現体制でのラストツアーを直前に控えるClariSの二人が今伝えたい想い【ファンタジア文庫×ClariSコラボ】

「秋のグラディエント」(イラスト:たん旦)

ClariSの「季節もの」コンセプトミニアルバム「秋」編、『AUTUMN TRACKS -秋のうた-』がついに登場!
2022年にリリースされた『WINTER TRACKS -冬のうた-』にて、ファンタジア文庫×ドラゴンマガジン×ClariSのコラボによる、収録曲のアートワークを人気イラストレーターが描き下ろすという試みにチャレンジ。
その際の好評を受けて、今回2年ぶり・2度目のコラボが実現しました!
そんなご縁で、現体制でのラストツアーを直前に控えるClariSの特別インタビューをお届けします。

松田聖子さんはなぜ切ない歌詞を笑顔で歌っていたんだろう?

──この度、ミニアルバム『AUTUMN TRACKS -秋のうた-』がリリースされました。これまでClariSさんは春・夏・冬とミニアルバムをリリースしてきましたから、いつか秋の曲も歌う予感はあったのでは?

「実は『WINTER TRACKS -冬のうた-』をリリースした2022年時点で、『秋のうた』も作ろうというお話があったんです」(クララ)

「当時既にどんな曲をカバーしたいのか候補も話し合っていたんですよね。紆余曲折あって、実際にリリースするまで二年掛かってしまいましたけど(笑)。しかも、スタッフさんからの候補も合わせて仮歌をレコーディングしてから、実際に何をアルバムに収録するのか選定をしたんですが、当時選んでいた曲からまた選曲が変わってしまって」(カレン)

「候補だけでも20〜30曲ぐらい歌ったよね。その中から、ある年代に発表された曲ばかりにならないようバランスを取ったり、自分たちのキャラクターに合った曲をイメージして、ClariSとして『秋のうた』を纏めるならこの楽曲だよね、という内容になるよう選曲しました」(クララ)

──まず、カバー曲について伺います。2トラック目に収録されている「風は秋色」は、『SPRING TRACKS -春のうた-』でも「赤いスイートピー」をカバーした松田聖子さんの楽曲です。

「松田聖子さんはどの季節の曲も多く歌っていらっしゃるので、今回は「風立ちぬ」も候補に挙がっていたんですよ。その中でも、今回「風は秋色」をカバーしたのは、切なすぎず重たすぎず、爽やかでアップテンポなナンバーだったからです。切ない歌詞をなぜ松田聖子さんは笑顔で歌っていたのか……その理由も探りながら、丸山(真由子)さんのアレンジでClariSらしさも出せるように意識して歌いました。なたーしゃさんの描かれたイラストは、私たちがベレー帽を被っているところがポイントですね。10代っぽいClariSの姿を描いてくださったことが、とても嬉しいです!」(カレン)

「風は秋色」(イラスト:なたーしゃ)
「風は秋色」(イラスト:なたーしゃ)


まさかこの曲を!? と最初は思いました(笑)。

──3トラック目は小泉今日子さんの名曲「木枯しに抱かれて」。イラストは緋月ひぐれさんが担当されています。

「私の母が聴いていたこともあって、耳馴染みがあった曲なので、今回絶対歌いたい! と選ばせていただきました。曲の構成が凝っていますので、レコーディングにはちょっと苦戦しましたね。小泉今日子さんのニュアンスも採り入れつつ、ClariSらしさもある一曲に仕上がったと思っています。「せつない片想い あなたは気づかない」という一節をそのまま落とし込んだかのような、切ない二人の表情が描かれたイラストも素晴らしいです!」(クララ)

「木枯らしに抱かれて」(イラスト:緋月ひぐれ)
「木枯らしに抱かれて」(イラスト:緋月ひぐれ)

──4トラック目は、カレンさんのソロ歌唱による岩崎宏美さん「思秋期」カバーです。

「これまで自分がソロで歌ってきた楽曲はアップテンポのものが多かったので、まさかバラード曲を!? と最初は思いました(笑)。でも、スタッフさんやクララが「カレンは「思秋期」だよ」と勧めてくれたんです」(カレン)

「仮歌を聴いたとき、ClariSとしての活動を重ねてきたカレンのしっとりとした歌声に、この曲がピッタリとハマったように感じたんですよね。確かにカレンがバラードをしっとり歌うイメージは強くなかったんですけど(苦笑)、いい意味で期待を裏切れますし、これは推さねば! と思いました」(クララ)

