【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は3月28日刊行の『二代目聖女は戦わない 01』です。みなさんの感想も聞かせてください!
どんな業界でも、偉大な人物の子どもにはつい「二代目」として、親と同じか、それ以上の期待をしてしまうもの。一方で当の子どもは、期待に応えられるよう努力するか、親の名声にあぐらをかいてしまうか──そこはまあ、本人しだい。それで、本作の「二代目」はというと……?
冒頭から自身を「この世でもっとも崇高な人間」と自負する、メリル・クライン。その正体は「母のような『聖女』の能力はなにもないけど、『二代目聖女』としての名声や恩恵だけはたっぷり享受したい」という、なんというか、その……アレな子でした(笑)。

無能な自分が悪魔と戦えば、秒で敗北確定。地位も名誉も水の泡。それを熟知しているからこそ、彼女の保身スキルは超一流なのです。周囲の証言から必死にほころびを見つけ出し、事件の真実を暴いて悪魔との戦いを回避する。したくないことをしないための努力は惜しまないスタイル、実にステキですね(笑)。これに、最初の事件で仲間になってくれた強力な悪魔・白狼の言動が、彼女の正当性を勝手に後押ししてくれて、より保身は盤石に!
ただ実際、本人の思惑は別として、事件にも悪魔にもまっすぐ向き合い、決して適当に投げ出さないところは、彼女の立派な美点だと思います。そうして事件を解決した結果、もっと難解な次の事件を任されるわけですが……。悪魔の特異性や、事件の真相についても興味深く、考えさせられる一面もありました。メリルが今後、どんな『聖女』になるのか、とても楽しみです。

文:瀧田伸也
ざっくり言うとこんな作品
1)「悪魔」と呼ばれる異形と「教会」所属の悪魔祓いが対峙する世界で、メリルは最強の悪魔祓いである『聖女』の娘として生まれる。
2)しかしメリルには『聖女』の才能が受け継がれていなかった。彼女は保身のため、あの手この手で悪魔との戦いを回避していくことに。
3)本人の意図以上に物事がうまく運び、『不戦の聖女』として着実に名声を得ていくメリルは、さらなる事件に巻きこまれていく……。
主要キャラ紹介
▼メリル・クライン
本作品の主人公で『二代目聖女』。傲慢かつ自惚れきった性格ではあるが、根は誠実で悪魔に対しても偏見抜きに歩み寄る度量を持つ。やがて『不戦の聖女』と呼ばれる最弱少女。

▼白狼
メリルが初任務で対峙した悪魔。『聖女』の娘にも関わらず、自身の主張に耳を貸して「戦わずに」事件を解決してしまったメリルに一目を置くようになり、その後協力関係となる。

▼聖女
メリルの母で、最強の悪魔祓い。娘の前ではおっとりとしているが、適当に引いた線が結界になり、念じるだけで悪魔を消滅させるほどの実力者。白狼には死神と恐れられている。

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二代目聖女は戦わない 01
著: 榎本 快晴 イラスト: 茶ごま
謎を解いてみせましょう、全てはただ私の保身のために...!
最強の悪魔祓いである『聖女』の娘として生まれたメリル・クライン。
幼少より持て囃され続けた彼女は、傲慢かつ自惚れきった性格に育ったが――初任務で悪魔と対峙した際、ある事実に気付いてしまう。
「私って何の力もないのでは?」
『聖女』たる母の才能は、何一つとしてメリルに受け継がれていなかったのだ。
無能の身で悪魔と睨み合う絶望的な状況の中、悪魔が発した「我は誰も殺していない」という言葉にメリルは活路を見出す。
「――ならば、私があなたの無実を証明してみせましょう!」
三下系七光り聖女がただ己の保身のため、舌先三寸で「謎」を解き、周囲の勘違いが加速する──
やがて『不戦の聖女』と呼ばれる最弱少女の活躍を描く、新感覚の勘違い系コメディ&ミステリー!
【書籍版限定の書き下ろしエピソード収録】
・付章 『その手は届かず』