【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は12月13日に刊行される『ガン飛ばされたので睨み返したら、相手は公爵様でした。これはまずい。』です。みなさんの感想も聞かせてください!
人間の習慣とは恐ろしいもので、一度身についたクセや考え方は簡単には抜けません。貴族の令嬢に転生してもアンジェリカのベースにあるのは、売られた喧嘩は買い、舐められないように立ち回る、ヤンキー時代の価値観です。それゆえに、ギデオンから数々のアプローチを受けても好意だとは全く気づかず、喧嘩を売られたのだと解釈してしまいます。会いたいという手紙をもらっても「果たし状」だとタイマン勝負に備え、観劇に誘われればボロを出させて弱みを握るためだと思い込む。次々と繰り出される斜め上の反応は、笑いを誘わずにはいられません。
個人的に大きな愛着を抱いたのが、強面な外見からは想像がつかない、初心でピュアなギデオンでした。目つきが悪くて睨んだと勘違いされてしまうギデオンは、自分を恐れることなくまっすぐに見つめてくれたアンジェリカに心を奪われます。二人の出会いであり、アンジェリカの認識ではガンを飛ばしあったバチバチな場面が、ギデオン視点ではロマンチックに熱っぽく語られている落差にクスリとしてしまいました。
他にもスイーツ好きな一面や、他人にみせる優しさや気遣いなど、冷酷な公爵というイメージを裏切る実像のギャップにキュンとさせられました。
ギデオンも恋愛の初心者ではありますが、初恋の経験すらないアンジェリカは輪をかけて恋愛感情に鈍感です。ギデオンとの距離が近づいても、マブタチができたと喜ぶ彼女がどのように自分の感情の変化に気づくか。すれ違いラブコメの醍醐味を味わえます。
文:嵯峨景子
ざっくり言うとこんな作品
・元ヤンキー×冷酷公爵の強面コンビによるすれ違いラブコメ!
・恋愛下手なふたりのやりとりがじれじれもどかしいけどクスッと笑えて面白い
・恋を知らないヤンキーが乙女になる姿がかわいい! ついつい応援したくなる!
主要キャラ紹介
アンジェリカ
レリオーズ侯爵家の次女。前世はレディースに所属していたヤンキーだった。貴族の令嬢に転生して淑女教育を受けた今でも長年の習慣が抜けず、油断するとガラの悪さが出てしまう。
ギデオン
鋭い眼光をしたアーヴィング公爵家の若き当主。容赦なく部下を切り捨てる冷酷な騎士団長だと悪名が高い。パーティーでアンジェリカに睨まれて以来、なぜか彼女に執着する。