【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から4月18日に刊行された『美少女しかいない生徒会の議題がいつも俺な件』です。みなさんの感想も聞かせてください!
恋する乙女にとって、恋愛とは戦場のようなもの。そして戦いには勝つための作戦が必要となってくる。本作のヒロインである生徒会の才女たちは、それぞれが想いを寄せる学園の風紀員――南条晴久を落とすために様々な作戦を思案する。
というのが物語の骨子なのだが、真面目な話を行うはずの生徒会役員会議の場で、修学旅行の夜もかくやというような恋バナ……もとい恋愛相談会を行っているというシチュエーションがもう既に面白い。
しかも恋する生徒会の四人の美少女たちは決して共通の思惑で動いてはおらず、あくまで「友人の話」というテイで相談を行っていくため、全員が同じ相手を好いているという状況に気が付いていない。その結果、水面下で恋愛心理戦が繰り広げられてしまうのである。
なんて愛おしいポンコツヒロイン達…! さらにクスッとこちらの笑いを誘うのは、好意を寄せる晴久が生徒会の美少女たちをまるで認識していないという点。状況的には晴久のハーレム状態なのだが、本人にはまったくその意識がないのだ。

例えば、副会長の杏梨は晴久と同じバイト先の同僚なのだが、バイト先ではなぜかギャルとして通しているため、晴久はバイト仲間のアン=生徒会の杏梨という認識がまるでできていない――などなど。アプローチをかける生徒会メンバーと、急なアプローチに困惑する晴久というすれ違いのコントラストに、お腹が痛くなるほど笑わせてもらった。不憫かわいいとはこういうことなのかもしれない。
そうしてラブコメのコメディ部分に笑いながら読み進めていくうちに、ヒロインたち全員に愛着を感じてしまうのが見事な構成で、しっかりラブの部分も摂取できる満足度の高い一冊。

そんな感じですれ違いは続くのだが、ヒロイン達は前向きだ。アプローチが好感触であると感じ、あるいは信じ、恋愛作戦会議と化した生徒会会議はさらにエスカレートしていくことになる。恋する乙女たちによる、ちょっとポンコツな恋愛アプローチが、どこまで暴走し突き抜けてしまうのか、期待せずにはいられない!

文:明日香 譲
ざっくり言うとこんな作品
1)主人公・晴久の知らないところで始まる恋愛心理戦! しかし生徒会の才女たちは揃いも揃って恋愛にはポンコツで……!? 先の読めないハーレムコメディに笑いが止まらない!
2)真剣な生徒会の会議が、いつのまにか恋愛ガールズトークに!? どんどんエスカレートしていく恋愛会議の内容はツッコミどころ満載だけど、どこか愛おしくて……!?
3)恋愛経験のない生徒会メンバーが、晴久に対しがむしゃらにアプローチをかけていく姿が、とても健気で可愛い! 個性豊かな美少女たちの恋愛劇が面白い!
主要キャラ紹介
姫崎 優里奈(ひめさき ゆりな)
歴代最強の会長と呼ばれる、美波沢学園生徒会長。成績、人望、人柄のすべてを兼ね備えた完璧美少女。晴久に好意を寄せているが、恋愛面では限りなくポンコツに近い。

舞島 杏梨(まいしま あんり)
長い黒髪の和服美人の、生徒会副会長。本来はおしとやかなお嬢様だが、好意を寄せる晴久の前ではギャルとしてふるまう。

早瀬 香菜(はやせ かな)
生徒会会計を務める高校二年生。一見ボーイッシュな雰囲気を持つ美少女だが、エロマンガに興味津々な一面も……!?

南条 渚(なんじょう なぎさ)
主人公・晴久と義理の兄妹関係にある美少女。生徒会では書記を務めている。非常に生真面目でクールな印象だが……!?

南条 晴久(なんじょう はるひさ)
美波沢学園の風紀委員。生徒会の女子四人から好意を向けられているが、本人は全く気付いていない。突然アプローチしてくる美少女たちに困惑する日々を送る。

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美少女しかいない生徒会の議題がいつも俺な件
著者: 恵比須清司 イラスト: ふわり
生徒会の美少女たちが議題に上げる好きな人は――全員、俺!?
美波沢学園生徒会。生徒はもちろん教師からも信頼が厚く、歴代最優秀と称される姫崎優里奈生徒会長を筆頭に、所属する役員は全員が美少女揃い。そんな彼女たちが毎日真剣に議論するのは恋愛相談!?
「相談者はその男の子のことが本当に好きなのよ。だから絶対に失敗は許されないの」
実は相談者が自分であることを隠し、生徒会役員が議題に上げる好きな人は全員、南条晴久という風紀委員で!?
生徒会長は風紀チェックに乱れた服装で現れ、副会長はバイト先でのスキンシップ、会計はエロマンガを描き、書記は妹として甘えてきて……。事情を知らない晴久は生徒会で話し合われたアプローチをされまくり!