【レビュー】俺の妹は鬼教官!? 単なる無双ではない、笑いと愛情に溢れたスパルタ教育 あってのアツい成長ストーリー!

『蘭崎六花のスパルタ魔法教育白書』書影

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMF文庫Jから6月25日に刊行される『蘭崎六花のスパルタ魔法教育白書』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 1ページ目の勢いから笑わされて、そのまま失速することなく、なんなら加速していって! あっという間に読み終わりました。過激なトレーニング描写がインフレしていく様子ももちろん面白かったですが、現状に満足せず、目標を見据えて努力を重ねるストーリーが存外熱かった!

 既に成熟しきったと思われた理人がこれから成長するためには、見知らぬ誰かが決めた枠組みに縛られてはいられない。つまり、社会の慣習に抗おうとする彼の一歩目は、既存の価値観からの逸脱から始まる! これほど痛快なことがあるでしょうか。正直軽いノリの作品だろうと油断していたところに一発かまされて、一気に引き込まれました。

『蘭崎六花のスパルタ魔法教育白書』pinup

 その後の指導もがむしゃらに頑張るだけではなく、魔法の元素数が簡略化されている等、説得力のある解説があり。裏がありそうに思えた才能にも、事情があり。その事情を思えば、どうしてスパルタに耐えられたのかも納得できる。設定の情報開示も巧みでした。伏線らしい描写も散りばめられていて、2巻への期待は否が応でも高まります。

 往年の戦争映画を彷彿とさせるような、いかにもな鬼教官を実妹でやるというアイデアにも痺れました。家族ならではの信頼や遠慮のなさ、愛情はあるけれど恋愛とはちょっと違う感じがいいですね。「身内だから」でさっぱり描かれている部分が多く、こんなに熱いのに、不思議と爽やかな雰囲気が好印象な一作でした。

文・中谷公彦

ざっくり言うとこんな作品

1)元より優秀な主人公が、ままならない現実に立ち向かうために選んだのはまさかの力業。前人未到のパワーを得てすべてを覆す爽快感!

2)豊富なボキャブラリーから繰り出される鋭い指導を元に強くなれ! 笑えるだけではない、的確な指示に唸る充実の修行パート。

3)スパルタ教官はまさかの妹。倒錯した関係をコミカルに描きつつ、時に温かな家族愛も感じられるハートフルストーリー。

主要キャラ紹介

▼蘭崎理人(らんざき・りひと)
百年に一人と言われるほど大魔法使い。指導者として期待され、若干一七歳にして教師を務める。戦争終結を願って行動しているものの、魔法協会のしがらみから逃れられず、くすぶった毎日を送っている。

『蘭崎六花のスパルタ魔法教育白書』chara01

▼蘭崎六花(らんざき・りっか)
理人の双子の妹。読書好きの清楚な少女だが、覚悟を決め、物事を教える立場になると様子が一変する。甘えを許さず語気を強める姿はまさしく鬼教官。

『蘭崎六花のスパルタ魔法教育白書』chara02

▼壇羽詩音(だんば・しおん)
「魔法使い」とは立場を異にする「魔術師」の少女。最強のライバルを求める理人たちの前に立候補者として姿を現すが、どうやら目的は別にあるようで……!?

作品情報
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    蘭崎六花のスパルタ魔法教育白書

    著者: 三船 いずれ   イラスト: 久賀フーナ

    鬼トレーニングでワンパン無双!! 最短ルートで世界を救え!

    魔法に目覚めた人類と、地球外から侵略する機械人形【オートマタ】の戦争が始まり100年。
    若き「大魔法使い」蘭崎理人は、魔法学校の教師として後進育成に回っていた。
    しかし、いつまでたっても平和は訪れない──だったら俺が終わらせよう。

    決意した理人は、妹・蘭崎六花にトレーニングを頼むことに。
    求めるのは、あっという間に戦争を終わらせるほど圧倒的なパワー!

    「魔法は握力!! 雑巾を絞るように! 魔法を! ぎっっちぎっちに! 絞り出す!!」
    「イエス! マイ・シスタァ!!」

    魔法を一度極めた大魔法使いが、超スパルタ指導で限界突破!
    規格外の力をぶっぱなす努力無双ファンタジー、開幕。

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