【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から1月18日に刊行された『なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ』 (著者:夜迎 樹/イラスト:スコッティ/クリーチャーデザイン:バリキオス)です。みなさんの感想も聞かせてください!
史上最も禍々しいヒロイン爆誕! というキャッチコピーが目を惹く本作。カバーのイラストに描かれたバケモノ――もといクリーチャーのような召喚獣がヒロインです、と言われたら誰だって「こんなに禍々しいヒロインいるわけない」と思うのも無理はないだろう。流石は第37回ファンタジア大賞《大賞》&《雨宮天アンバサダー特別賞》受賞作、攻めまくりである。
ピンク色の髪をなびかせたスレンダーな女の子は可愛らしいが、あくまでイメージイラスト。巨大な肉塊にしか見えない禍々しい存在が本作のヒロイン・ハッピーの真の姿で、にょきにょきと生えたたくさんの手足がうごめき、無数に開いた目玉がぎょろりと動く姿を目の当たりにしたら、誰だって恐怖に正気を喪ってしまうだろう。
他のキャラと異なり、彼女には専門のクリーチャーデザイン担当イラストレーターが付いているのだから、力の入れ具合が違う。ガチ過ぎる。しかもそのビジュアルと反比例するように、ハッピーちゃんは女の子としての可愛さも見せてくるものだから、思わず脳がバグりそうになる。……あれ? このヒロイン……可愛いぞ?
基本はそんなハッピーちゃんの持つ大きすぎるギャップを中心にコメディテイストで物語が進むのだが、流石《大賞》受賞作であり、それだけで終わらないところが見事。読み進める内にふっと浮かぶ疑問があとあと大きくなってはじわじわと恐怖が染みだして来て、ただの学園ファンタジーコメディとは違った空気が漂い始める。それは読み通してこそ感じ取れるもの。まずは本作を手に取ってハッピーちゃんと対面し、世界一可愛いよと言ってあげよう……っておいおい、なぜ逃げるんだい?
文:タニグチリウイチ
ざっくり言うとこんな作品
1)おぞましいビジュアルに反して、丁寧な口調と健気な性格が特徴というヘレシーの召喚獣・ハッピーが超絶キュート!
2)ハッピーを目の当たりにした貴族令嬢のレティーシアが、夜寝られなくなってヘレシーの部屋に押しかけるなど不憫可愛い!?
3)ハッピーの他にも第二の召喚獣・ハイドラや、レティーシアの召喚獣であるコン子さんなどミステリアスなヒロインズと関わりを深める主人公・ヘレシーが、結局一番謎めいていて魅力的!
主要キャラ紹介
ヘレシー
実力を認められ、ど田舎の村から貴族ばかりの召喚師学園に入学した庶民の少年だが、さっそく貴族のジェイドに絡まれて決闘に臨む。
ハッピー
ヘレシーが故郷で喚び出した妹のような存在の召喚獣。赤い肉塊のような姿で無数の手足が生え口が叫ぶ姿が可愛い(ヘレシー目線)。
レティーシア
貴族令嬢。元婚約者のジェイドとヘレシーとの決闘で顕現したハッピーを見て性癖が歪み、ヘレシーの布団と枕でしか寝られなくなる。
コン子さん
レティーシアが授業で召喚した狐。実は別大陸から来た神聖な存在で、正体を見抜いたヘレシーに人型のおねえさんの姿でつきまとう。
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なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ
著者: 夜迎 樹 イラスト: スコッティ クリーチャーデザイン: バリキオス
史上最も禍々しいヒロイン爆誕! 第37回ファンタジア大賞《大賞》受賞作
『か、可愛い、ですか……? あ、ありがとうございます……』
新入生ヘレシーの召喚獣、ハッピーは心優しく清楚な女の子。
「なん、なの、あれ……」「ひぃ……っ!」
――外見は少し異形だけど。
庶民で落ちこぼれな上に召喚獣が怖すぎて、
召喚師学園の異物でしかないヘレシー。
普通にしているだけなのに、高飛車な令嬢を恐怖で籠絡したり、
第二の異形美少女を召喚したりと大暴れ。
挙句、無関係な陰謀の黒幕扱いされ――
無自覚のうちに危機に叩き込んでいた学園を救うべく、
少年と召喚獣は本領を発揮する!
『鬆大シオ繧翫縺呻(頑張ります!)』
第37回ファンタジア大賞《大賞》受賞、
史上最もヒロインが禍々しい学園ファンタジー開幕!