「この曲に決まってからは、40〜50代になってから思春期の頃を思い出しているような雰囲気が出るよう、歌いました。球体Xさんのイラストも、その想いと同じく秋の様子を俯瞰している感じがあって面白いですよね」(カレン)

「思秋期」(イラスト:球体X)
「思秋期」(イラスト:球体X)


別々の道に羽ばたくけれど、関係性は変わらない。

──5トラック目は、柴咲コウさんがRUI名義で発表した「月のしずく」。クララさんがソロで歌われています。

「切ないバラードを歌うことが大好きなので、今回も例に漏れずその流れです(笑)。元々綺麗なメロディが大好きでよく聴いていたこともあって、この曲をカバーしたいと思っていました」(クララ)

「月というクララのイメージシンボルが入っていることはもちろん、綺麗な旋律や歌詞にある日本語の美しさがクララにぴったりですよね! 繊細な高音と響かせる低音、クララの大好きな歌声がどちらも活きた素晴らしい楽曲だと思います」(カレン)

「水を手ですくう繊細さが描かれた桑島黎音さんのイラストも素晴らしくて……。月の光に照らされている二人がいて、私の後ろにカレンがいる。常に私を支えてくれていた関係性が伝わる一枚になっていると思います」(クララ)

「月のしずく」(イラスト:桑島黎音)
「月のしずく」(イラスト:桑島黎音)

──オリジナル楽曲の「秋のグラディエント」についてはいかがでしたか?

「秋といえば切ないイメージがある中で、疾走感のある楽曲をやりたい! という思いがありました。テンポが速いですけど、言葉を一つ一つ噛み砕いて、分かりやすく伝えられるように意識しながらレコーディングに臨んでいます」(クララ)

「AメロとBメロ、サビで声色を変えて、恋心のグラデーションを表現してみました。全面に切なさを打ち出したところは、ClariSでは珍しいかもしれません」(カレン)

「たん旦さんのイラストは、寄り添っているけれど切ない表情を浮かべている二人の様子が可愛いですよね」(クララ)

「腰元に巻いてあるリボンがキツく結ばれていないところも、私たちっぽいなと思います。繋がってはいるけど、お互い自由に好きなことをやれている。しかも、背景に羽根が描かれていて、私の卒業を機に別々の道に羽ばたくけれど、関係性は変わらないところが一枚に凝縮されていて、とても大好きな一枚になりました」(カレン)

「秋のグラディエント」(イラスト:たん旦)
「秋のグラディエント」(イラスト:たん旦)

──こうして春夏秋冬、すべてのミニアルバムが揃った今の心境は?

「八年は長かった(笑)! と思いつつ、こうして無事に春夏秋冬をリリース出来て嬉しい気持ちでいっぱいです。そして、また春から聴いてみると、自分たちの成長も感じられるシリーズになったのでは、という印象があります」(クララ)

「アニメタイアップだけではないClariSの姿を皆さんにお見せすることもできた、私たちの幅を広げるシリーズになったと思いますね」(カレン)

十年間で積み重ねてきたものを全て出し切りたい。

──『秋のうた』と同時期にベストアルバム『ClariS 〜SINGLE BEST 2nd〜』もリリースされます。こちらはこれまでにリリースされたシングル表題曲が中心のアルバムですが、特に印象に残っている楽曲はどれですか?

「レコーディング当時、とても難しかった覚えがあるのは「ALIVE」ですね。ここまで速いテンポで疾走感のある楽曲を歌うことがあまりなかったので、とにかくたくさん練習をしてレコーディングに臨みました。アニメタイアップの『リコリス・リコイル』の主人公、千束とたきなの関係性を私たちに置き換えて、感情移入をしながら歌っています」(クララ)

「私は「Masquerade」かな。シングル表題曲としては初めて作詞をさせていただいた曲ですし、今までなかったワルツのテンポ感に挑んだという意味でも印象的な楽曲です。とにかくアニメタイアップの『シャドーハウス』の原作マンガを読み込んで、バーバラとバービーをテーマに心情を落とし込んでいった歌詞にも注目していただきたいですね」(カレン)

──このベストアルバムには新曲「Evergreen」も収録されています。

「この曲は、私たちの始まりとなった「Clear Sky」や十周年の記念曲「PRECIOUS」を作ってくださった丸山さんに作詞・作曲・編曲をお願いしました。丸山さんが私たちの気持ちを汲んでくださって、今伝えたい想いがしっかりと反映された一曲になっていると思います」(クララ)

