【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から12月20日に刊行された『配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信』です。みなさんの感想も聞かせてください!
昨今、子どもに人気の職業としてユーチューバーが挙げられたり、学生や社会人でもインスタグラムやTikTokなどで私生活を配信したりする時代になりました。いまや配信は現代人にとって欠かせないコミュニケーションツールとなっています。見た目がよかったり、会話が面白かったりする配信者に人気が集中する一方で、無名の一般人の動画が突然バズったり、個性的な配信者にファンがつくこともあります。
この作品の主人公の白石さんもユニークな配信者です。「ダンジョン配信」が娯楽となって、探索者にも人気やファンサービスが求められるのにコミュ障な白石さんは配信ではまったく喋らない。しかしその実力は本物で、ソロでダンジョンに潜り、圧倒的な戦闘力でモンスターを次々となぎ倒していく。純真とも、世間知らずとも言えますが、人気や登録者数を気にせずにダンジョンを攻略する白石さんのマイペースなキャラが素敵です。
そんな白石さんが人気配信者を救助したことで一気にネットでバズってしまう。医療機関にスカウトされたり、大手配信者にも一目置かれたり、日陰者だった彼女の存在が英雄として認められていく光景は誇らしく、同時に読んでいて胸がスカッとします。
しかし注目を浴びるほど白石さんにはプレッシャーになってしまうわけで。視聴者が増えるほど緊張して、要救助者への対応やオペレーターとの会話にも詰まってしまう有様。探索者としては最強でも対人関係では最弱の白石さんにとって英雄という評判は荷が重く、それでも「人を救いたい」という気持ちで迷宮を駆け回る彼女の姿が実に尊い! これが新しい主人公(ヒーロー)像なのかもしれません。
同時に、白石さんの配信を見るリスナーたちとの関係も心温まります。普段はリスナーたちには反応せず、好き勝手書かれるコメント欄も放置している白石さんですが、次第にリスナーとの絆が芽生え始める展開も秀逸。自分を理解して応援してくれるリスナーへの感謝や、いつも心配させていることを申し訳なく思いつつ、少しずつコミュニケーションを取りはじめて成長する姿が微笑ましいんです。
コミュ障でありながら人助けを通じて配信の楽しみを見つけ、他人と向き合っていく白石さん。あなたもリスナーとなって配信を見守ってみませんか?
文:愛咲優詩
ざっくり言うとこんな作品
1)迷宮中で人命救助をメインに活動する女の子主人公の、成り上がりダンジョン配信ファンタジー!
2)探索者としての腕は一流でも、コミュ障で他人との会話が苦手な白石さんが頑張る熱いストーリー!
3)人気配信者を助けたり、強敵を討伐する配信がバズって一躍英雄になっていく白石さんの活躍が気持ちいい!
主要キャラ紹介
白石さん(しらいし)
配信者でありながら無口な少女。ソロで活動し回復魔法も使える熟練者。日本赤療字社にスカウトされ日本初の迷宮救命士となる。
蒼灯 すず(あおひ すず)
同接1万人越えの人気配信者。社交的で配信スキルやトークセンスも抜群。白石さんに命を救われたことで彼女のファンになる。
真堂 司(しんどう つかさ)
日本赤療字社に所属する担当オペレーターの男性。無茶をする白石さんに口では厳しいことを言うが、彼女を信頼している。
三鷹さん(みたか)
白石さんを日本赤療字社にスカウトした女性。マネージャーとして白石さんの配信活動をサポートする優しい大人の女性。
-
配信に致命的に向いていない女の子が迷宮で黙々と人助けする配信
著者: 佐藤悪糖 イラスト: 福きつね
コミュニケーションは苦手、でも最強な配信者「日療の白石さん」とは――
魔物を瞬殺し、颯爽と人助けして、名乗りもせず去っていく、いまダンジョン配信で最も話題な配信者、「日療の白石さん」。彼女が全然喋らないワケは――ただコミュ力が低いだけ!?
迷宮探索者=配信者な世界において、大手医療法人に所属し国内初の迷宮救命士となった白石。アイドル配信者や大手配信者を黙々と救助しながらマイペースに配信を続けていたところ、とある事件から配信がバズり……。
喋ればポンコツ、黙れば最強、やりたいことは人助け。自己紹介すらたどたどしい人見知り少女が、人助けしながら成長するダンジョン配信ファンタジー!