【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から12月20日に刊行された『一つ年上で姉の友達の美人先輩は俺だけを死ぬほど甘やかす。』です。みなさんの感想も聞かせてください!
誰しも綺麗なお姉さんに憧れる時期があります。もしも昔から憧れていた美人なお姉さんに告白されたら、普通の男の子なら有頂天になってしまうでしょう。しかし、主人公の柊真は、長年片思いしていた藍李さんから告白されたにもかかわらず、「無気力に生きてきた自分では釣り合わない」と一度は断ってしまう。本心では彼女と付き合いたいと思いながら、相手の立場や評判を思いやる。そこに柊真の誠実さが垣間見えるのです。
彼女の想いを受け止め、彼女に隣に立つにふさわしい男性になるために、これまで手を抜いていた勉学に本気に取り組み始める柊真。男の子とは何と単純な生き物なのかと思う反面、どんな理由であれ一歩を踏み出し、真剣に青春と向き合おうとする姿勢には心を打たれます。ただ甘やかされるだけじゃない、主人公の男気のようなものを見せられたら、誰だってこの二人を応援したくなっちゃうと思います。
藍李さんにとっては、自分のために頑張る年下の男の子は可愛いくて仕方がないでしょう。彼女が柊真を溺愛するのもわかります。藍李さんは優しいお姉さんですが、「甘やかしすぎて男をダメにしてしまう」タイプの女性でもありますね。こんな綺麗なお姉さんに毎日褒められて、甘やかされ続けていたら、普通なら堕落してしまいますよ。藍李さんに始終甘やかされて、それでもなお努力し続けられる柊真は、実は芯の強い男なのかもしれません。
そしてこの作品の更に面白いところは、甘々ラブコメにひとさじ加えられたスパイス。
柊真の変化は、いつも彼を見てきた腐れ縁の友人の柚葉にとっては一目瞭然で。急にやる気を見せ始めた彼の様子を不審に思い、その理由を探ろうとする柚葉と、藍李との関係を秘密にする柊真との間でぎくしゃくしてしまう様子に胸が締め付けられます。藍李さんも柚葉を恋のライバルとして認識して、発展していく三角関係がもどかしいんですよね。
甘さだけではなくて、ときにはほろ苦さも味わえる青春の愛しさと切なさがたっぷりと詰まった作品でした。
文:愛咲優詩
ざっくり言うとこんな作品
1)年上の綺麗なお姉さんに甘やかされる甘々な学園ラブコメ。姉の友達という絶妙な距離感が堪らない!
2)無気力系男子高校生が美人な彼女に相応しい男になるために努力する、成長ストーリーに思わず胸が熱くなる!?
3)才色兼備で美人先輩の藍李と、同級生で腐れ縁の女友達の柚葉とのもどかしい三角関係から目が離せない!
主要キャラ紹介
雅日 柊真(みやび しゅうま)
どこにでもいる男子高校生。昔から年上の藍李に憧れの感情を抱いていた。藍李に告白され、彼女に相応しい男になるために努力を始める。
緋奈 藍李(あかな あいり)
柊真の姉の親友。黒髪ロングで容姿端麗、頭脳明晰な学校一の美少女。柊真に告白し秘密の付き合いを提案する。柊真を甘やかすことに喜びを得る。
雅日 真雪(みやび まゆ)
柊真の姉、ひまわりのように天真爛漫な女子高生。藍李を無二の親友だと思っているが、柊真と藍李の交際には気づいていない。
清水 柚葉(しみず ゆずは)
柊真の同級生で中学校からの腐れ縁。活発で明るい性格。柊真のお世話係と思われている。柊真にずっと片思いをしている。
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一つ年上で姉の友達の美人先輩は俺だけを死ぬほど甘やかす。
著者: 結乃 拓也 イラスト: 葛坊 煽
私無しじゃ生きられない身体にしてあげるから、覚悟しててね
校内一の美少女として有名な一つ年上の先輩――緋奈藍李。
俺、雅日柊真にとっては姉の友達だけど、まともな会話すらしたことがない顔見知り程度の関係……だったはずなのに。
「どうやら私、しゅうくんを甘やかすのが好きみたい」
先輩の家へお見舞いに行ったのをきっかけに、緋奈先輩の方から急接近してきて――。手作り料理に、デート、膝枕……
「ねぇ、もっと教えて欲しいな。私の身体が、キミで疼くわけを――」
俺にしか見せない先輩の素顔。気付けば恋人(仮)の関係に!?
「私無しじゃ生きられない身体にしてあげるから、覚悟しててね」
先輩に甘やかされて堕落させられるラブコメ!
第9回カクヨムWeb小説コンテスト ラブコメ部門〈特別賞〉受賞作。