つぎラノ2024文庫部門3位『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう ~けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?~』赤城大空先生スペシャルインタビュー

『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう ~けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?~』スペシャルインタビュー

「次にくるライトノベル大賞2024」文庫部門3位は『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう ~けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?~』でした!

読む人をことごとく笑顔させる「必笑コメディ」はいったいどのようにして生まれたのか!? 著者の赤城大空先生にお話を伺ってみました。

『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう ~けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?~』

──「次にくるライトノベル大賞2024」上位入賞おめでとうございます! まずは今の感想をお聞かせください。

ありがとうございます! 本作はありがたいことにネット上で支持してくださる方も多く、そのためネット投票なら応援の声もより集まりやすいのではと期待していた部分は少なからずあったのですが、ランクインどころかまさかいきなり3位に食い込むとは思ってもみませんでした。

本作を推してくださる方々の熱量に改めて驚かされるとともに、嬉しい気持ちでいっぱいです。支持してくださった方々には感謝してもしきれません。この場を借りてお礼申し上げます。

──本作はダンジョン配信ものにネットミーム的なお嬢さまを掛け合わせたハイテンションコメディとなっています。構想のきっかけはなんだったのでしょうか?

企画を考えていた当時、流行りはじめていたダンジョン配信ものにハマったのがきっかけでした。これは書籍第1巻のあとがきにも書いたのですが、いわゆる「モブによる世界観説明、リアクション台詞」がネットのノリを介すとこんなに面白くなるの!? とびっくりしまして。

昔からネットの匿名掲示板やニコニコ動画に入り浸っていることもあって「これは楽しく書けそう!」と思い、ハマったいくつかの作品を読み込んで基本の流れや要素、自分が面白いと感じた理由などを深掘り分析したあと、他シリーズ執筆の隙間時間を使って一気に書き上げていました。

──このような作品を書かれたということは、元々赤城先生はVTuberをはじめとした配信をご覧になっていたのでしょうか?

実は生配信の類いは、時間がないこともあってほとんど見ないんですが……(汗)。動画はもっぱらニコニコ動画などで編集されたものを好んで見ていまして。ライブ配信についてはこういったサイトで切り抜きを見ることが主で、たまにアーカイブを覗く程度。

それもあって作中での視聴者コメントのノリや長さは、生配信のチャットではなくニコニコ動画で書き込まれているコメントにかなり近く、そのあたりは明確に嘘というかこの作品特有のノリになっているかと思います(一応コメントの長さやコメント同士のやりとりなどは、レベルの恩恵を受けた超人が視聴者側にも多々いるからという理由付けもあるにはありますが)。そのおかげか、『お嬢様バズ』はかつてのニコニコ動画を知っている僕の同年代からの支持が特に厚い印象がありますね。

 『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう ~けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?~』より

──本作を執筆する上で特に意識したことをお教えください。

もともとがWeb連載形式ということもあり、1話ごとについつい読者自身がコメントしたくなるような要素や笑える部分、続きが気になる引きは可能な限り入れるようにしています。また、作中で主人公へのツッコミ役を果たす視聴者コメントを描く際は、「読者も主人公たちの言動にこう感じるだろう」という点をしっかり抑えたうえで、ネットのノリフィルターを通し言語化するようにしていますね。

その甲斐あってか読者の方々からは読んでいる際の一体感のようなものを感じていただいているようで、とても嬉しい反応をいただくことが多いです。

──とにかくハイテンションに進んでいく本作ですが、その要となっているのはやはりお嬢様、山田カリンです。彼女のキャラクター造形はどのようにして生まれましたか?

カリンお嬢様のキャラ造形は個人的な好みが4割、無自覚系最強主人公を描くに当たって引っかかりになりがちな箇所を潰すための逆算6割くらいで出来上がっています。

無自覚系最強主人公はよく自分の異常な強さを他者に指摘されてもそれを自覚しないままになりがちなんですが、配信ものだとこの「異常な強さの指摘」をされる機会が爆発的に増えてしまい、無自覚のままだと違和感が大きくなって没入感を阻害してしまう。なので、配信という特殊な舞台で主人公が自分を頭抜けた最強であると自覚しないことにどうすれば説得力が生まれるかと考えた結果「創作と現実の区別がついていないアホの子」という核が生まれました。

そしてそこへ個人的に好きなキャラ造形だった「時折口調が荒くなるエセお嬢様」「ステゴロ怪力お嬢様」といったアホの子と相性のいい要素を加えていまの形になった次第です(このエセお嬢様部分はマンガ『ゲーミングお嬢様』(集英社)やゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」の影響が大きいですね(笑))。

このアホの子造形は作者の予想を遥かに越えて大暴れしてくれて、書いていても読み返しても元気がもらえる愉快な子になってくれました。

──他のキャラクターで特にお気に入りなのは誰ですか?

