【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はドラゴンノベルスから7月4日に刊行された『脱サラ僧侶のダンジョン葬送配信』です。みなさんの感想も聞かせてください!
「僧侶=回復役」というのは、もはや説明するまでもないRPGの常識。であれば、治癒スキルのない僧侶が相手にされないのは必然でしょう。しかも、よりにもよって覚えたスキルが敵を焼き尽くす【火葬】って……。まぁ確かに僧侶と関連しなくもないかもしれませんが。コンティニュー可能なゲームならともかく、実際に危険と隣り合わせの状況では、やっぱり回復役は必須ですからね。だから、パーティが見つからないからといって、ひとりで探索を始めてしまう今作の主人公・ダイシは、とんでもない度胸の持ち主なのではと思います。幸い、配信システムのおかげで孤独感はないようですが、自分ならそれでもソロでダンジョンに入ってみようなんて、絶対に思いませんね。たとえ、サツキのような子とお近づきになれるとしても……命のほうが大事でしょ、やっぱり。
また「脱サラ」主人公という要素も本作を語る上では外せないユニークなポイントです。主人公がおっさんであるファンタジー作品が昨今増えてきましたが、やっぱり自分と重ねやすいというか、同じおっさんならではの悩みや目線に共感しやすいからこそ、そんな主人公が活躍したときに読んでいてグッとくるのかなと思うんですよね。
ダイシの場合、あまりにも規格外な活躍をするのでサツキにも若干引かれちゃうくらいですが、そこはまぁ今まで社畜として苦労してきたおっさんの貴重な晴れ舞台なので、大目にみてやってください。同じおっさんとして、ダイシの活躍は応援せざるをえないのです(笑)。
思わずクスリとくるような楽しいやりとりを挟みつつ、ノンストップで突き進むダイシとサツキのダンジョン探索。とてもテンポのいい展開で、まるで自分も彼らの配信を楽しむ、視聴者のひとりになった感覚でした。続きの配信……じゃなくて次の巻も、楽しみに待機しています。
文:瀧田伸也
ざっくり言うとこんな作品
1)晴れて探索者となったのに、レベル1の僧侶では誰にも仲間にしてもらえない。それでもせっかくだからと、ひとりで初のダンジョン探索を始めてみるダイシだったが――
2)わずかな配信視聴者に見守られながら挑む、ダンジョン探索。レベルアップして新たに覚えるスキルは【火葬】に【成仏】など、誰も聞いた事がないものばかりで……?
3)初心者向けのダンジョンではありえないような高難度イベントを、次々と突破するダイシ。彼のとんでもないスキルとステータスに、S級探索者のサツキも、もはやあきれ気味!?
主要キャラ紹介
阿尻ダイシ
会社を辞めた翌日からダンジョン探索者を始めた37歳。僧侶であれば最初から使えるはずの治癒が使えず、メンバーにも恵まれなかったため、ソロで初のダンジョン探索に挑む。

天音サツキ
フォロワー数五十万人の人気を誇る、S級探索者の魔法剣士。ダンジョンでダイシと出会い、なりゆきで同行する事に。元気で優しいが時折、したたかさが見え隠れする場面も。

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脱サラ僧侶のダンジョン葬送配信
著者: 十森 メメ イラスト: 灯
【火葬】や【成仏】で邪魔者は全て昇天!
脱サラしてダンジョン探索配信を始めたダイシ。
適性ジョブ「僧侶」は回復職かと思いきや、覚えたスキルは敵を焼き尽くす【火葬】で!?
「そんな僧侶いるワケないじゃないですか!」と規格外の力に興味を持った少女サツキと一緒に探索することに。
初心者ダンジョンのはずが冥竜王に鬼神も現れて大波乱!?
覚えるスキルも【成仏】や【葬拳】とあらぬ方向にパワーアップ!?
ダイシはあらゆる敵を葬送してダンジョンを突き進んでいく!