながらからかったり、ふたりで軽口をたたき合ったり……復讐とは思えないほど、和やかな空気が流れているの。
でも、やっぱりすべての計画が成功するわけじゃないんだよね……。そんなときもふたりは、不純異性交遊禁止の校則を破って、失敗を慰め合うの。そこでキスをするんだけど、そのキスの内容が……うぅ~、わたしの口からはとても言えないよ~! でもキスを繰り返すうちに、ふたりともその背徳感にずるずる引き込まれちゃってるみたい。なんだか読んでるこっちも悪いコになった気持ちで、ドキドキしちゃったなぁ。
根深い差別の構造にも考えさせられる物語です
しかし、胡桃さんが退学を決意したのを機に、思いっきり反抗をしようと彼らは文化祭の復活を企てます。一部の生徒しか参加できない文化祭への抵抗として提案したのが、未参加の生徒だけで催し物をすることでした! 最初は計画に懐疑的だった生徒たちも、蓮さんの考えを聞いて、バーベキューに映画、軽音部のライブ等、様々な企画を立て、学校内の会話も賑やかになっていくんです。やがて学内の雰囲気ががらりと変わっていき、それまで諦観していた下位クラスの生徒たちが、うって変わって生き生きし始めるんですよ。青春を満喫する生徒たちを見ると、胸のすく思いでした。
しかし、学校の根本的な体制や差別意識は変わっていません。それは文化祭にも薄暗い影を落としていきます。身近で理不尽な制度に背く爽快さ以上に、根深い差別の構造にも考えさせられる物語ですね。