【レビュー】肩書きを捨てて、新天地での生活へ! 心地よく沁みる異世界スローライフ。疲れたあなたに素敵な読書体験を!

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はカドカワBOOKSから5月10日に刊行される『左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました』(著者:出雲大吉/イラスト:みきさい)です。みなさんの感想も聞かせてください!


 面白い! ……のだけど、なぜ面白いと感じるのか、表現が難しい。何度も読み返して何度も面白いなぁと思うんです。しかしどうして面白いのかわからないんです。

 出世コースに乗っていたジークは難のある性格で、左遷されて辺境の片田舎に移住するわけですが、そこは辺境の片田舎と言いつつ、そんな未開の地ということもなく(支部があるくらいだから地方の小都市?)、出世争いで疲れた心をスローライフで癒すストーリーというわけでもなく(ジークに不満はあるけど疲れた感はなく、仕事は普通にある)。

 転生者であり、トップレベルの才能を持った錬金術師が主人公で、色々な物を作っているものの、現代知識チートを利用して異世界にはないもので一儲けするわけでもない(作っているのは発注されたものばっかり)。技術的な問題点を解決するとか、物作りに没頭していく話でもない(ジークは天才なので)。

 ごはんを食べたり、職場のスタッフとの交流も描かれますが、日常系でもありません。

 けど面白いんですよ!?

 この面白さをしっかりお伝えしたいんですが、特異な読書体験で表現が難しい!

 もしかすると本作は「面白い」という表現が適切じゃないのかもしれません。

 左遷されたのを切っ掛けにして自分を見つめなおして、知らない土地で一から新生活をスタートさせる。外部からの嫌がらせや大きな発注やトラブルがあっても、自分の能力で乗り越えられて、気のいい同僚たちから頼りにされる。そういう片田舎での新しい生活がとにかく居心地が良い……。

 そう。居心地が良いんです。だからどこが面白いとか小難しいこと考えずに、ただただこの居心地の良さに浸るのが楽しみ方の正解なんでしょう。

 だって、また読みたいなぁって気持ちになってますもん、今!!

文:勝木弘喜

ざっくり言うとこんな作品

1)出世欲にまみれたエリートが、周りに嫌われすぎて辺境の片田舎に左遷! 己を省みて人の心を猫の使い魔に指導されながら再スタート!

2)左遷先の錬金術師協会リート支部は、他の支部に引き抜かれて圧倒的人手不足! しかもたった二人残った先任者は共に駆け出しの新人!?

3)嫌がらせの短納期依頼を軽々クリア、期待以上の魔剣を制作。弟子たちの面倒を見ながら、減少した依頼を取り戻して支部の立て直し!!

主要キャラ紹介

ジークヴァルト・アレクサンダー
3級国家錬金術師かつ5級国家魔術師の天才だが、性格には難あり。

エーリカ・リントナー
新人錬金術師。面倒見がよく、善良な性格すぎて人を見る目は皆無。

レオノーラ・フォン・レッチェルト
先任錬金術師の一人。貴族の出だが勘当され、自由に生活している。

作品情報
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    左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました

    著者: 出雲大吉   イラスト: みきさい

    出世は、もうやめた。元ブラック勤務の天才錬金術師、辺境でスローライフ!

    出世コースを歩んでいたエリート錬金術師のジークは、
    性格の悪さが原因で辺境へ左遷されてしまう。
    しかも、左遷先は未熟な錬金術師が2人だけ、
    仕事もろくにない支部だった。

    だが、ジークは天才だ。
    軍からの嫌がらせも軽く解決し、
    魔剣製作依頼では国一番のものを作るなど、
    規格外の活躍をしてしまう。
    猫と”性格改善会議”をしないと――揉めるけど。

    素直で前向きな弟子たちに、可愛い猫の使い魔もいる。
    辺境でのんびりと支部を再建していくのも……悪くないか。

    ◆ジークの輪郭を描く、書き下ろしエピソード3編収録。
    ・アデーレの見た天才
    ・どうだろう?
    ・孤独だった天才

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