【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から10月19日に刊行される『お隣の美人エルフの距離感が近すぎる件 ~私とイイコトしませんか?~』です。みなさんの感想も聞かせてください!
ご近所付き合いが希薄になった昨今。田舎町のアパートに引っ越し、丁寧に挨拶回りする少年・渡良瀬亮駕の隣の部屋に住んでいたのは……どう見ても、エルフでした。という出だしから、くすりと笑わせてくれる心温まるお話でした。
お隣さんがとても美人、というだけでもなんだか得した気分ですが、それだけでは到底無視できないくらい、気になるポイントがありすぎるんです、この人。名前からして「森江ルフ」で正体を隠す気ないし、金髪で耳も長いし、一人称が妾だし、部屋でゲームばかりしてるニートだし。それなのに、彼女のことを気にしているのは彼だけ、という不思議。しかし、夕飯のおすそわけや、アパートの住人そろってのバーベキュー、合宿という名の温泉旅行と、数々のあたたかいイベントを楽しんでいると、少々不思議なことくらい、割とどうでもよくなってきます(笑)。
ルフさんや水瀬さんをはじめ、アパートの住人たちもみんないい人ばかりで、こんな日常ならきっと、毎日楽しいだろうなあと思いを馳せること間違いなし。しかし、それだけでは終わらないのが、本作のすごいところ。ちょっと変わった楽しい日常の中に、少しずつ散りばめられていた伏線の数々が、クライマックスで見事に結実するのです。読み進めれば誰もがきっと、ルフさん、ただの残念エルフじゃなかった……! と、感心することでしょう。
魅力的なお隣さんにドキドキしながら、最初から最後まで楽しく読めて、読了後もほっこりとした気分になれました。アクションやミステリもいいけれど、たまにはのんびりしたい、という時には最適な一冊です。
文:瀧田伸也
ざっくり言うとこんな作品
1)美人だけどいろいろ残念なルフや、クラスメイトのことりなど、個性的なアパートの住人たちとの、あたたかくてちょっとドキドキなご近所付き合い!
2)どこからどう見ても“エルフ”にしか見えないルフの謎多き日常、亮駕との距離感が妙に近い理由など、読み進めるほど、ルフの正体が気になってくる!?
3)のんびりした田舎町での日常の中に、さりげなく散りばめられた伏線が巧みに収束していく、意外なクライマックスに注目!
主要キャラ紹介
渡良瀬亮駕(わたらせ りょうが)
自然工芸部という、珍しい部活が目当てで学校を選び、田舎町に引っ越してきた高校生。どう見てもエルフなお隣さんに、興味津々。
森江ルフ(もりえ るふ)
一〇一号室に住む、美人なお姉さん。金髪に長い耳という容姿をはじめ、いろいろ謎は多いが、周囲の人々は特に気にしていない様子。
水瀬ことり(みなせ ことり)
亮駕のクラスメイトで、同じアパートの二〇一号室に住む少女。明るく、人懐っこい性格だが、自分に対する好意には鈍感な一面も?
早崎羽椰世(はやさき はやせ)
亮駕たちのアパートのオーナーの娘。ことりとは小学校からの親友で、彼女のことが大好き。一方、亮駕に対しては当たりが厳しくて……!?
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お隣の美人エルフの距離感が近すぎる件~私とイイコトしませんか?~
著者: 福山 陽士 イラスト: 昌未
ニートエルフと奏でる、ほのぼのいちゃラブコメディ
「肉じゃが作り過ぎちゃったので、よかったら……」
高校入学を機に一人暮らしを始めた日、お隣さんからおかずのお裾分け。彼女の名は森江ルフ。誰もが認める超絶美人だが、どこからどー見ても耳が長い、いわゆる『エルフ』。――なんで!?
「部屋でゲームしませんか?」「食べ物を……分けてください」「一緒にご飯作ってると、新婚さんみたいだなって」
“清楚”なイメージと違ってルフさんはゲーオタで酒好きのニート。そんな彼女は、何かと俺を誘ってきて……。
2人でご飯を食べて、触れ合う近さでゲームして、温泉で浴衣姿の彼女から抱き着かれる。ダメエルフ彼女とのほのぼの日常生活!