【レビュー】ハイスペヒロインが時間を止めて好きな人に好き好きする作品です。読めば胸をかき乱されること間違いなし！

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMF文庫Jから1月24日に刊行される『時間を止めてデレまくる、最強無敵の黒乃さん』です。みなさんの感想も聞かせてください！

現代人は忙しい。日々、学生は勉強や部活に、社会人は仕事や家事育児に追われている。貴重な自由時間もSNSや動画視聴、流行を眺めるうちに消え、周囲に遅れないようにするのが精一杯。時間はいくらあっても足りない。「いっそ時間を止められたらいいのに」と思うのは、全人類の夢ではないでしょうか。

ヒロインの黒乃さんは、そんな憧れを体現する時間停止能力者。時間を自由に停止して、勉強やスポーツ、趣味に好きなだけ時間を使える。それだけでも十分に羨ましいのに、見た目も容姿端麗な完璧美少女。まさに最強無敵の黒乃さんに不可能はない。そんなハイスペックな彼女が、自分の能力のすべてを恋心に使う姿が、なんとも乙女らしくて可愛いんですよ。

普段はクールで凛々しい黒乃さんと、デレデレにとろけきった黒乃さんのギャップがたまりません。誰にも認識されない時間の停止した世界で、片思いの甲斐くんへの秘めた想いを叫んだり、思い切って抱きついたりと恋愛脳全開な女の子になってしまう豹変ぶりに吹き出します。恋をすると人はここまで変わるのかと一途な姿に微笑ましい気持ちになります。

黒乃さんは自分の片思いに甲斐くんが気づいていないと思っている。しかし、実は彼もまた特殊な能力を持っていて、時間停止中の彼女の恥ずかしい行動のすべてを認識している！　この事実が、本作の面白さを加速させているんです。自分に恋心を抱いている黒乃さんの可愛いすぎる姿を知りながら、それを黙って見守り続けねばならない甲斐くんの苦悩と葛藤がもどかしく、これでもかと読者の胸をかき乱すんです！

複雑な事情を抱えながらも、表面的には平穏な学園生活を過ごす光景にほのぼのとします。日常の中で少しずつ距離を縮めていく様子は、年相応の少年少女で思わず応援したくなりますね。恋愛模様だけでなく、二人の間にある壁や立場のしがらみにどう立ち向かうのか、それぞれの成長も気になるところ。青春と恋愛の眩しさ、そして人間の心の強さと弱さに触れる、学園異能ものの新たな可能性を打ち出した一作です。

文：愛咲優詩

ざっくり言うとこんな作品

１）普段はクールな黒乃さんがデレまくる姿にニヤニヤが止まらない！

２）実は片思いされている甲斐くんは時間停止中の黒乃さんの行動をすべて知っている。

３）ちょっと普通とは違う二人が日常で繰り広げるすれ違い学園異能ラブコメディ。

主要キャラ紹介

▼黒乃詩亜（くろの　しあ）
時間停止の異能者。世界中の犯罪組織を取り締まる国際警察機構所属のS級エージェント。甲斐郎に片思いをしている。

▼甲斐郎（かい　ろう）
黒乃の同級生。悪の組織に改造手術を受け、時間停止した中でも意識のみ、保つことができる。黒乃さんの想いには気づかないフリをしている。