【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はカドカワBOOKSから2月10日に刊行される『おっさん異世界で最強になる_~物理特化の覚醒者~』(著者:次佐駆人/イラスト:peroshi)です。みなさんの感想も聞かせてください!
「初心者はバットを振るのさえ満足にできないのだ」ってソウシの言葉に激しくうなずいた。
うんうんそうだよ、ただの会社員が異世界に行って武器のメイスを手に取ったって、襲ってくるモンスターの頭をぶっ潰すとかすぐにはムリ! 草野球と違って空振りしたらモンスターに殺されちゃう訳で、日々の鍛錬をしっかりやっておこうとメイスの素振りから始めるソウシの慎重さに、これが本当の強さなのかもって感心した。
“覚醒者”のソウシはちょっとの鍛錬でもみるみる強くなるけれど、チートめいた能力で敵をあっさり倒すような展開にしていないのも良いアイデア。魔法の能力が期待薄だからと物理攻撃に絞ることを決め、1本でもクソ重たいダークメタルの棒を3本まとめて振って体を鍛え、3倍の重さのメイスで戦って経験を積み強くなっていくソウシが、これはムリかもって思える相手をどうにか倒すスリリングな戦いから味わえる達成感が格別だからだ。

ソウシが仲間にしたフレイニルが、すぐにでも死にそうなか弱さを、ソウシほどではないにしても厳しい鍛錬によって克服していく姿を眺めるのも、親心というかコーチ冥利に尽きるといった喜びに浸らせてくれる。獣人のラーニも加わってパーティとしての形になっても、まだEランクに過ぎないソウシたちだけに先は長そうだけど、それだけ楽しみも多いってこと。スローライフならぬスローフィジカル大賛成だ。
国家間の謀略めいたものがチラついているし、いずれ世界の命運をかけた戦いといったものにも直面するんだろう。そこへとたどり着くまでの丁寧でドキドキいっぱいの物語がこれから繰り広げられるはず。いっしょに成長していく気持ちで読んでいこう!
文:タニグチリウイチ
ざっくり言うとこんな作品
1)異世界に転移したおっさんが“覚醒者”として冒険に挑むにあたって武器の素振りから始める堅実さに生き残るための秘訣を見た!
2)なぜかレアモンスターに当たってしまう不幸をものともせず、日々の鍛錬の成果で乗り越えていくソウシから受ける達成感がイイ!
3)ソウシより新米でか弱そうな少女のフレイニルや冒険心に溢れた獣人少女のラーニといっしょに強くなっていく気分を味わえ爽快!
主要キャラ紹介
ソウシ・オクノ
働き過ぎで意識を失い目覚めると異世界で“覚醒者”となっていた中年会社員。物理的な攻撃が得意で鍛錬を重ねてみるみる強くなる。

フレイニル
高貴な血筋の令嬢のようだが“覚醒者”になってしまい義務として冒険に出てソウシと知り合い鍛錬を積む。聖者で魔法の力に優れる。

ラーニ
獣人の少女でもっと冒険したいとソウシの仲間になる。疫病神の特異スキル持ちで、ソウシの悪運と合わさりレアモンスターを誘う。

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おっさん異世界で最強になる 物理特化の覚醒者
著者: 次佐 駆人 イラスト: peroshi
堅実なアラフォー冒険者はパーティの皆からも慕われすぎる?
どこかゲーム風な異世界に転移し、スキルを使える『覚醒者』という存在になったアラフォーの元社畜ソウシ。
覚えるスキルは物理特化なものばかりだが、愚直にレベルを上げ、ダンジョンボスを攻略して新たなスキルを獲得……
と堅実に努力を積み重ねたら、いつの間にかメイスの一撃がとんでもない威力に!
冒険者ランクも最速で昇格!?
そんな中、役立たずと仲間に見限られた少女とパーティを組むことになるが、ソウシのもとで彼女の才能も開花して?