あらすじ紹介
日々の酒代を稼ぎながら、ギルドの酒場に入り浸る冒険者カーマセン。彼の日課は、ギルドを訪れる新人冒険者に因縁をつけては絡んでいくこと。時には痛い目を見ることもあるけれど、それでもカーマセンは絡み続ける。
幾度となく繰り返されるその光景に、ある者は顔を顰め、ある者は嘲笑い、そして彼女達は困ったように微笑を向ける――カーマセンの秘めた想いを知っているから。
勇者にただ付き従うプリースト、力の調整ができない魔法使い、かつての友の弟子、行く当てのない召喚勇者……カーマセンとの出会いは彼らを成長させ、そして彼らの旅立ちをカーマセンは見送るのだ。いつもと変わらず、ギルドの酒場でグラスを揺らしながら……。
くたびれたその背中が語るのは、老いの悲哀か、男の生き様か。彼の生きた証をここに記そう。
「小説家になろう」で話題を呼んだ哀愁と信愛の人間ドラマ、ついに書籍化――。
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みんなからのレビュー
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しぇん
19再読。久しぶりに読んだので内容は大分忘れていました。才能がない冒険者で上級になるのを諦めた結果、趣味で新人の教育とか門番を因縁をふっかける風にやる事にした男のお話。面倒見が良すぎるなか、関わった人達が次々追い抜いていって、痛みを覚えながらもそれを続けるのは本当に強い男だったな、と。最後は切なく終わってしまいますが、良いファンタジーでした。著書が別作品が出されてないようなのが残念です 続きを読む…
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アウル
18感想で気になり購入。これは悲しくも良い話だったわ。冒険者ギルドで絡んでくるチンピラが実はこういう風に思い絡んでいた・・・というのが発想が面白い。カーマセンなりの不器用な思いやりが胸に来るモノがあった。全体的には重めの内容で間にほのぼのとした感じが挿まれているのだが9章からの展開で思いっきり泣きかけた。残された者の思い、思い人と添い遂げた者の夢想最後までいい余韻に浸してくれる作品だった。 続きを読む…
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しぇん
17素晴らしい。酒場で主人公に最初に絡んでくる小物の親父。その男が何を考えていたのか?から生まれた物語。上級冒険者を諦めた力量なので出来る事に限りがあり、喪っていくものも多く全体的に物寂しい物語になっています。最後の事件と、その後の皆。そして、彼女が夢想した幸せに寂しい余韻を味あわせていただきました。あと、これだけ分厚いのに単巻で出してくれた作者と出版社に感謝です。 続きを読む…
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nawade
13★★★★★ Web版既読。魔王誕生により危機に瀕した世界でも最前線から離れた町には影響がない。そんな町の冒険者ギルドで酔ってくだを巻く英雄になれなかった中年冒険者の物語。新人冒険者が冒険者ギルドに行くと粗暴な先輩に絡まれるテンプレ。しかし、彼らは本当に因縁をつけているだけなのだろうか?という噛ませ犬側の視点から描いた作品で、テンプレ異世界モノには飽きたという方にこそ読んでいただきたい。作者の強い要望により2冊分を1冊にまとめ単巻完結しているため、大変読み応えある仕上がりとなっている。 続きを読む…
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真白優樹
10辺境の街、そのギルドには彼がいた。酔って絡んで、さり気なく背を押す彼がいた。これは輝かしい勇者の物語に非ず。何かを諦め何かを見出し、日々を笑いながら生きている。そんな背中の煤けた男達の、大きな背中を見つめる物語である。絡んで説教して見送って。いつもそこにいて誰かの背を押す男達。最後に儚く散って逝った彼等は何も為し得なかったのか。否、彼等は確かに何かを成し遂げた。何も遺らずとも、彼等が確かに守り、遺したものはある。それが未来を繋ぐ。その生き様は確かに誰かの光だった。そんな淡くて渋い光が愛おしくなるのである。 続きを読む…
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製品情報
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レーベル
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発売日2018/05/24
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定価1540円(本体1400円+税)
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ISBN9784865543506