【レビュー】コツコツ真面目な探索で、貧乏生活からの大逆転!? 順風満帆すぎて超気持ち良い、立身出世×異世界ファンタジー!

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はドラゴンノベルスから2月5日に刊行された『いずれは最強の探索者』です。みなさんの感想も聞かせてください!


 もちろん成り上がりをメインとしたストーリーそのものも面白いけれど、とにかく主人公であるリオンという少年の愚直で、堅実で、そして実直なキャラクター性に惹かれる一冊。コツコツとした努力が報われる話というのは、やはり良いものだ。

 結晶を作れるだけ、という役に立たない特殊能力『結晶』持ちのリオンは、2年以上たっても最底辺の、10級探索者(シーカー)だった。そんな彼がひょんなことから手に入れた『時空操作』と『魔眼』という特殊能力を上手く組み合わせ、使えないと思われていた『結晶』の能力の真の強さを開花させていく流れが読んでいて実に気持ちいい。倒せなかった相手が倒せるようになって、得られるポイントも報酬も増えていく。等級だって上がっていく。きっかけは偶然でも、それは工夫と実践をこなせる日々の積み重ねがあってこそ。

 万年10級だからとリオンを馬鹿にしていた奴らを、あっさりと追い抜いていく流れなんかは王道だけど、だからこそスカッとする。でも、そこで誇ったりし奢ったりせず、あくまで堅実な努力を続けるリオンの冷静さが、幸運を掴んだ人に起こりがちな慢心から破滅に――という展開を許さない。これが重要なポイント。お嬢さまのミドリさんやアオイさんに好かれ、シーカー協会の偉い人に信頼されるようになったのも、彼のそうした堅実さや実直さがあったからだ。結局、人柄に勝る能力などないのかもしれない。

 さらに元から持っていた『結晶』の力が新たに得た二つの特殊能力と合わさって、電池やエンジンを超える動力源になるなど、能力バトルの部分もしっかり見応え十分。ダンジョンを探索する探索者としてだけではない価値が、リオンの運命をどう変え世界にどんな変化をもたらすのかが気にかかる。とはいえ、立ちふさがる敵もほのめかされて先は混沌。いったいどうなっちゃうの? ワクワクさせる出世ファンタジーのお目見えだ!

文:タニグチリウイチ


ざっくり言うとこんな作品

1)万年10級の探索者が「漁夫の利」で得た『時空操作』と『魔眼』の能力を巧く使ってぐんぐん等級を上げていき、美味しいものが食べられるようになる成り上がりっぷりが羨ましい!

2)お金持ちのお嬢さんたちと知り合えたり、シーカー協会から一目置かれたりしながらも、増長しないでじっくりと実力をつけていくリオンの堅実さ&実直さが好感度◎。

3)『魔眼』の力と『結晶』の力を組み合わせ、魔物の力も地球の重力も切り取り封印して再利用できるようになるという“意外な力の使い方”が、世界にもたらす変化にワクワク!?

主要キャラ紹介

各務裏穏(リオン)
ダンジョンを探索してお宝を持ち帰る探索者(シーカー)をしている24歳の青年。実力がなく最弱の10級に2年も留まっていたが、「漁夫の利」で得たふたつの特殊能力で一気に強くなる。


根岸緑(ミドリ)
『植物操作』の力を持つ22歳の女性シーカー。ゲッコウフロッグに襲われていたところをリオンが助けて親しくなる。実は相当なお嬢さま。アサミやアズサとパーティーを組む。


アオイ
交通事故で死にかけていたところをリオンが助けた女子大生。実はミドリの妹で、等級が上がり大金を稼ぐようになったリオンの会社で秘書として経理や雑務を一手に引き受ける。

作品情報
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    いずれは最強の探索者

    著者: 大野 半兵衛   イラスト: かる

    最下層からの大逆転!? 最弱能力『結晶』で目指す、最強の探索者!

    使えない特殊能力『結晶』持ちのリオンは、2年以上たっても最底辺の、10級探索者(シーカー)。しかし、漁夫の利で手に入れた『魔眼』と『時空操作』の能力は、『結晶』の可能性を開放させた! エリアボスも難なく倒し、発見した隠し通路からはお宝アイテム大発見! 探索者のミドリや、その妹の大学生アオイとの仲も深まり、ついには会社役員に!? コツコツ真面目な探索で、貧乏生活からの大逆転! 異世界出世ファンタジー!!

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