どのキャラも好きですが、特にお気に入りなのはやはり真冬でしょうか。僕の作品には銀髪キャラと並んでよく出てくるキャラ造形に「表向きはクールでツンツンしているけれど、裏で主人公を献身的に支えてくれている」というタイプがあるのですが、真冬もその一人。

特に彼女は、カリンとは反対に謀略暗躍が得意なキャラということでアホの子なカリンの弱点をしっかりカバーしてくれており、二人で力をあわせる流れは書いていて楽しいです。二人ともお互いのことをとても大事に思っているのもあって、執筆時に微笑ましく感じる暴と謀のコンビですね。

──既刊において、特に面白く書けたと自負している渾身のシーンはどこですか?

書籍化範囲だとダンジョン崩壊の鎮圧時、特に暴風龍を倒しにいく一連のシーンでしょうか。元々文章が重くなりがちなのもあって、ここのバトルシーンは簡潔に勢いよく描けたなと何回も読み返したくらいには気に入っています。またこのあたりは、カリンが影狼に堂々宣言する台詞だったり、口からアレを取り出しド派手に敵を鎮圧する決着だったりとハイライトと呼べる部分が多々あり、カリンのカッコイイ部分も笑える部分も短い間にぎゅっと凝縮されているのがとても好きです。

カリンがただの規格外なアホの子ではなく、(ちょっと形は違えど)憧れのセツナ様のように配信を介して作中世界を明るく照らすヒーローとして本格的に羽ばたきはじめた象徴的な場面ですね。

──これまでに発表された作品と意識して変えた点、あえて踏襲した点をそれぞれお教えください。

これはもう明確に下ネタの有無ですね! ネットのノリをがっつり踏襲している本作ですが、現実のネットでは割とありふれているエロネタ下ネタの類いに関しては、作中コメントで扱わないよう意識して排しています。

これは主人公が女の子かつアホの子というのもあってそういう目で見られているとちょっと違和感がある&抵抗があるということもあり、主人公本人がやらかすかたちで下ネタが出ることはあっても、作中の視聴者たちがそれに乗ってエロ方面のノリにはならないように注意しています(一部のキャラが暴走した際も、あくまでギャグノリや諫める方向のツッコミがメインになるようにしています)。

踏襲した点は、基本ハッピーエンドな明るいお話になるという部分でしょうか。主人公が主人公だけにその点は過去作よりもより顕著にパワーアップしていると思います。

 『【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう ~けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?~』より

──本作をまだ読んでいない方に向けて、特に推したいポイントをお教えください。

やはり作品の象徴というか魅力の大部分を担っていると思われる主人公、山田カリンでしょうか。上でも書いたように、作者自身も読み書きしていて元気がもらえるパワフルな子なので、より多くの方にこのエセお嬢様の活躍ややらかしを是非知ってもらい、作中視聴者と一緒になってツッコミを入れながら楽しんでいただきたいなと思っています。

また、作中視聴者といえば本作では往年のネットのノリを踏襲した書き込みや掲示板部分も多く、かつてのニコニコ動画はもちろん、いまもコメントつきでアニメを楽しんでいる方にも刺さるんじゃないかと思っているので、そういった方々にも是非読んでいただきたいですね。

──今回投票してくださった読者に、そして今回のランキングを機に本作を新たに知った読者へのメッセージをお願いします。

本作はもう本当に本当に読者の方々の支えが非常に大きい作品です。Web連載をはじめた当初から多数の応援コメントをいただき、リアルコメントも本編の延長と言えるような状態で、執筆するにあたってとても力をいただいていました。そしてその応援がいまこうしてつぎラノ第3位という結果に繋がり、より多くの方に本作を届けるチャンスをいただけて非常に嬉しく思います。作品というものが読者あってのことだと改めて強く実感しますね。そうして応援してくださった方々に引き続き楽しんでもらえるよう、これからも山田カリンお嬢様のお優雅な活躍を全力で描いていければと思います。

改めまして、皆様本当に投票ありがとうございました。そしてそんな応援のおかげで今回『お嬢様バズ』について初めて知ったという方も多いかと思いますので、よろしければ手に取っていただき、叶うならばカリンお嬢様の暴れ回る姿を見て、少しでも明るい気持ちになっていただければとても嬉しく思います。

──ありがとうございました!

取材・執筆:マイストリート

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次にくるライトノベル大賞とは

「次にくるライトノベル大賞」は、次世代にブレイクするであろうライトノベルを一般読者自らがエントリーし、またユーザーの投票でその頂点を決めるアワードです。

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