「レコーディングがちょうど、私の卒業発表当日だったんですよ。皆さんの反響もあって、ようやく卒業を実感してきたタイミングで二人の関係が変わらないと歌う曲をレコーディングしたので、もう感情が爆発してしまって……。もしかしたらライブでは泣いちゃって歌えなくなるかもしれません」(カレン)

──ちょうど卒業のお話がありましたが、今月末からスタートするライブツアー「ClariS AUTUMN Tour 2024 〜Via Fortuna〜」を最後にカレンさんはClariSを卒業されるんですよね。

「はい。この二人で立つ最後のステージとなるので、十年間で積み重ねてきたものを全て出し切りたいなと思っています」(カレン)

「ツアータイトルにある「Via Fortuna」という言葉は、ラテン語で「幸運の道」なんです。私はまだClariSを続けていきますが、カレンは新たな道に進んでいく。その岐路となるこのツアーは、私たちだけでなくスタッフさんやファンの皆さんにも幸運の道に繋がるものになってほしいという思いを込めて、このタイトルを名付けました。ベストアルバムや『秋のうた』に収録した楽曲はもちろん、十年間の道筋を振り返られるライブの構成にしているので、きっと私たち二人を見てきて良かったと思えるようなツアーになっているはずです!」(クララ)

取材・文:太田祥暉

ClariS INFORMATION

ClariS プロフィール

クララとカレンの2人組ユニット。
2010年10月にデビューシングル「irony」(TVアニメ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」OP)をリリース。以降、28枚のシングルと4枚のミニアルバム、7枚のオリジナルアルバム、またベストアルバムもリリースと精力的に活動している。
2020年10月20日にはメジャーデビュー10周年を迎え、謎のベールに包まれていたClariSがキャリア初の配信ライブで素顔を明かすと大きな話題を呼んだ。同年10月21日には10周年を記念したベストアルバム「ClariS 10th Anniversary BEST」を2タイトル同時リリース。2022年は6枚目となるフルアルバム「Parfaitone」の他、TVアニメ「リコリス・リコイル」OPテーマとなったシングル「ALIVE」をリリース。初の冠番組「ClariS新章」のO.Aに加え、THE FIRST TAKEへも初出演し、トレンド入りを果たす等大きな話題となった。2023年6月にはWinkの名曲をカバーした初のコンセプトEP「淋しい熱帯魚」を発売、2024年5月には、28thシングル「アンダンテ」(TVアニメ「狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF」EDテーマ)、約2年振りとなる7thアルバム「Iris」を発売。さらに14周年を迎える10月にミニアルバム「AUTUMN TRACKS ー秋のうたー」(10/16発売)、BESTアルバム「ClariS ~SINGLE BEST 2nd~」(10/23発売)の2作品の新作リリースを控える。10/26(土)からは3都市(全5公演)を巡るライブツアー「ClariS AUTUMN TOUR 2024 ~Via Fortuna~」が開催されるが、メンバーのカレンが当ツアーをもってClariSを卒業することが発表されている。
ユニット名“ クラリス”という言葉には、ラテン語で「明るい、清潔、輝かしい」などの意味がある。

Mini Album『AUTUMN TRACKS -秋のうた-』

Mini Album『AUTUMN TRACKS -秋のうた-』

○発売日:2024年10月16日(水)

○商品形態:
初回生産限定盤(CD+ポストカード) ※トールデジパック、限定スリーブ仕様
品番:VVCL-2586~7 価格:2,970円(税込)

通常盤(CD)
品番:VVCL-2588 価格:2,310円(税込)

BEST Album『ClariS 〜SINGLE BEST 2nd〜』

BEST Album『ClariS 〜SINGLE BEST 2nd〜』

○発売日:2024年10月23日(水)

○商品形態:
初回生産限定盤(CD+Blu-ray)
※三方背ケース 環境配慮型ディスクトレイ デジパック仕様
品番:VVCL 2598-9 価格:7,150円(税込)

通常盤(CD)
品番:VVCL 2600 価格:3,630円(税込)

LIVE「ClariS Autumn Tour 2024 〜Via Fortuna〜」

▼10月26日(土) LINE CUBE SHIBUYA
開場 12:00 / 開演 13:00
開場 17:00 / 開演 18:00

▼11月2日(土) カルッツかわさき
開場 17:00 / 開演 18:00

▼11月3日(日) カルッツかわさき
開場 15:00 / 開演 16:00

▼11月10日(日) Zepp Namba
開場 17:00 / 開演 18:00

「ClariS AUTUMN TOUR 2024 〜Via Fortuna〜」情報

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