【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は6月17日に刊行された『ノブリス・レプリカ ―元“貴族殺し”の傭兵少年、学園都市に嫌々入学させられる―』です。みなさんの感想も聞かせてください!
自分語りから入るようで恐縮ですが、子どもの頃、いわゆるバトルアニメに触れずに過ごしていました。某猫型ロボットのアニメを観るくらいで、それ以外はノータッチ。無関心というよりも苦手意識寄り(戦うのって怖いじゃないですか)で、ようやく観るようになったのは10歳を超えてからでした。なので、ロボットものに対するカッコよさセンサーが欠品しているわけですが……『ノブリス・レプリカ』はいいですねぇ! 心が滾って仕方ない一冊でした。
何が心のセンサーに引っかかったのかといえば、とにかく一癖も二癖もあるキャラクターがぶつかり合うこと。それぞれのキャラクターが持つ背景も重くて引き込まれること必至なのですが……そこに傭兵へのノーブル(対メタル戦闘用空戦機動兵器であるところのノブリスを動かす操縦者)が持つ偏見の目であったり、貴族のプライドだったりが絡んできて。どんどん話が動いていく戦闘シーンが、カッコよさセンサーのない自分であっても直感的にビビッと刺さる鮮やかさで最高でした。

戦闘シーンといえば、ノブリスの戦いの熾烈さには自分の脳内が追いつかなかったことも印象的です。自分は読んだ文を脳内で映像に変換するタイプなのですが、戦闘描写がスピーディーなために、絶対自分の貧弱な脳では上手く細部まで映像に変換できていません。早くアニメにしてほしい! そしてセイリオスがどんな都市なのか、映像でも観たい! そのためにはシリーズが人気になってほしい! そう願わずにはいられない、壮大な学園ロボットSFです。
文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
・メタルによって空に浮かぶ島々に追い詰められてしまった人類は、対メタル戦闘用空戦機動兵器・通称“ノブリス”を生み出した!
・ノブリスの天才的な操縦技術を持つ主人公によって空の上で繰り広げられる、手に汗握るメカアクション!
・故郷を追放された過去を持つ主人公が、戦う理由に悩みながらも皆の命を救うために戦場へ向かう姿がかっこいい!
主要キャラ紹介

ムジカ・リマーセナリー
三年前に“貴族殺し”の罪を犯し、故郷グレンデルを追放された少年傭兵。ラウル傭兵団の戦闘担当だが、ひょんなことから学園都市セイリオスに(強制的に)入学させられる。

リム・リマーセナリー
ムジカと共に“ラウル傭兵団”に所属している、十二歳の少女。傭兵団長ラウルの実の娘であり、ムジカの妹分。家事・雑事とムジカの機体(ノブリス)の整備担当。

アーシャ・エステバン
戦闘科に所属する一年生の少女で、ノブリスを駆る“ノーブル”の卵。とある騒動でムジカと知り合い、ムジカのライバルを(勝手に)自称している。

レティシア・セイリオス
学園都市セイリオスの“管理者”であり、同時に学園の生徒会長を務めている才媛。四年前に、ムジカと出会ったことがあるようだが……?
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ノブリス・レプリカ―元“貴族殺し”の傭兵少年、学園都市に嫌々入学させられる―
著者: アマサカナタ イラスト: 高峰ナダレ
少年は機体(ノブリス)を纏って空を舞う。“戦う理由”を問うために――。
“誰かのために”戦っていた父は、“英雄”となり――殺された。
人類の傲慢さが生み出した人殺しの獣・メタルにより人類は地上を追われ、生き残るために空に浮かぶ島へと逃げ出した時代。
“貴族殺し”の罪を犯して故郷を追放され傭兵となった少年・ムジカは、傭兵団の団長によって学園都市セイリオスへ強引に入学させられる。
対メタル用空戦機動兵器“ノブリス・フレーム”の搭乗者・ノーブルとして、戦う義務を背負った“貴族”の子供たちに彼は問う――
「教えてくれよ――お前たちの言う“ノーブル”って何だ?」
突然現れたメタルの大群により、セイリオスが存亡の危機に陥る中、ムジカは決断を迫られて……
己の誇りと覚悟を問うロボットファンタジー、開幕!
――“ノブリス・オブリージュ”なんて、クソ食らえ。