【レビュー】彼女の「電波キャラ」は本当に「キャラ」? 主人公とともにヒロインの不思議な魅力に引き込まれていく!

孤高の電波美少女と恋で繋がったらギガ重い

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は6月10日に刊行された『孤高の電波美少女と恋で繋がったらギガ重い』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 本作のヒロイン、貴家雲雀のことがわからない。彼女は所謂電波キャラなのだが、話す言葉には明確な理性がある。精神離脱者(アストラルダイバー)だの、救世者(メシアン)だの奇妙な単語を使う彼女は、はたから見れば中二病を思わせる不思議ちゃんだ。本人に奇妙な事を言っている自覚があるのは珍しく思うが、私は彼女が電波キャラとは思えない。なぜならば見てきたかのような異世界の情景を語る言葉に、奇妙なリアリティがありすぎるのだ。彼女の言っている事は全部本当のことなのではないか? そう思ってしまうと、彼女の不思議な魅力にどんどんとハマりこんでいってしまう。

『孤高の電波美少女と恋で繋がったらギガ重い』より

 不思議な雲雀の魅力に惹かれていくのは、彼女の彼氏となった将臣も同じだ。読者は彼と共に雲雀の秘めたる内面を知っていくことになる。その感情移入の感覚は不可解さもあり、どこかスリリングでもある。サスペンスを読んでいるようなヒリついた面白さだ。貴家雲雀という人物は、本当はどんな人間であるのか。読み進める旅に知りたくて仕方がなくなるのである。人間とはわからないからこそ、知りたくもなるのだ。

 しかしそんな雲雀が、我々そして将臣に見せてくれるのは普通の女の子っぷりだ。デートを楽しむ一面を見せたと思えば、顔を赤くして慌てたりもするごく普通の恋する美少女なのである。正直、グッとくる。普段は嘘か本当か解らないことを言っているのに、将臣の前ではしっかり女の子として可愛いのは本当にズルいと思う。しかしこの可愛さも、普段のギャップがあるからこそ際立って輝いて見える。理解できないからこその魅力。貴家雲雀という女の子の正体は、『わからないのがかわいい』という全く新しいヒロインの姿! ……なのかもしれない。

文:明日香 譲

ざっくり言うとこんな作品

・メインヒロインである雲雀の孤高っぷりと主人公の前でのギャップ

・嘘から始まった関係が本当の想いに変わっていく

・ラブコメ×異能バトル展開!?という重厚感あるストーリー

主要キャラ紹介

貴家雲雀

貴家雲雀(さすが・ひばり)
容姿端麗、成績優秀な校内一の完璧美少女だが、「私は精神界を生きる精神離脱者(アストラルダイバー)」といった電波な発言が原因で周囲から浮いている。将臣のいきなりの告白をなぜか受け入れ、恋人になる。

楠木将臣

楠木将臣(くすのき・まさおみ)
高校2年生。三白眼がトレードマークの「普通」に執着する主人公。雲雀に嘘告白をして成功させてしまう。

立花かすか

立花(たちばな)かすか
楠木将臣の親友その①。自分に対して無頓着……を通り越して手放しな自由人少女(ルビ:アホ)。将臣と啓示を信仰していて、ふたりの言う事ならほぼなんでも聞く。

折戸啓示

折戸啓示(おりと・けいじ)
楠木将臣の親友その②。自称「硬派」不良ロン毛ピアス。将臣を唆して嘘告白をさせた張本人。どうやら妹がいるようで……?

作品情報
    • 試し読み
    • BookWalkerで購入する

    孤高の電波美少女と恋で繋がったらギガ重い

    著者: 神宮寺 文鷹   イラストレーター: MAIRO

    彼女の"おもい"を受信できるのは、俺ひとり。

    「私、世界を救わないといけないから」 そんな妄言を言う彼女に、楠木将臣は告白をした。もちろん、罰ゲームに決まっていた。なのに、その嘘は受け入れられてしまったんだ。 “精神界”の“救世者”と電波な妄想を垂れ流し、周囲から孤立していた美少女、貴家雲雀。そんな彼女と付き合うことになったわけだけど、噂と違って普通に会話できるし、なんなら素直に甘えて来るし……。あれ、普通に可愛くない? 気づいたら本気になっていた将臣だったが、彼女のことを知るたびに、その妄想は「現実」だと分かって――。 「――ねえ、将臣くんは私の“世界”、信じてくれる?」 嘘から始まった想いが本当に変わっていく、ちょっぴり電波な恋物語。

Close
注意
この作品の「読んだ」を取り消しますか?
あなたの評価と感想が削除され、
本棚からこの作品がなくなります。
はい。取り消します。
キャンセル
注意
この操作を取り消しますか?
はい。取り消します。
キャンセル
エラー
ログインして下さい。
ログイン
キャンセル