あらすじ紹介
少女のために――世界を殺せ。
かつて医者として多くの人を救ってきた荻野知聡。
そんな彼が異世界転生時に授けられたのは、「暗殺者」の天職であった――。
彼は助手の少女ミルとともに遺体の検視を行うかたわら、もしそれが他殺であれば、万物を殺しうる《切除》の異能を振るい、確実に犯人へ復讐を果たす『復讐屋』として日々を過ごしていた。
だがある日、彼の日常は一変する。
『復讐屋』のもとに持ち込まれた子供の変死体。
それを皮切りに頻発する怪事件に、知聡は巻き込まれることになり……?
「僕には、才能があり過ぎた。誰かを殺すという、不快極まりない才能が」
第8回オーバーラップ文庫大賞《金賞》受賞。ファンタジーサスペンス第1幕。
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みんなからのレビュー
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よっち
37妹を救うために医者となった荻野知聡。異世界転生時に「暗殺者」の天職を授けられ、助手の少女ミルと遺体検視を行うかたわら、『復讐屋』として犯人へ復讐を果たすファンタジーサスペンス。彼らのもとに持ち込まれる子供の変死体、墓荒らし、魔物に殺された仲間の復讐、腐死者退治、娼婦への伝言、幸運のお守り騒動。ミルとの邂逅も描かれつつ、彼らが見届けるほろ苦い事件が何かに導かれるように繋がって、思ってもみなかったその結末にはしばし呆然としましたが、大切なもののためには微塵も迷わない知聡のありようがとても印象に残る物語でした。 続きを読む…
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オセロ
29妹を救う為に医者になったチサトが転生した世界で繰り広げるダークファンタジー。 助手のミルと共に検死を行い、検死の結果次第に応じて転生した時に獲得した暗殺者のスキルを活かしたて復讐屋としての日々を過ごしていたチサト。 そんな彼らの元に持ち込まれる、一見すると何の関係のない事件の裏に隠された陰謀が明らかになる展開は圧巻の一言に尽きますね。 そして迎えた予想外のラストは、大切なものをもう二度と失いたくない、というチサトの覚悟が確かに伝わってくるものでした。 続きを読む…
ネタバレあり -
まっさん
27★★★★☆ オーバーラップ文庫大賞金賞受賞作品。 これはかなり刺さりましたね。 物語は医者として人命を救っていた一人の青年が、不慮の事故から命を落とし転生した世界で暗殺者の天職を授かる所から始まるものでした。色々と好みだった要素はありまず、特に好きだったのは小鬼や生霊、屍食鬼や腐死者などが数多く登場する世界観、またそんな世界で人が呆気なく命を散らす残酷な展開の数々が癖になりました。 ただ、気になる部分が2つありました。1つ目はいくつかのエピソードのオチに当たる部分。狂気をアピールしたいのかキャラクター→ 続きを読む…
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ひぬ
22かつて医者として人を救ってきた主人公・荻野知聡は異世界転生時に「暗殺者」としての天性の才能を授けられてしまい、医者としての自分と対極の存在である暗殺者としての今の自分とで葛藤してしまいます。彼は助手の少女・ミルと共に「復讐屋」として日々を過ごしますが、ある事件を皮切りに二人はある陰謀に巻き込まれていきます。思った以上にダークなファンタジー物語でした。各々のエピソードは後味が悪かったですが、それがむしろクセになりそうでした。無関係らしき全ての事件が最後で繋がる展開はとても良かったです。 続きを読む…
ネタバレあり -
佳祐@隣の天使様(原作勢)
19感想としてはあれだけど 読むのが大変だった割と難しい? 本だった 続きを読む…
ネタバレあり
製品情報
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レーベル
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発売日2022/01/25
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定価693円(本体630円+税)
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ISBN9784824000804
パートナーのおすすめレビュー(宣伝)
医師と暗殺者、相反する肩書を持つ男性が主人公の異世界サスペンスだよ
ひとたび事件が起こると、医者だった前世の知識を活かしてまずは検死から。たとえば首の噛み傷の深さから、犯人が食人鬼(グール)か吸血鬼かを判別し、傷の位置から犯人を突き止めるんだ。一瞬で特定してしまうその鮮やかな分析手腕は、まさにその道のプロって感じだね。
ところで彼には『復讐屋』という別の顔もあるんだ。スキル《切除(レセクション)》を使ったモンスターへの復讐代行。「万物を殺す」このスキルは、肉体だけでなく硬い岩も触れれば殺すし、空間を殺して風を巻き起こすこともできる。
千差万別な使い方ができる一方で、その力が強すぎることによる弊害もあるんだよね。というのも、医者という職業に思い入れの強いチサトは、いまも人助けをしたいという気持ちが強いんだ。
でも《切除》のスキルが強すぎるせいで、手術をしても健康な臓器まで傷つけてしまう。暗殺者という天職が、人を助けたいという彼の本当の願いとは相反するのさ。医者と暗殺者のギャップに苦しむチサトの心情描写には心が締めつけられるね…。
ダークでシリアスな世界観が特長の本作、著者の高い描写力のおかげで、読む人はみんなこの物語の世界に深く入り込んでしまうはずだよ。
ダークでシリアスな展開だけど、そのどれもが心に響くエピソードです
死が隣り合わせの世界で、チサトさんはモンスターや亜人、スキルや『魔道具』といった要素を絡めた異世界ならではの事件を解決するために奔走します。
そんな穏やかではない日々の中で、チサトさんを支えてくれるのがミルさんです。ミルさんは幼くて愛らしいキャラクターが魅力的な女の子。検死中には「じゅんちょー?」と心配してくれ、お礼を言えば「そーごほかんかんけー」と返してくれるような、ちょっとおしゃまなところも。『復讐屋』の業務をこなす中、癒しを提供してくれます。
それだけでなく、食事や洗濯、解剖のお手伝いもできるしっかり者。少し恐ろし気に見える解剖器具の片付けだって、血も恐れずにてきぱきとこなすんですよ。チサトさんにとってはいないと困ってしまうくらい、頼りになる存在なんですね。
チサトさん達が立ち向かう事件は、そのどれもが人の悪意や善意が絡み合い、一転二転したあげく、想像もつかない結末を迎えます。そんな息もつかせぬ展開でありながら、登場人物の誰にも感情移入できるような、たしかな描写と深みを伴う作品でもあるんですよ。
読み終わったあとの余韻をぜひ味わっていただきたいです。