【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は5月10日に刊行される『あなた様の魔術【トリック】はすでに解けております -裁定魔術師レポフスキー卿とその侍女の事件簿-』です。みなさんの感想も聞かせてください!
TVアニメ化が決定した『姫騎士様のヒモ』著者の白金先生の最新作が、興奮冷めやらぬ間に光臨です! え~こちらもなかなか、血のにおいが濃いお話となっております…が、こういうのも大好物なので心置きなく楽しんじゃいました!
本作の見所は魔術師による魔術師殺し。しかも、倒叙ミステリ――先に我々読者は、犯人も犯行もわかった状態でスタートなんですね。一見、複雑な魔術の犯行が、初見でもすいすい呑み込める、まさに親切設計だなぁ…。犯行自体も『死霊術師』と『召喚師』だったら、死体の隠し方だって全く別物。トリックもバリエーションが豊かで舌を巻いちゃいました!
そんな悪辣な魔術師たちにまず立ち向かうのが、『魔力なし』の侍女・リネットです。特筆すべきは洞察力! ご遺体の状態、周囲の臭いはもとより、犯人の言動の違和感まで見抜く論理力には惚れ惚れしちゃいます…! そうそう、気になるよね、と一緒に頷く部分もあれば、思わぬ指摘が飛んで、犯人と一緒に背筋が凍る場面もあり…。読者視点、気付く気付かないが絶妙で、丁度いい難易度なんです、これが!
そして、彼女によって証拠が集められて、真実が白日の下にさらされれば『裁定魔術師』のマンフレッドの本領発揮。彼の操る魔道具『ユースティティアの天秤』の力から逃れるのは不可能。食い下がる犯人に、淡々と裁定を下していくマンフレッドの姿は、魔術師らしい冷酷さを感じられて、かっこいいんですよ…!

片や洞察力、片や魔術と、互いを補い合う主従凸凹探偵たち。凶悪な魔術に立ち向かう比翼の探偵の活躍っぷりが、贅沢に楽しめちゃいました!
文:波樹葉音
ざっくり言うとこんな作品
・TVアニメ化が決定『姫騎士様のヒモ』著者最新作! 今度は、命のやり取りの全貌を暴き出す、ファンタジー倒叙ミステリ!
・邪悪な魔術師殺しを追い詰めるのは、魔力を持たない侍女・リネット。その優れた洞察力と強靭なメンタルは、どんな悪辣な犯行も見逃さない!
・主人であるマンフレッドの尊大な物言い、それを意に介さずからかいを返すリネットの掛け合いが絶妙で、くすりとしてしまうこと間違いなし!
主要キャラ紹介

リネット
マンフレッドに仕える侍女。魔術が使えない『魔力なし(マギレス)』で、魔術師たちからは見下されてしまう。その優れた洞察力で、どんな凶悪な魔術師をも追い詰めていく。

マンフレッド
リネットの主人。罪を犯した魔術師を裁く魔術師、『裁定魔術師』。その中でも最強格のレポフスキー家の当主。罪が確定すれば、どんな強力な魔術師をも、逃がさず裁きを下す。

ダニエラ
マンフレッドの従兄弟の女性。前のめりな正確で、任命されていないにもかかわらず、自称補佐役として現場へと現れる。強力な魔術を操り、リネットたちの捜査をサポートする。
-
あなた様の魔術【トリック】はすでに解けております 裁定魔術師レポフスキー卿とその侍女の事件簿
著者: 白金 透 イラスト: 天野英
この命は全て『旦那様』のために――魔術を論理で暴き立てる極上ミステリ!
★TVアニメ化決定『姫騎士様のヒモ』白金透最新作★
裁定魔術師(アービトレーター)――それは魔術師たちの探偵にして、判事にして、処刑人。数奇な運命からその任に就いたのは、『魔力なし』の侍女リネットとレポフスキー家当主として君臨するマンフレッドだ。主従でもある比翼の探偵たちは、かけがえのない使命を果たすため、次々と邪智暴虐の魔術師どもを追いつめていく!
「あなた様の魔術【トリック】はすでに解けております」
「この小娘が明らかにしたとおりだ。魔術師よ、天秤は汝の罪に傾いた」
これは魔術と謎を論理で暴き、邪悪な魔術師を圧倒的な力で裁く探偵たちを追った事件簿である。