【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はMFブックスから11月25日に刊行される『精霊つきの宝石商1 特別なエメラルド』です。みなさんの感想も聞かせてください!
宝石店アステリズムを訪れた人が目にするのは、エメラルドにダイヤモンド、キャッツアイなどの目にも鮮やかな、きらめく美しいジュエリーたち。
私は子どもの頃から鉱物や宝石が大好きで、手の届く範囲のものを買い集めたり、綺麗な石が登場する物語を好んで読んできました。だからこそ、高価な宝石にも廉価な石にもそれぞれの良さを見出して愛し、その魅力を多くの人に伝えようと尽力するエマの姿には、思わず共感してしまいます。
物語には魔法石という不思議な宝石も登場します。現実に存在するジュエリーだけではなく、この作品ならではの独創的な宝石の描写と、魔力と魔法石をめぐるファンタジックな展開も楽しいです。ドラゴンや精霊など、ファンタジー好きの人に“刺さる”アイテムがそこかしこに散りばめられ、心をくすぐられます。
異世界を舞台にしたお仕事小説としての側面も、本作の大きな読みどころ。アステリズムを訪れるさまざまなお客とその依頼に、エマは確かな知識と強い宝石愛、そして誠実な仕事ぶりで応えていきます。宝石を介して結ばれる、人と人との縁を描くあたたかなトーンの物語にぜひ癒やされてみてください。
前世で男運が悪く、恋愛には気が向かないエマと、彼女に尊敬の念を抱くフェリシアンとの友情の行方にも要注目です。エメラルドをきっかけに親交を育んでいく二人はやがて、ティンカーベル・クォーツというエマにとって特別な意味を持つ宝石を見せて個人的な話をする仲に。無自覚な両片思いとも言える二人の今後の展開にも期待が高まります。
文:嵯峨景子
ざっくり言うとこんな作品
1)異世界転生をした女の子が宝石店のオーナー夫婦に拾われて家族に。のちに妹も生まれ、愛する家族に支えられながら宝石商として成長する。
2)成人して二号店を任されるまでに成長したエマは、宝石店アステリズムの店長になる。そして来店した美形貴族のフェリシアンと出会い……。
3)精霊の助けも借りながら、お客様の注文にしっかり応える転生宝石商のお仕事ファンタジー。舞台は異世界だけど現代にも存在する宝石が登場!
主要キャラ紹介
▼エマ
過労死した会社員の異世界転生した姿。魔法石を扱うための魔力と、精霊に愛される特別な力を持つ。前世からの憧れだった宝石に関わる仕事に就き、お客様のために日々奮闘中。
▼フェリシアン
金髪碧眼の美形伯爵。ほぼ入手不可能といわれる希少な宝石を妹に所望され、宝石店アステリズムを訪れた。エマの働きぶりに感銘を受け、以後宝石店の常連となって友情を深めていく。
▼ノエル
夜空のような紺色の長い髪を一つ結びにした、性別不明の謎めいた麗人。もともとは一号店の店員だったが、アステリズム開店以降は二号店の副店長としてエマをサポートする。
-
精霊つきの宝石商 1 特別なエメラルド
著者: 藤崎 珠里 イラスト: さくなぎた
宝石店「アステリズム」は、どんなオーダーにもお応えします!
あなたにお似合いの宝石をお探しします!
20代にして過労死してしまった会社員のエマは、5歳の姿に若返り、異世界で目が覚める。見知らぬ街の中で見かけたのは、美しい店構えの宝石店。前世で宝石への強い憧れがあったエマがショーウィンドウを眺めていると、女性店員に声をかけられた。店員クロエは、宝石に興味津々のエマに身寄りがないことを知ると、彼女の親代わりとなることを決意する。
――月日が経ち、ジュエリーショップの2号店を任されるまでに成長したエマ。
そしてある日、金髪碧眼の美形伯爵フェリシアンが来店する。彼は、傷も不純物もないノンオイル(無処理の)エメラルドという、ほとんど入手することができない宝石を求めていて……!?
これは精霊に愛された転生宝石商が紡ぐ美しい宝石たちの物語。