あらすじ紹介
少年は、もがく。過去と決別するために。
同級生にモップで殴りかかった陵司に1か月の停学処分が下された。
陵司は、校内で有名な不良教師・間宮からとある提案を持ちかけられる。
「原稿用紙300枚分の文章と引き替えに、停学を無かった事にしてやる。さらに、その文章の内容に関わらず出版もしてやる」
不適に笑う間宮は、陵司の「過去」、殺人という枷を知っているように見えた。
静かに生きようとする陵司を晒しものにしてやる、という底意地の悪さがにじみ出ていた。
一方、陵司が襲った同級生・真琴のことも無視できなくなる。
真琴は巷でも有名な強請屋だった。
しかし陵司は、金も持たない自分が、なぜ真琴の標的になったのかが分からない。
あまりにも的確に、自分を挑発してきた真琴の真意が分からない。
どうして八尋の自殺と、陵司の殺人を知っていたのかが、分からない。
己の過去を掘り起こそうとする二人の人間に狙われた陵司は、どちらからも逃れるための策を見いだすが……。
『鳥葬-まだ人間じゃない-』に続く、江波光則の暗黒青春群像劇第二弾。
少年は、もがく。孤立という壁で守ってきた弱い心を葬って……。
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
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みんなからのレビュー
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(●▲●)とらうまん(*^◯^*)
14まさか続編が出るとは、ということでガガガ文庫からの江波光則最新作は、鳥葬に続く暗黒青春群像。 相変わらず江波先生らしいどこまでも暗く重いストーリーなのに、この醜悪な切なさがどこか清々しさや痛快さのようなものを感じさせてくれる一冊でした。 正直なところ鳥葬に少し物足りなさを感じていた身としては、とても満足のいく展開だったです。 続きを読む…
ネタバレあり -
半熟タマゴ
11鳥葬のその後の話。全く救いのない前作に比べたらちょっと希望がみえたかな。来月出る最終巻は数年後の話みたいだけど、どんな終わり方をするのかすごく気になる。間宮先生が出ているという別の作品もそのうち読んでみたいな。 続きを読む…
ネタバレあり -
T.Y.
11まさか出るとは思わなかった『鳥葬』の続編。同級生にモップで殴りかかった陵司は1ヶ月の停学になるが、美術教師の間宮に論文を書けば停学処分を取り消してやると言われ…。陵司が殴りかかった相手である真琴は狡猾な当たり屋で、桜香も絡んだ事情があることが明らかになる。しかし、その結果は奇妙にも文学少年同士の対決に。メッセージには宛先がある。自罰の意識から人との関わりを避けてきた陵司が、敵意によってであれ「宛先」となる相手を見据えて行動を起す――それも社会的関係にある「人間」への一つの道だったのだろう。 続きを読む…
ネタバレあり -
ささやか@ケチャップマン
10シリーズ一作目よりもよかったと思った。よかった、としか言えないのがもどかしい。前はSNSという小道具があったが、今回はより直接的に人と関わるということが表に出ており、読んでていて引きこまれる。陵司が罪の日から初めて他人と関わることを選択した「……小説の話をしないか」は結局届かなかったわけだがそれは仕方ないのだ。陵司が選んだ300枚の原稿を埋める方法と副題、各章のタイトルはそういう意味か、と種明かし種明かしされてから上手くやってるなあと思った。副題の方は桜香側から見ればまさにそういう話だしね。 続きを読む…
ネタバレあり -
椎名
9これまでの江並作品一のすっきりさ。他人との距離や、自分を自分の中でどう扱うか、そういったことに綺麗に決着をつけたと思うが、正直なところ鳥葬のほうが好きだったかなとは。本が好きな人間としては、書けば出版が約束される300枚の原稿というそれをどう使って話を広げるか、陵司がどのような選択をするのかという点においては非常に興味深く読めた。本の話をしよう、お前のために書いたんだ、その言葉は印象深い。 続きを読む…
ネタバレあり
製品情報
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レーベル
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発売日2013/09/23
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定価649円(本体590円+税)
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ISBN9784094514377