【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMFブックスから4月25日に刊行される『転生冒険者、ボッチ女神を救う ~もふもふ達とのんびり旅をしていたら、魔法を極めてた~1』です。みなさんの感想も聞かせてください!
日本人の中には、正月には初詣で神社に向かって神頼みをし、たまには念仏を唱え、クリスマスにはサンタの到来を待つ……という多宗教な暮らしが身についている人も多いと思います。自分もその一人。とはいえ、なんとなく「死んだら天国か地獄へ行く」とか「ご飯を食べるときは神に感謝して『いただきます』と言う(諸説ありますが)」ようなことは染み付いているわけで、神という存在がこの現代社会であっても疎遠になることはありません。
そこで異世界に行ってみたらどうでしょうか。そもそも転生させてくれるのは女神であり、そんな彼女の力は異世界の民の信仰心に紐付いている。となれば、主人公は女神を救うために彼女への信仰心を広める旅を始めていく……となるのも自然。また、信仰といっても、難しい何かが科されるわけでもなく、「いただきます」「ごちそうさま」という言葉を通して女神の存在を広く意識してもらえればOKなのですから……そんなの、日本的な食卓の風景を異世界で広めていけばいいですよね、となるのが本作。

そんなわけなので、入り込みやすい世界観であるのと同時にとにかくご飯の数々が美味しそうで美味しそうで……。しかも後半に進むと、タイトルにもあるように白いもふもふも出てくるのです。美味しいご飯ともふもふ。しかも綺麗な女神のために生きる日々……そんなのもう最高じゃないですか! 主人公くんは異世界で、果たして女神の力を回復させることができるのか行く末を見届けたい。そんな気持ちになること請け合いな一冊です。
文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
1)ぼっちな女神の力を回復させるために奮闘する主人公の純朴で健気な姿(とはいえ前世ではおっさんだったわけだけど!)の姿がかっこいい!
2)女神の信仰力を増せば、女神の力も戻ってくる!? その鍵となる「いただきます」「ごちそうさま」を広めるため、エルが奮闘する!
3)美味しそうな食事シーンに、もふもふした存在との交流……。こんな冒険者生活を過ごしたくなること間違いなしな描写が満載!
主要キャラ紹介
▼女神フェルミエーナ
主神から世界を管理する認可を得たばかりの新米女神。おしゃべり。自分の管轄する世界の人々が祈りを疎かにしたことで、神力が低下してしまったため、信仰心を戻させる役割をエルに託す。

▼エル
現代日本から女神の管轄する世界へ転生した少年。元々王の息子として生まれたが、双子であることから政争の種になるとして賢王養護施設へ送られた。

▼ツーリア
冒険者ギルドのカウンター嬢も務める9歳の女の子(エルの一個下)。食堂も切り盛りしている。一緒に働くうちにエルへの強い感情が芽生え始め……。

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転生冒険者、ボッチ女神を救う~もふもふ達とのんびり旅をしていたら、魔法を極めてた~ 1
著者: 黄昏 イラスト: п猫R
女神の神力回復のカギは『いただきます』と『ごちそうさま』!?
勇者召喚に巻き込まれて死んでしまった男は、一人寂しく神域に暮らす女神フェルミエーナと出会った。人々から祈られなくなったことで神託をおろすことができなくなる程弱り、女神の神託だと嘘をつき悪さをする者が現れ始めたことに怒る女神の姿を見て、神力(しんりき)を回復する手助けをしてあげようと決める。
無事異世界転生を果たした男・エルは、日本で習慣だった「いただきます」と「ごちそうさま」の言葉が神力の回復に有効だと知ったものの、なかなか広めることができずにいた。10歳になり冒険者となったエルは、依頼で知り合った料理人に日本で人気の「ハンバーグ」と「ホットドッグ」を作ってもらうとたちまち大ヒット! この光景を見たエルは、これらの料理に神力回復の言葉も一緒に広めようと思い立ち、意気揚々と布教の旅を開始する!