あらすじ紹介
第24回電撃小説大賞《金賞》受賞作!
――これは僕が失った、二百十四回にも及ぶ一週間の恋の話。
そして、わたしが手にした、四年に及ぶ一度きりの恋の話。
「ねえ、由くん。わたしはあなたが――」
初めて聞いたその声に足を止める。学校からの帰り道。中学のグラウンドや、駅前の本屋。それから白い猫が眠る空き地の中で、なぜだか僕のことを知っている不思議な少女・椎名由希は、いつもそんな風に声をかけてきた。
笑って、泣いて、怒って、手を繋いで。
僕たちは何度も、消えていく思い出を、どこにも存在しない約束を重ねていく。
だから、僕は何も知らなかったんだ。
由希が浮かべた笑顔の価値も、零した涙の意味も。たくさんの「初めまして」に込められた、たった一つの想いすら。
――これは残酷なまでに切なく、心を捉えて離さない、出会いと別れの物語。
みんなからのレビュー
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黎明卿(禍腐渦狂紳士タッキー)
109【誰かの心にずっと棲むことが出来るなら、それくらい愛されたのなら、それはきっと命への祝福だから(春由)】春由が由希を忘れてしまう理由や由希が最後につぶやく〝うそつき〟に込められた意味。ストーリーを読み進め、由希視点のお話で理由が明確になり、忘れられても春由に何度でもHello を続ける由希の想いが切なく、胸が張り裂けそうになる。由希が生き残るために手にしたある意味呪いのような代償。由希の想いも、春由の想いも通じ合ったと思ったら無情にもリセットされる。特に、恋をなかったことにされた春由が辛すぎた。 続きを読む…
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まりも
65何故か自分の事を知っている不思議な少女。これは彼女のたくさんのはじめましてに込められた想いを描いた物語。まるで雪のように儚い。この作品を読み終えた後思うことは、この物語が迎えた結末は果たして悲恋だったのか。それともほんの少しの奇跡が起こしてくれた救いのある恋だったのか。そのどちらかなのかは分からない。一つだけ言えるのは、確かにユキという少女がそこにいて、彼女の想いに胸を揺さぶられたという事。今も胸の中に様々な感情が入り乱れていて、なんか言葉が出ない。ほんとこういう作品に弱いんだ。 続きを読む…
ネタバレあり -
もも
59「初めまして」なのに何故か自分の事を知っている不思議な少女とどこにも存在しない約束を重ねていく。彼女の「初めまして」に込められた想いとは。面白い構成で楽しませてくれた作品。段々と明かされていく真実に胸が締めつけられます。ラストにはなるほど、こうきたか、と。これで幸せだったのだろうか、と少し思ったけれど最後に彼女が残した言葉が答えなのかなと。素敵なお話でした。ユキはちょっと自分勝手で意地悪だけどそんなところすら愛しく思えます。ぶーたさんのイラストともマッチしてより可愛くなってます。面白かったです♪ 続きを読む…
ネタバレあり -
よっち
49なぜだか春由のことを知っていて声を掛けてくる不思議な少女・椎名由希。何度も消えていく思い出を、どこにも存在しない約束を二人で積み重ねてゆく出会いと別れの物語。シチュエーションを変えて出会いと思い出を積み重ねてゆく春由と由希。なぜ出会いが繰り返されるのか、甘酸っぱい思い出の中で由希は切なそうなのか、明らかになってゆく彼女の特殊な事情。何度もお互い想い合うようになっても、彼女の真意はなかなか伝わらなくて、確かに望みは叶えられたのかもしれないけれど、これで良かったと言えるのかいろいろと考えてしまう結末でした。 続きを読む…
ネタバレあり -
ami*15
48幼い頃の事故以来、1週間で自分の存在が世の中から消えるという由希の境遇を知り、自分は生きているのに他の人には存在を忘れられてしまうなんて死ぬことよりも辛いなと思いました。由希の記憶は消えたとしても春由の中では彼女の面影がうっすらと残っていて、白い猫が繋いでくれた縁や由希と過ごした1週間の出来事はじわりと切ないけど、どこか不思議な幸福感もありました。桜の匂いとユキの匂い、そのような言葉から春由と由希の記憶がぶわっと蘇ってきた気がした。個人的には雪合戦のシーンが気に入りました。季節を感じる描写も良かったです。 続きを読む…
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製品情報
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レーベル
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発売日2018/03/10
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定価671円(本体610円+税)
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ISBN9784048936125
関連サイト
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公式サイト