【レビュー】過酷な現実に立ち向かう力の源って、やっぱり"愛"なんだ。 

神の審判でやり直しさせられています1

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は6月13日に刊行された『神の審判でやり直しさせられています』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 子どもの頃はよく一緒に遊んでいたのに、いつの間にか疎遠になってしまった初恋の幼なじみがいます。喧嘩をしたわけでも、嫌いになったわけでもありません。ただ、部活が忙しくなったり、進学で学校が別れてしまい、少しずつ距離ができて会わなくなって、大人になる頃には、もう赤の他人みたいになってました。会おうと思えば家まで行けたし、連絡しようと思えば電話もメールもできたはず。あのとき、ちょっとでも関係をつなごうと頑張っていれば……。もしかしたら、いま隣にいてくれたのかもしれません。

 エミリアとレイニードの関係を見てると、そんな初恋の記憶がふっとよみがえってきます。さまざまな事情ですれ違っていた二人が、お互いの気持ちを確かめ合って、離れていた時間を少しずつ取り戻していく姿が、じんわり胸に沁みるんですよ。

 同じ過ちを繰り返さないように、うつむいていた過去の自分と決別し、前に進んでいく二人の姿が本当に素敵なんです。まだ子どもなのに知恵と機転を駆使し、世の中の理不尽に立ち向かう駆け引きが、思わず手に汗握るんです。

 前世とは違う困難が次々に襲いかかるも、「今度こそエミリアを守る」と誓いを立てるレイニードがすごくカッコいいし、エミリアも「レイニードを守りたい」と自分の意思をちゃんと口にする。守られるだけの存在ではなく、自ら恋人を守ろうとする姿に成長が感じられて、まるで我がことのように誇らしく思うんですよね。

 ひとりではくじけそうな困難でも、誰かと手を取り合えば越えていける。そんな勇気と、支え合う絆が、心に響きます。過酷な現実に立ち向かう力の源って、やっぱり"愛"なんだと思いました。

 自分も時間を取り戻せたならどんなにいいことか! エミリアとレイニードみたいに、あのときもっと素直になれていたら。自分の気持ちにちゃんと向き合えてたら、あの初恋は違う結末になってたのかもしれない……。読後に、そんな切なさが胸に残りました。

文:愛咲優詩

ざっくり言うとこんな作品

・独りぼっちで味方のいない令嬢の逆転劇!? 人生やり直しファンタジー!

・冷たかった婚約者は実は味方だった…? ヒーローの秘めた思いが明らかに…!

・1度目にはなかった魔力が覚醒! 魔術師を目指して成長するヒーローとヒロインから目が離せません

主要キャラ紹介

エミリア

エミリア
エンドソン侯爵家の令嬢。『神の審判』に落ちてしまい、目覚めると12歳の頃に戻っていて?

レイニード

レイニード
ジョランド公爵家の次男でエミリアの婚約者。だけど、エミリアに関心を持たず護衛を務めるビクトリア王女との恋仲を噂されている。

作品情報
    • 試し読み
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    神の審判でやり直しさせられています 1

    著者: gacchi   イラスト: 楠なわて

    二度目の人生は、なぜか無関心だったはずの婚約者に執愛されています

    家族や婚約者レイニードに冷遇される侯爵令嬢エミリア。

    ある日夜会で王女に目を付けられ『神の審判』と呼ばれる奈落の底に追い詰められ……
    目を覚ますとエミリアは12歳の婚約の挨拶の日に戻っていた。

    婚約を結ばずに人生をやり直すはずが、レイニードの様子がおかしい。
    なぜか毎日会いに来て「もう俺はエミリアから離れる気はないから」って一度目になかった展開が続いているような?

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