【レビュー】憧れの冒険者になったのは、帝国最強の天才騎士!?　剣も勘違いも豪快で愉快な無双ファンタジー！

【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はスニーカー文庫から12月27日に刊行される『帝国最強の天才騎士、冒険者に憧れる』（著者：蒼井美紗／イラスト：LINO）です。みなさんの感想も聞かせてください！

大戦の最前線で大活躍した第一騎士団の団長だなんて誰からも羨ましがられるポジションなのに、冒険者になりたいからと騎士団長をお休みするフランツ・バルシュミーデが面白すぎる。これは、アリーナツアーで何十万人もの観客を喜ばせているアイドルが、ロックスターになりたいと路上ライブから始めるようなもの。ちょっとズレているが生き様がかっこいい主人公の物語だった。

副団長のイザーク・ホリガーは後始末に追われ、大変そうだなと思うけれど......昔から憧れていたことだからと冒険者になるのを止めさせない団長愛が素晴らしいと思った。最初はフランツをただの顔がいい新米冒険者と思っていた魔法使いのマリーアも、正体に驚きながら必死で冒険者になろうとしているフランツの思いを支持し、へりくだったり遠ざけたりしない優しさが尊い。そんなマリーアにフランツも惚れるかというと、それはないと即答するところも、正直だけどどこかズレてるフランツらしさがあふれて笑える。どんな女性が好みなんだろう？

もちろん、冒険者として最初から実力はケタ違いなので、絡んできた不良冒険者を叩きのめし、ばったり遭遇した凶暴なモンスターもあっさり倒す無双ぶりが痛快だ！

低いランクからだんだんとランクアップしていくのが冒険者の醍醐味だと信じるフランツ。最初は簡単そうだったのになぜか難事件になってしまうあたりは、英雄ならではの宿命という奴なのかも。それでもきっと楽々とこなしていくだろうフランツと仲間の活躍にしばらく付き合っていこう。フランツを落とそうとするご令嬢のズレた謀略の成果も気にしながら。

文：タニグチリウイチ

ざっくり言うとこんな作品

１）第一騎士団団長の地位にまで上り詰めながら、憧れの冒険者になって最低ランクから始めようとするフランツの勘違いぶりが愉快！

２）冒険者としては新米なのにハイスペックな剣と魔法の実力でモンスターを倒し、孤児院の不正を暴くフランツの無双ぶりに胸キュン！

３）野に放たれた大英雄が無双した後始末をさせられるイザーク副団長や常識外れのフランツの言動に突っ込むマリーアの気苦労に同情！

主要キャラ紹介

フランツ・バルシュミーデ
帝国第一騎士団の団長になりながら冒険者に憧れ休暇を取り旅に出る。

マリーア
フランツの正体を知らずに声をかけた女性冒険者で風魔法の使い手。

レオナ
冒険者ギルドの試験員。

タタ
獣人たちの長を倒したフランツに弟子入りを志願する犬獣人の少女。